昨日発生していたサイトログインできない不具合は修正されております(詳細はこちら)

空想の街・ハンツピィの宴2015 3日目

twitter上の創作企画「空想の街」のまとめです。 不備や漏れ等があれば公式まで。 編集自由にしてありますが、手動で編集を入れているので時間順ボタンは避けて頂けると有難いです。
2
前へ 1 2 ・・ 20 次へ
こみや@空想の街 @Ne2_co

さく、さく、と森の草を踏む音。大きいものがひとつ、ふたつ。小さいものが、ひとつ、ふたつ。――ああ、そういえばこの辺りだったか。「何が?」ふと足を止めた鳥屋を訝るように籠屋が声を掛けた。――あの、なんたらの星、を拾って、食った。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:09:21
こみや@空想の街 @Ne2_co

「あんたそういうところあんまり気にしないよな…」この相手の計算高く見えて無軌道なところだとか、かなり狡く見えてそれでいて大雑把なことをするところだとか、は籠屋も熟知している。いつも振り回される側だから。いつも。いーっつも。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:10:12
こみや@空想の街 @Ne2_co

今回は出先からの足で街に立ち寄ろうとしたのだという。しかし、途中で季節の嵐に行く手を遮られた、らしい。ひどくならないうちに鳥を伝言に立て、先方に詫びて、そして風雨に足止めをくらいながらやっと辿りついた、と今朝無精ひげを剃りながら語っていた。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:11:22
こみや@空想の街 @Ne2_co

「このへん、実のなる木が多いんだよ。おいしいのもあるけど、そーじゃないのとか、食べちゃいけないのとかもあるから」「ぼくたちはちゃんとわかるんだよー!」とちどりとめじろは自慢げだ。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:12:56
こみや@空想の街 @Ne2_co

今日はこの二人に森へと連れ出される形になっている。昨夜鳥屋はこの森を越えるかたちで宴の会場に到着した。――興味深いものがいろいろ見られたよ、という鳥屋の言葉に、じゃあぼくらのいいものも見せてあげるよ、と返ってきたのだ。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:14:05
こみや@空想の街 @Ne2_co

しかも握り飯に水筒持参という念の入りようだ。握り飯は籠屋が作らされた。ちどりとめじろ、そして自分のぶんには梅干し、おかか、ツナを入れてあるが、鳥屋のはただの塩にぎりにしてやった。会場で寝入ってしまった鳥屋を担がされた恨みを忘れるわけがない。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:15:21
こみや@空想の街 @Ne2_co

祭の会場よりはいくらか南よりの場所を一行は歩いている。森、とはいえおそらくこのあたりはまだ外縁に過ぎないだろう。木立も思う様に、というのではない具合に立ち並んでいて、昼の光は疎らながら地面に落ちている。ただ、空気はそれなりの冷たさだ。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:16:40
空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

こんな風に静かな曇りの朝、時々、ひかる蝶をみかけませんか。ちらちらと内側から発光しているような、それでいて空気に溶けてゆきそうな感じ。ふれると自分も同じようにひかるんだって。ご用心、1時間ほどでひかりはおさまるけれど、あなたも気がつかずに発光しているかも。(佐々木類) #空想の街

2015-10-26 09:00:24
十浦 圭 @ueto_rika

ふらふらと宙を飛ぶ小さなひかりに、ふと悟は足を止めた。これは…「ひかる蝶、だ」伸ばしかけた指を慌てて引っ込める。触ってしまえば自分もひかってしまうのだ。廊下を歩き出しながら、ちらりと肩越しに蝶をみる。まるで。「魂、みたいだ」 #空想の街 #孔雀荘へようこそ

2015-10-26 11:15:09
こみや@空想の街 @Ne2_co

「ここだよ!」ちどりがとん、と地を蹴った。――へえ。「…おお」そこはつつましげな空間が広がっていた。大人ふたりもすぐにその理由に気付く。大樹、というほどではないにしろ、大きな樹、だったろう。一本の枯れ樹の残骸が白く薄日の中に佇んでいた。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:17:51
こみや@空想の街 @Ne2_co

「…立派だなあ」近寄ってぺた、と手を触れる。――ああ、しかし、見慣れない樹だ。堅く、すべすべした外皮を撫でる。「こっちこっち」とめじろの声の方へ顔を向ける。二人の手元に、子どもなら一人は入れてしまうだろう洞が口を開けていた。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:18:38
こみや@空想の街 @Ne2_co

「ぼく、ここにいたんだよ。とりやさんとさよならして、それから」――そう、か。鳥屋は覚えている。芝桜が咲く頃のこの街で、肩に乗る程度の大きさしかなかった鳥を放したのを。それから何年、どれほどの季節が経った? ――随分昔のような気がするよ。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:19:34
こみや@空想の街 @Ne2_co

