レビューサイト「Filmarks」で低評価(スコア2.5点以下)となっている低評価映画を実際に観る企画。
第二回目は、2009年公開の『ドラゴンボール EVOLUTION』だ!!
レビュースコア1.6。トップクラスの酷評作品だけど…
まずは『ドラゴンボール EVOLUTION』にどんな評価が寄せられているかを確認したい。
Filmarksには本作に5000件以上のレビューが寄せられているが、そのうち78%が2.0以下と辛口採点。平均スコアは1.6と非常に不評となっている。
実際のコメントも、
- 観なきゃよかった。
- 原作好きなんで残念でした😩
- 噂にたがわぬナニコレっぷり。
- もはや伝説。
などと散々…。
特に「ドラゴンボール的な映画」と形容されるほど、似て非なるコレジャナイ感にショックを受けた人が多いようだ。
はたして本当に面白くないのか? 極めて冷静に、客観的に、正直に『ドラゴンボール EVOLUTION』の感想を書いたので読んでほしい。
「なぜ低評価なのか」がよくわかった
AmazonにあるDVDの商品説明を見ると、あらすじは以下の通り。
祖父である孫悟飯の遺志を受け、世界中に散らばる7つのドラゴンボールを集める旅に出た孫悟空。その目的は、すべて集めるとどんな願いもかなうというドラゴンボールを狙う、ピッコロ大魔王の世界征服の野望を阻止するためだった。旅の途中でドラゴンレーダーを頼りにドラゴンボールを探すブルマと出会い、亀仙人のもとでは厳しい修行を積んで、武術の腕に磨きをかける悟空。やがて武道家としても、人間としてもたくましく成長した悟空は、ブルマや亀仙人達の助けを借りて、ピッコロ大魔王と人類の未来をかけた最後の闘いに挑むのだった――。
なるほど、ちゃんと『ドラゴンボール』っぽい内容だ。
そして観終わった感想だが…
これ『ドラゴンボール』じゃなくない!?!?!?!?
あらすじと内容はズレてないのに、どうして…?
ツッコミどころは多々あるが、挙げるとキリがない。詳しくは服部昇大先生の『邦キチ! 映子さん』をご覧いただきたい。
邦キチ!映子さん 最終話「ドラゴンボール EVOLUTION」前編です。 https://t.co/ecYLhjbLpe
— 服部昇大/映子さん11巻4/24発売 (@hattorixxx) 2018年7月5日
完全に『ドラゴンボール』の要素を借りた別の映画と言わざるを得ない。原作と比べて何が同じかを語ることが難しい作品、それが『ドラゴンボール EVOLUTION』なのだ。
でもカンフーアクションは面白い!
とはいえ、いったん心を落ち着かせて原作とは別物として観直してみると…映画的にはけっこう面白かった。
特に良かったポイントを挙げ、ひとつずつ説明したい。
- カンフーアクションがカッコいい。
- 孫悟空、ブルマ、亀仙人の配役はいい感じ。
- 原作とは違うけどチチのキャラクターが良い。
カンフーアクションは、冒頭の孫悟空と育ての親・孫悟飯による修行シーンからワイヤーアクションがバシバシと使われ、創造性豊かな動きでワクワクさせてくれる。
それもそのはず、監督のジェームズ・ウォンは過去に『ザ・ワン』で武術家でもある俳優ジェット・リーと仕事をしているし、製作には『少林サッカー』などで有名なチャウ・シンチーが参加。
アクションを監修した87Elevenも、今や『ジョン・ウィック』などで知られる世界有数のスタントチームとなっている。
正直、ダメになる要素が見当たらない。カンフーアクションは見ごたえ十分だ。
配役もなかなかしっくり来る
キャスト陣は、そもそも原作に登場しないオリジナルキャラもいて不可解な部分が多い。
だが、孫悟空役のジャスティン・チャットウィンは意外としっくり来た。エミー・ロッサムが演じるブルマも、頭髪に原作のブルマと同じ水色のメッシュが入っていてポイントが高い。
亀仙人役のチョウ・ユンファは、存在感が強すぎてチョウ・ユンファ本人にしか見えない…。でも、そもそもハリウッド作品でノリの良いチョウ・ユンファが観られる作品は少ないので嬉しくもある。チョウ・ユンファのファンにはたまらないだろう。
特にチチの描き方は今のほうが刺さりそう
最後にチチだが、原作とは設定がまったく異なるものの、好感が持てるキャラクターだった。
ハイスクールのマドンナでトロフィー的シンボルとして登場するも、それは本来の彼女ではない。武術が好きで、自分らしさを持った女性として描かれている。物語終盤ではテンポの良いカンフーアクションも見せてくれる。
公開当時よりも今の時代にあったキャラクターとして、魅力的に映りそうだ。
原作と比べると胸がパチパチする問題作だが、映画としてはちゃんと魅力がある。
話のネタだけでなく、観て損はない映画ではないだろうか。