空想の街・ハンツピィの宴2015　2日目

日魚ときお @tokyosanfish

「今日は祭りの本番ですね。本日のお品書きでございます」 【金属種様向けおしながき】 ・ノーマルオイル フレーバーオイル ・銅 ・ステンレス ・クロム #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

「本日はご希望の多かったクロムが入荷しています。こちらはコーティング剤としても利用できるものです。ご入用の方はお声がけしてください」 #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

「共存種様向けのお品です」 【共存種様向けおしながき】 ・ミネラルウオーター フレーバーウオーター ・雪の指先 ・落ち葉のダンス ・霜柱の指先 #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

「本日はいち早く雪の指先が入荷しました。こちらは寒い時期にだけ味わえる物です。どうぞお試しください」 #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

「一般頭様向けのお品です」 【一般頭様向けおしながき】 ・珈琲 ・紅茶 ・ココア ・ミネラルウオーター(星屑入り／無し) ・グラタン #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

「今日は一日晴れるようですね。皆様にとって特別な日になるよう」 「では、良い一日を」 #空想の街 #喫茶馬頭琴

遊稀🌸 @La_trampara

寝起きの体を連れて、朝の散歩へ。とうに街は起きて活気に溢れている。雑貨屋、カフェ、時計塔…慣れない街の趣が楽しい。シンが住むのは食堂と田んぼ、それと大きな神社がある田舎の町だ。「お祖母ちゃんにお土産」探すのも良いかもしれない。シンはふたつステップを踏んだ。 #空想の街 #飴渡り

日魚ときお @tokyosanfish

コンコン。 随分と低い位置からノックの音がした。 「おや…」 カウンターにいるシェイカーがそちらを見やると、ちょうどドアから小さな頭がひょっこり出たところだった。 「いらっしゃいませ。お久しぶりですね」 #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

馬頭琴に現れたのは小さな女の子だった。くるくると縦ロールの金の髪に、青い青い瞳。それっぽい椅子に座っていたら人形と間違えてしまうだろう。 「彼は？」 傍に来たガスランプが問うと、少女は首を振る。 #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

「なに、いつものように最後に迎えに来るだろう。それまで街を見物していたらいい。時間はたっぷりある」 胸元の懐中時計を見ながら時計卿が言う。 「そうですね、ちょうどお祭りですし…お嬢さん、お食事は？」 尋ねると、これまた少女は首を振る。 #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

「ちょうどいいものがありますよ」 そういって何やらゴソゴソと棚の下を探るシェイカー。出てきたそれは。 「…猫耳…ですか？」 「一般頭の方々でも普通の食事が出来ない方もいらっしゃいますからね。せめて、気分だけでも、と思いまして」 「用意がいいな」 #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

「仕入れの時に見つけたんです。…ああ、これがいい」 シェイカーが取り出したそれは、カチューシャではなくパチンとピンで止めるタイプの猫耳だった。少女につけると、まるで最初からついていたかのようにしっくりと馴染んだ。 「では、行きましょうか」 #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

「たまには私と行くかね？」 時計卿が手を差し伸べたが、少女はガスランプの後ろに隠れてしまった。 「嫌われましたなぁ」 「はっは、残念」 さして気にした様子もなく笑う時計卿。 「ではいつものように？」 「ええ、私がお嬢さんをエスコートしますよ」 #空想の街 #喫茶馬頭琴

日魚ときお @tokyosanfish

そういってガスランプは、その少女とともに街へ繰り出したのだった。 #空想の街 #喫茶馬頭琴

ハラ@企画用アカウント @hrsrh_a

ぐ、と伸びをしてカーテンを開ける。窓の向こうに広がるのは青空で、うん、絶好の宴日和。今日は工房はお休み。普段なら、芽衣ちゃんと一緒に宴に行くところ何だけど…。まだ下ろしたままの髪の毛を指でいじる。なんでか、なんとなく、連絡を取る気になれなかった。 #秒針はとまらない #空想の街