「あのね、むかしばなしだと、ね、もりってこわいところなんだよ!」ぽん、と降りてきて鳥屋の首にとりついためじろがとりとめもない昔語りを聞かせてくれる。鹿になった娘の話や焼かれた花畑の話を、つたない口調で口早に。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:20:31
こみや@空想の街 @Ne2_co

「怖くなかったかい?」籠屋が尋ねると、ちどりは小首を傾げてみせる。「んー…ぼくには、やさしかった、から」そうだろう、と思う。花の蜜や木の実を食べる小鳥に森は辛くあたりはしないだろう…運が良ければ、だが。そしておそらく、ちどりは運が良かった。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:21:43
こみや@空想の街 @Ne2_co

「つぎの春、かなあ。おおやさんに会って、うちにおいでよ、って言ってもらって。そしてめじろがきて」「きたの!」「もうここはぼくには小さいけど、ときどきあそびにくるんだよ」そう言ってちどりが洞から何かを取り出す。小さな厚手の袋だ。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:23:17
不可村 @nowhere_7

酷く――ひどくなつかしい夢をみた。 いつものことではあるのだが、寝ている間もかけたままの伊達眼鏡をずらしながら一文字は廃屋の壁に上半身のみを起こし、凭れている。 #赤風車 #空想の街

2015-10-26 13:40:09
不可村 @nowhere_7

一昨日の姿見といい実による変化といい、商売をして世話になった面々にも会えたというのにこれでは台無しだ。或る意味ではこれもまたひとつの宴か、とも思ったが、それにしてはたちが悪い。この街が悪いのではなく己が―― 恐らく水が合わないのだ。 #赤風車 #空想の街

2015-10-26 13:41:33
不可村 @nowhere_7

一年も居続けておいて、更又こちらから持ち掛けた友人もいるというのに、それでも長くは住めない、そう思ってしまうのは生来の根無し草気質の所為であろうか。 一文字は昨晩、飴売りの青年から贈られた琥珀の鳥を見つめた。 #赤風車 #空想の街

2015-10-26 13:47:10
不可村 @nowhere_7

花式図の如く入り組んだ街で、この三日間また出会った人々は誰も彼も、新しい顔をしていた。馴染みの者にも再会したが一文字の色素の薄い目にはそう映った。 己は何か変ったろうか、客に声をかけられるほどには纏う空気が和らいだのやも知れぬが、 #赤風車 #空想の街

2015-10-26 13:52:37
不可村 @nowhere_7

結局のところ、去年徒華に偉そうに事実を突きつけたあの頃と何も変わっていないのではないか。 反対に何も言えず、言わずに千草と共にいた期間とも、細胞すら入れ替わっていないのではないか。 ――僅かに隙間の開いた戸から流れ込む秋の空気に、すん、と鼻を鳴らす。 #赤風車 #空想の街

2015-10-26 13:54:39
こみや@空想の街 @Ne2_co

手渡された籠屋が開いてみると、何かの種がさらに小分けされて入っていた。「おいしい蜜の花とか、くだものの種。ちょっとずつ、分けてもらうの」「そのうちばいにしてかえしてやんな、っておおやさんがいってた!」 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:24:00
こみや@空想の街 @Ne2_co

――はは、そりゃいい。鳥屋が破顔する。そうやって少しずつ、森に、街に恩を返してやっていく方法をこの子らは知っている。そうやって生きていけばいい。そのうちこの子らの手は、より甘い蜜の花や、より甘い木の実を作り出すだろう。それでいい。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:25:28
こみや@空想の街 @Ne2_co

籠屋も同じことを思ったらしかった。「あのさ、この種。ほんの少しだけ、おれにくれないかな? その…おれも見てみたいんだ、その花」てれっ、と笑った籠屋に、子ども二人がはつらつと答えた。「もちろん!」「すこしだけ、だよ!」 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:26:22
空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

外出中の方は空を見上げてみてください。分厚い雲をもくもくと掻き分けて、ソラクジラが空を横断中です!ソラクジラが通った後は雲が分断されるので、雲が再びくっつくまでのしばらくの間、日の光が差します。街に影が落ちるいつもとは逆ですね。(堂坂みかこ) #空想の街

2015-10-26 13:00:35
こみや@空想の街 @Ne2_co

さ、と森の空間に光が射した。「ソラクジラだ!」「そだくじっ…そらくじら!」巨体が、ぐるり、と身を翻した。雲が割れて、そこから確かな明るさと温度が落ちてくる。すっげえ、と籠屋が歓声を上げる。帽子のひさしを押し上げて、鳥屋は眩しそうに目を細めた。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編 #籠屋

2015-10-26 16:28:50
前へ 1 2 ・・ 20 次へ