ICRPの内部被曝評価モデルは合っているのか? その2

昨年4月の、ICRPの内部被曝評価モデルは合っているのか? http://togetter.com/li/805920  の試算結果をまとめました。
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【ICRPの内部被曝評価モデルは合っているのか? その2】  昨年4月に問題提起した、ICRPの内部被曝評価モデルは合っているのか? togetter.com/li/805920  を検証するために、Te132/I132とI131について、体内での壊変数を試算してみました。

2016-07-18 22:47:24
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疑問の出発点は、UNSCEARの初期被曝量評価で、Te132の外部被曝と内部被曝の寄与度がなぜ大きく違うのか、ということです。下図の通り事故後数日間の外部被曝への寄与度はTe132が高いのに、内部被曝のほうはわずかです。 pic.twitter.com/T3DQAuqi3t

2016-07-18 22:49:23
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その原因は、現在のICRPモデルでは血液が全身に均一に分布することを想定しているため、半減期が2.3時間と短い娘核種のI132が血液中で壊変する分が過小評価になっているのではないか、というのが前回まとめの仮説です。

2016-07-18 22:50:28
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こちらが現在使われているICRPモデルの血液コンパートメントの前提条件です。 twitter.com/iPatrioticmom/…

2016-07-18 22:51:17
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ICRP30は「通過コンパートメント中に起こる変換は、全身中に均等に分布するものと仮定する」としており、血液コンパートメントでの壊変のうち、臓器重量/全身重量分の壊変が各臓器で起きると想定されています。 pic.twitter.com/z9kIvHpjlc

2015-04-22 20:38:38
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ICRP89によると、臓器に含まれる血液量は心臓、肺、肝臓、動静脈の血液だけで全体の53.5%ですが、重量は4臓器合わせても全身重量の5%未満。このため血液を臓器の重量/全身重量で評価すると、大幅な過小評価となると考えられます。 twitter.com/iPatrioticmom/…

2016-07-18 22:52:35
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血液をICRP30のように全身均等配分する場合と、ICRP89のデータに基づく配分ではどのくらいの差がでるでしょうか? ICRP89の主な臓器の重量と血液量の割合を比較してみました。 pic.twitter.com/rd0QX2r1AW

2015-04-22 20:43:45
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このために体内で崩壊するTe132/I132のうち、どのくらいが内部被曝の線量評価に含まれていないのか試算するため、体内の各臓器でのTe132/I132の壊変数を100Bq吸入・経口摂取した場合について計算し、I131の場合と比較しました。

2016-07-18 22:53:31
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「原子炉事故時放射線影響解析で用いるための内部被曝線量係数」iaea.org/inis/collectio… … の体内動態モデルと移行係数を使い、Excelで体内の各コンパートメントで何回壊変するかを1分ごとに計算し、10万分(60日間)分を合計しました。

2016-07-18 22:55:15
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体内動態モデルは、放射性物質が体内のどの臓器にどれくらいの速度で移行するかを示しています。摂取された放射性物質が、各臓器にとどまっている間に崩壊する数を、すべての臓器について数えることになります。(Te132とI132の動態モデル) pic.twitter.com/L3Moip77Gk

2016-07-18 22:57:31
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①-1 Te132ー吸入摂取 移行係数と100Bq肺に摂取した場合の各コンパートメントでの壊変数を計算(ファイルが大きいので画像は1部のみ) pic.twitter.com/3CdRge2tH2

2016-07-18 22:59:26
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①-2 I132ー吸入摂取 移行係数と各コンパートメントでの壊変数 (放射平衡で吸入することを想定して、100Bq肺に吸入したI132とTe132から壊変したI132について計算しています) pic.twitter.com/6gtDRtNEaj

2016-07-18 23:00:58
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①-3 Te132とI132の血液コンパートメントでの壊変数 pic.twitter.com/7oCcpXGy8r

2016-07-18 23:02:34
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②-1 Te132- 経口摂取 移行係数と100Bq胃に摂取した場合の壊変数 pic.twitter.com/ImiWLhwH5v

2016-07-18 23:03:50
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②-2 I132ー経口摂取 移行係数と各コンパートメントでの壊変数 (放射平衡で摂取することを想定して、100Bq胃に吸入したI132とTe132から壊変したI132について計算しています) pic.twitter.com/LrNvkSuuEJ

2016-07-18 23:05:06
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②-3 経口摂取 Te132とI132の血液コンパートメントでの壊変数 pic.twitter.com/kVGehCC3ZZ

2016-07-18 23:06:37
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③-1 I131- 吸入摂取 移行係数と肺に100Bq吸入した場合の各コンパートメントでの壊変数 pic.twitter.com/mZBaCOZuEQ

2016-07-18 23:07:47
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③-2 I131ー経口摂取 I131 経口摂取 移行係数と100Bq胃に摂取した場合の各コンパートメントでの壊変数 pic.twitter.com/CJ0Cn7VeKM

2016-07-18 23:09:19
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① Te132/I132 吸入摂取 各コンパートメントでの壊変割合 pic.twitter.com/PSxfxTmOcu

2016-07-18 23:10:50
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② Te132/I132 経口摂取 各コンパートメントでの壊変数と割合 pic.twitter.com/KZcTyQbfBH

2016-07-18 23:11:46
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③ I131 吸入摂取と経口摂取 各コンパートメントでの壊変数と割合 pic.twitter.com/92BStJ93SY

2016-07-18 23:13:24
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吸入摂取されたTe132は肺に滞留するため(デフォルト値のTypeMの場合)、当初の推測通り、I132の7割が血液中で崩壊することがわかりました。経口摂取の場合は胃腸管で壊変する割合が多く、血液中での壊変数は36%でした。

2016-07-18 23:14:15
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一方、I131は吸入も経口もほとんどが甲状腺と膀胱で壊変し、血液中では崩壊しません。100Bq吸入摂取した場合の体内での総壊変数は、I131が4500万回、Te132の娘核種のI132は3900万回ですが、約7割が血液中で崩壊するため、線量評価には含まれないことになります。

2016-07-18 23:14:49
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実際には、現在用いられているファントムには血管がありませんので、評価したくてもできないわけですが、現在開発されている最新のファントムでは血管も再現できるようです。icrp.org/docs/2015tokyo…pic.twitter.com/Rs5heolRLv

2016-07-18 23:15:44
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血液中で崩壊するI132のγ線やβ線がどこにどのくらい吸収されるかは、このファントムでモンテカルロコードを使って計算しないとわかりません。この試算結果をICRPの第2委員会に伝えて、Te132の再評価を依頼する予定です。

2016-07-18 23:16:09