ハラ@企画用アカウント @hrsrh_a

そもそも、今日の夕方は幸也さんと約束してるんだから、芽衣ちゃんから誘われても一緒に宴には行けないんだけど。約束のことを思い出して、晴天に小さく浮かれていた気持ちが、どしりと重くなった。その時に返事を、とはっきり言った過去の私を恨む。 #秒針はとまらない　#空想の街

ハラ@企画用アカウント @hrsrh_a

幸也さんと一緒にいるのは、実はそんなに嫌じゃない。というか、本当は楽しいのだ。優しいし、紳士的だし、たまに可愛いし。一緒にいて落ち着く感じは芽衣ちゃんといる時と似ているかもしれない。 #秒針はとまらない #空想の街

ハラ@企画用アカウント @hrsrh_a

でも。だって。だから。自分でも何を言っているのか分からない言葉を、ごにょごにょと呟いて。自分でも何が引っ掛かってるのか分からない、とにかくもやもやした今の気持ちに任せて、ぼふりと布団を蹴った。 #秒針はとまらない #空想の街

ハラ@企画用アカウント @hrsrh_a

全部忘れてもう一回寝ちゃいたい…なんてね。せっかくの休日だし、いつまでもこうしてはいられない。ベッドを出て服を着替える。ハンツピィの時に着るのは大抵白のシンプルなワンピースだ。これなら何の動物になっても大丈夫。 #秒針はとまらない #空想の街

ハラ@企画用アカウント @hrsrh_a

朝食を食べて、ふと机の上に置いたままだったポムの星に気が付く。ちょっと早いけど、気分を変えるにはちょうどいいかも。ええと、今からなら…１０粒も食べればちょうどいいかな。堅い皮をぱり、と割って、赤い小さな実をつまむ。ぱくり、と口に放り込んで。 #秒針はとまらない #空想の街

ハラ@企画用アカウント @hrsrh_a

小さな実を齧れば、甘酸っぱい味が口いっぱいに広がる。うん、美味しい。変化とかは別にしてもポムの星は普通に美味しいんだよね、なんて思って。ぐらり。「あれ、」ぐらりと、世界が暗転した。 #秒針はとまらない #空想の街

風岡なつ @suzu_lan06

｢おはよう、お寝坊な家出人さん｣ハイネに起こされると日はとうに登っていた。｢ごはんの後、お店番を頼みたいの｣｢喜んで。一晩の恩もかえしたいし｣彼女の店は小ぢんまりとした可愛らしい店だった。キラキラ光るアクセサリーが並んでいる。なんだか楽しい家出になりそうだ。#空想の街 #月面の猫

風岡なつ @suzu_lan06

店には見慣れないアクセサリーもあった。クリップの親戚かな、と首を傾げると、獣耳のお客さんがそのアクセサリーを買っていった。なるほど、この人たち用なのか。｢魔女さん、今日の宴用に買いに来たよ｣｢まあありがとう、楽しみましょうね｣ハイネは金の目を細めて微笑んだ。#空想の街 #月面の猫

風岡なつ @suzu_lan06

｢魔女さん？｣｢ええ、私のアクセサリーには幸せになれるお呪いがかかっているから｣いたずらっぽくハイネは笑う。｢宴って、お祭りでもあるの？｣｢今夜あるのよ、とびきり楽しい #ハンツピィの宴 がね｣一緒に行きましょう。金目の魔女は歌うように言った。#空想の街 #月面の猫

ハラ@企画用アカウント @hrsrh_a

ふ、と意識が戻って、パチパチと瞬く。頬に当たっている冷たいものは多分床。ええと、何がどうなって、こうなったんだっけ…くらくらする頭を抱えて起き上がろうとして、バランスを崩してこてん、と床に座り込んだ。あれ？ #秒針はとまらない #空想の街