不知火に落ち度はない　50　（夕雲型vs陽炎型）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

暑い。更新。（唐突すぎる理由） #落ちぬい

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

その事件は、とある陽炎型の第一声から始まった。 #不知火に落ち度はない

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「気に入らない！」 #不知火に落ち度はない

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「とのコメントが、身内より出ました。司令」 「そっすか、ぬいぬい」 ミリタリー雑誌のとあるページを開きながら、不知火はそう言った。 今日も無愛想極まりない、暑さすら感じてなさそうな表情で淡々と。 #不知火に落ち度はない

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そこにあるのは今月の美少女艦娘特集。 緑の髪の駆逐艦の、セクシーな水着姿がお出迎えしている。 これは、夕雲型駆逐艦ネームシップの夕雲。 駆逐艦とは思えないボディラインが魅力のひとつだそうな。 確かに、ふっくらどころじゃない大胆なボディと水着である。 #不知火に落ち度はない

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「で、気に入らないって。陽炎は夕雲のどこが気にいらんのだ。貧乳の妬みか」 「司令、具体的な名前を挙げないようにお願いします。不知火がプライバシーを慮った結果が反映されていません」 もしや、早霜をこの司令室から追っ払ったことと関係してるんだろうか。 #不知火に落ち度はない

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「しかしぶっちゃけ本音はその通りでな無いかと思います」 「乳が育たないのは、アイツの遺伝子のせいだっつっとけよ」 「それで済ませられるなら、不知火もわざわざ司令の所に来ません」 どうやら状況は深刻なようである。 主に不知火の中で。 #不知火に落ち度はない

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「つまり陽炎がなんかやらかすぐらい頭に来てると？」 「はい。現在基地内の陽炎型全員に、通達──というか扇動してます」 女子力ネットワークを使った、謀反の動きかよ。 陽炎お前自分の影響力フルに使ってなにしてんの。 罰としてまっぱでマラソンさせんぞ。 #不知火に落ち度はない

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「そいつぁ深刻だな。そんで──扇動っつーことは、建前あんだろ？」 「はい、頭の痛いことに。それで不知火の打つ手が無くなりました」 不知火が困るとはよっぽどである。 果たして、建前ってなんだろな。 「こちらをご覧下さい」 「ここ？」 指さす先を見る。 #不知火に落ち度はない

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「おう、谷間をすごい主張してるが」 「ぬい目潰し」 そのままズームインしてくる指を即キャッチ。 「おい！？ そのままざっくりと目つぶししようとすんじゃありませんよ！？ 罠か！？」 「あまりにも駄なボケについ」 冗談ぽく言うが、目も声色も本気である。 #不知火に落ち度はない

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「俺の目はもう片っぽしかないんだけどな」 「人差し指だけで済むのが手軽で良いです」 こいつ前よりスパルタン度上がってねえ？ 神通教官の教育の結果、どうやら相当な強キャラに仕上がりつつあるようだ。 前よりも指使いが素早く、力強くなってるし。 #不知火に落ち度はない

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「で、この大胆不敵なおっぱいが陽炎の血圧を２００ぐらい跳ね上げたって？」 「違います。視線を上へどうぞ」 「口紅」 「ぬいチョップ」 迷い無く振り下ろされるチョップをキャッチ。 にゅっと伸びてくるボールペンを左手で払う。 お前は飛天御剣流か。 #不知火に落ち度はない

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「シャープペンなら確実でしたか」 「カチカチやってリーチ伸ばすのやめろっつの。で、化粧ッ気のない嫉妬とおっぱいへの妬みとで陽炎が発狂したわけじゃねーの？」 「上の文字を読み上げて下さい。どうぞ」 ふむ？ そういや書いてるな。 主力オブ主力のボディって。 #不知火に落ち度はない

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「これが陽炎の気に障りまくったと？」 「はい。夕雲型は、陽炎型の改良型と言われていますし。ネームシップとしても見過ごせない謳い文句なのでしょう」 うむ。確かに面白くはねーな。 俺だってかしま好きだが、かとりを小馬鹿にされたときゃ3人海に投げ込んだし。 #不知火に落ち度はない

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かとりはドンケツだし、設備もボロだったが、最新型だからってドヤ顔されたんじゃ腹立つってもんよ。 ちなみにその後俺は営倉にモグリと一緒にぶちこまれたわけですけどね。 アイツの方がよっぽどいろいろカマしてたのに同罪とは腑に落ちない。 #不知火に落ち度はない

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「主力オブ主力のネームシップ。抜群の性能をお見せします、か」 「記事をさらによく読んでみて下さい。陽炎の扇動に使えるネタがゴロゴロしてます」 どれどれ？ ああ、うん。こりゃ扇動に使えるどころの話じゃねーな。 #不知火に落ち度はない

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「そっかー。主力オブ主力って、夕雲が自称しちまってるのかー」 「より正確には彼女が発案し、宣伝していると言うべきでしょう」 「実際の戦果はどんなもんよ」 「こちらがまとめたデータです。どうぞ」 スムーズにファイルを出してくる不知火。 さすが元秘書艦だ。 #不知火に落ち度はない

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「撃墜数は夕雲よりも長波が稼いでるな」 「朝霜・清霜組もそれなりです」 「一方うちはどうよ。撃墜数」 「正直に申し上げると、基地の陽炎型全員の撃墜数だけで、夕雲型全体をほぼ超えています」 だが、こっちは数が多い。 個別データを参照しないと何ともな。 #不知火に落ち度はない

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「ただ、向こうの方が印象強いだろ。多分」 「正解です。アウターヘブンの作戦は、基本が制圧作戦ですので。防衛戦とは比較にならないほど、印象が強いです」 うちは防衛戦が基本。 作戦方針も基地の性質もまるで異なるのである。 #不知火に落ち度はない

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アウターヘブンはその圧倒的な戦力と戦果を以て、周囲を威圧し防御を固める。 うちは逆で平常的に防御に回すことで、攻めづらいという印象を付けていく。 もち、虎の子の水雷戦隊は別だけどな。 鬼札も見せておかんと、相手への牽制にならんし。 #不知火に落ち度はない

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故に、このまま陽炎が突き進むと、わりと困ったことになっちまうわけだ。 勝てば、俺達がアウターヘブンを打倒したってことで、龍田が泥を被る。 負ければ、虎の子の水雷戦隊の印象が下がり、俺が泥を被る。 しかし、陽炎はそこまで考えが回ってない。 #不知火に落ち度はない

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「喧嘩して勝てばいい、って話じゃねーんだけどな。そも仲間だろに」 「仲間だろうと、舐められるつもりはない、という陽炎の姿勢なのでしょう」 「苦労するな、副官殿」 「司令で慣れてます」 そう言うなっつの。 非公式作戦は、基本俺の一存だけどさ。 #不知火に落ち度はない

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「ちなみに陽炎はどの辺まで手を回しだしてる？」 「十七駆のうち、磯風、谷風、浦風は既に説得済み。あと雪風が乗り気です」 「アイツホントなにしてんの！？」 磯風はわかる。アイツは英雄目指してるしな。 浦風、谷風はその場のノリで決めたと見る。 だが、だ。 #不知火に落ち度はない