空想の街・ハンツピィの宴2015　3日目

日下 昊／頭巾ちゃん @sola_Dante

一通り店の準備は終わらせていた。「星は見えるだろうか？」“見える義眼”を #地下の硝子屋 で作られてから暫く夜の空を見る習慣が出来た。幼い頃、一族は体内から取り出すと虹色の宝玉になる眼球を狩る賊に襲われた。他の妖かしと共に人間が紛れ込んでいたことも覚えている。#空想の街 #花心亭

日下 昊／頭巾ちゃん @sola_Dante

生きたまま眼球をくり抜かれたあの痛みは忘れられない。一族は散り散り逃げることになった。弟、珞は目の前で両目を奪われ、その後殺された。自分の無力さに打ち拉がれながら自分は逃げることしかできなかった。#空想の街 #花心亭

日下 昊／頭巾ちゃん @sola_Dante

氷涼祭に瑛の前に現れる珞は、碧い眼が揃っている。死者の国では生前の姿が戻るのだろう。今更都合が良いと思うのは瑛の欺瞞だ。空想の街にやってきた頃は、狭いながらも国々を旅した瑛にとって安住の地となった訳だが、ここの人間達や妖かしの寛容さに少なからず依存している。#空想の街 #花心亭

日下 昊／頭巾ちゃん @sola_Dante

美味しい食べ物を食べ、そして自ら造り、人へ幸福感を提供する術は選んだことに悔いはない。いつも贔屓にしてくれる住民に支えられている。#空想の街 #花心亭

日下 昊／頭巾ちゃん @sola_Dante

少しセンチになった瑛は、夜空を見上げに店の外に出た。翼を広げ羽ばたくと海へ向かった。義眼で元の夜目が戻ったお陰で夜景や星の灯りを見ることに感謝も募る。浜辺に降り立つと、腰に付けていた煙管に火を点ける。煙をフゥーと吹くと足下にあった桜貝を一つ拾い上げる。#空想の街 #花心亭

日下 昊／頭巾ちゃん @sola_Dante

拾った貝殻を煙管入れに忍ばせると浜辺に腰掛けて、遠くの不知火をぼーっと眺めていた。肌寒さも今は心地よい。赤い義眼の目を隠している前髪を上げるとその左目だけで星空を見る。長い帯の流星が二つ流れた。#空想の街 #花心亭

日下 昊／頭巾ちゃん @sola_Dante

暫く浜辺手丘を散策すると、再び翼で羽ばたき市街に戻った。路地を歩いて店の前に来ると、徐にドアを開けて中に入る。カウンターの下にある清酒を取りだし、一人酒を…。まだセンチな気分が完全には消えていない。座敷に上がり酒を杯に注ぐとチビリチビリ。#空想の街 #花心亭

日下 昊／頭巾ちゃん @sola_Dante

昼間に広場から聞こえていた喧騒はもう無い。「ハンツピィの宴が終わるとこんなにも静かだ。もう早朝だが少し休むか」布団を敷くと飯台の上の清酒も仕舞わず横になった。酒の所為か目を閉じつと直ぐに意識が落ちた。#空想の街 #花心亭

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

【 #空想の街 ３日目・朝】 「おはよう、お寝坊さん」 「え？あ、おは、よ？」 目を開けると、そこにアルがいた。もちろん俺は今まで寝ていたので、目の前にいるということはアルが俺の寝ていたベッドで一緒に横になっているというわけでして。 「ちょっとタイム」 #天真少年 #魔術師アル

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

毛布をめくって、自分が服を着ていることを確認。アルも一昨日から同じ、生成り色のローブを着ている。貞操は守られていた良かった。 「さすがに自分より100歳以上年下のガキには欲情しないな」 「だから！心の声を！なっ！？」 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

「朝だから起こしてあげたんだよ」 なぜか楽しそうに微笑んでいるアルに、俺はイラッとする。 「すみませんが、まだ日が出て間も無い感じなんですけど」 「さあ、ご飯にしようか。冷蔵庫に入っているんだろう？」 「その為に起こされたんですか俺？」 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

「そうだよ。朝はおはようを言って、一緒にいただきますをするんだろう？さあ、珈琲も淹れてくれてかまわないよ」 「はいはい、わかりましたよ！」 「砂糖は入れて、ミルクは無しで」 「そこは自分でやってもらえませんか？！」 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

ベッドから降りて、水を入れたポットのスイッチを入れた。リュックの中からコーヒーミルと豆とプレスを取り出す。豆は小さなカップで２杯分、ミルで挽いて粉にする。粉はプレスに入れ、沸騰したお湯を入れて４分。フィルターの付いた棒をゆっくりと下に押す。 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

挽きたて淹れたてのコーヒーをふたつのマグカップに注いで、ひとつをアルに手渡した。 「ありがとう」 「どういたしまして」 俺に言われた通り、素直に自分で砂糖を入れるアルに、俺はなにか違和感を覚えた。 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

「……」 何か言われると思ったのに、アルは静かにコーヒーを啜っている。 「なにかあったの、アル？」 「うん。まずいなこのコーヒー」 「あーのーさー！」 「天真範。君に心配されるほど、自分は落ちぶれた魔術師じゃない」 「それは拒絶ってこと？」 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

「世話焼きもほどほどに、って意味だよ。優しい親切が、必ずしもその人を幸せにするとは限らないんだ」 「俺はアルを心配したり、優しくしちゃダメってこと？」 「そういうことだね」 「なんでだよ」 「君が死んだ時、淋しくなるのは自分だから」 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

どんだけー？！と心の中で叫んだけど、言葉にならなかった。 すぐに、それだけの死をこの人は見送ってきたんだと解ったから。 「でもさ、」と言ってみたものの、今度は言葉が見つからない。 アルは空になったマグカップの底を覗いて待っていたけれど。 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

間もなく「ごちそうさま」と言って、それを俺に渡してきた。 「さて、出かけてくるよ」 「ちょっと、ご飯は？」 「君の淹れたまずいコーヒーで、もうお腹いっぱいだよ」 「こんな時間にどこへ行くんだよ？」 「内緒だよ」 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

春木のん🪄ふしぎなアンソロ @Haruki_Non

魔術師がロッドを振る。 その魔法は、自分を偽りの姿に変えてしまうもの。 黒い蝶々になったアルは、ひらりひらりと舞いながら、まだ薄暗い夜明けの空へと飛んで行った。 #天真少年 #魔術師アル #空想の街

さることながら@さるカフェ @sarukotonagara

セルフサービスのお品はこちら。 ●『混血の麗し』のハーブティー ●『月夜の漆黒』の深煎り珈琲 ●『満面の笑み』の瓶入りサイダー ●『素朴な吐息』パンを使った『陽射しの恵み』の野菜サンド ●『踏み出す一歩の爽快感』のクッキー #空想の街 #さるカフェ

そら豆✳冥府にも労基を @tibikorotika

…………っあ゛ー…………呑ませすぎたし呑みすぎたわ……も、一日寝ましょ…… #空想の街 #ｵﾄﾄｲ食堂

空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

おはようございます。いちめんの曇りです。ちょっとひんやりしますね。今日はいちにちこんな空模様でしょう。次にポムの星を食べるのはまた来年。では、いってらっしゃい。(情報窓口　佐々木類) #空想の街

十浦　圭 @ueto_rika

昨日の晴天が嘘のように空は薄い雲がかかっていて、それは悟の今日の気持ちにそっくりだった。洗濯もの籠を抱えたまま、庭の真ん中でぽつりと悟は空を見上げる。別れは悲しい。分かり合えないことも悲しい。人は悲しいなあ、と、思う。　#空想の街　#孔雀荘へようこそ

うらはら @ura_saraha

ぼう、と窓の外をみる。曇天、とは裏腹にどことなくふわふわとした気分。どうしてだろう、と思って、昨夜の不思議な体験を思い出した。駆け込んで来た黒猫、ふいに霞んだ姿、現れたしなやかな、リュカの姿。本当にあんなことがあるなんて。　#空想の街　#時計坂の占い師

木船田ヒロマル @hiromaru712

#空想の街 に朝が来る。意識を取り戻す七篠。「おはようナナシノゴンベエくん。調子はどうだい？」彼の前に、ついにあいつが現れたーー。 ネームハンター6 〜 The amnesia capriccio 〜 エピソード完結しました ncode.syosetu.com/n1233cy/