悪い男に騙される山城【解】『HAruna's waRD』最終話

見る人すべてを震撼させた読者参加型なりきりストーリーアカウント『悪い男に騙される山城』の解ストーリー『HAruna's waRD』! 最後の試練をくぐり抜けた、その先に… ※随分と間が空いてしまいましたが、以前まとめてくださっていた方の引き継ぎとしてまとめます 前→http://togetter.com/li/1004986 続きを読む
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提督と艦娘達は必死に考えました

金剛@元帥復帰までツイ減 @Kongou_not

#騙榛名実況 YAMASIROTOHARUNA 左右非対称なのは SRRN ……うーん

2013-12-16 02:54:52

そして…
 
 
 
 

あの頃の榛名 @harunas_ward

【『悪い男に騙される山城』&『悪い男に騙される山城HARD~悪い男に騙されない榛名』】 【エンディング 開始】

2013-12-18 19:43:48
あの頃の榛名 @harunas_ward

あれから2週間が経過した。 奴の言葉と元からの予想通りに、独房での生活が強制された。今度はあの島ではなく、鎮守府内の艦娘反省用の部屋で、移動が束縛された以外は想像以上に優遇された日々を送る事ができた。 幾つかの精神鑑定、知力テスト、身体測定を終え、私は解放された。

2013-12-18 20:06:15
あの頃の榛名 @harunas_ward

久し振りに見る窓からではない空の青さに、軽く感動すら覚える。 今日解放される事実は誰にも伝わっていないらしい。なので迎えが来るわけも無い事を承知しながら、仲間達の顔をすぐに見れない事を寂しく思う。 まずは一番最初に行かなければならない場所がある。 自分の部屋よりも。

2013-12-18 20:09:26
あの頃の榛名 @harunas_ward

鎮守府内のアスファルトを歩く。 職員や工員の人達の姿しか見ない。 みんなは何かの任務中だろうか。あるいは、食堂に行けば誰かがいるかも知れない。寮の1階に設けられた談話室でもいい。 …いいか。 1人で行こう。 1人で、伝えよう。

2013-12-18 20:12:30
あの頃の榛名 @harunas_ward

歩く。 意識しないと、いつの間にか下を向いている自分に気付く。 爪先を見ている事に気付く度に顔を上げ、あまり行った回数の無い場所を目指して歩き続ける。 こんなに遠かったかしら。 それとも。 「行きたくない」とどこかで思っているのかも知れない。

2013-12-18 20:14:50
あの頃の榛名 @harunas_ward

不意に名前を呼ばれる。 凄く聞き覚えがありながら、今日耳にする事を全く想定していなかった声に。 足元に転がる小石を見ていた顔を上げる。

2013-12-18 20:16:55
あの頃の榛名 @harunas_ward

先、生…? 見えた笑顔を信じる事ができず、しばらくの監禁生活でおかしくなったんじゃないかと自分を真っ先に疑う。 そんな私を見て、先生の笑顔が少しむっとしたようなものになる。 「なんだい幽霊でも見たような顔して。私が死んだとでも思ってたの?」 否定より先に足が動いた。

2013-12-18 20:20:32
あの頃の榛名 @harunas_ward

抱き着くのを辛うじて堪える。 白衣ではない上下共に長袖の私服から包帯が見え隠れしていて、両手で松葉杖をついていたからだ。 目の前で急ブレーキして、色んな言葉が頭の中でぐるぐるして結局出てきたのは「先生!」だけだった。 先生の笑顔が戻る。 「ふふ。落ち着きなよ、榛名」

2013-12-18 20:24:02
あの頃の榛名 @harunas_ward

先生が笑顔はそのままで右手を私の顔の前にすっと上げる。 ? デコピン。 下手な銃撃より余程重い攻撃に、額を押さえてうずくまるしかない。 腰に寄り掛からせた松葉杖を改めて持ち直しながら、しゃがみこんだ私を先生が見下ろしてくる。 「出所して真っ先に私の所に来なかったからね」

2013-12-18 20:28:11
あの頃の榛名 @harunas_ward

だ、だって…! もう動けるようになってるなんて…! 慌てて立ち上がり、涙目のまま言い訳をする。 「わかってるわかってる。冗談だよ。ほら、涙拭きな。艦娘がデコピンくらいで泣くな」 違っ…これは…。 言って気付く。先生なりに気を遣っているんだという事に。

2013-12-18 20:30:38
あの頃の榛名 @harunas_ward

「ほら、行くよ」 怪我もまだ軽くない上に、松葉杖での移動だというのに、結構な速さで先生が歩き出す。 あ、はい…! 私が行こうとしていたのと同じ方向へ、どんどんと先生が進んでいく。 あの…! 話さないといけない事がいっぱいあるんです…! 徐々に明るくなっていく道を。

2013-12-18 20:34:06
あの頃の榛名 @harunas_ward

本当にごめんなさい、先生…! 私のせいでっ…! 殺しかけた。自分の意思ではないとは言え、私はこの手で目の前の女性を撃った。あの時の感触と光景が浮かび、言葉の後半が裏返る。 「あーいいよいいよ。そろそろ連休欲しいなーと思ってたからね、むしろ感謝してるよ」 のほほんと返される。

2013-12-18 20:38:14
あの頃の榛名 @harunas_ward

先せ… 「いいから。避けられなかった私が悪いんだよ。艦娘に生まれなくて良かったわー」 からからと笑って、変わらないペースで歩き続けている。 今のこの気持ちをどう表現すればいいのかわからなかった。 考えてもわからなそうだったので、お礼だけを口走る。 お礼しか言えるわけがない。

2013-12-18 20:41:15
あの頃の榛名 @harunas_ward

「目ぇ覚ましたら揉め事全部片付いてたからねー。浦島太郎の気分だわ。って誰がおばあさんか!」 い、言ってません! 「私の協力なんかなくても、解決してんじゃーんちくしょー」 そんな! 先生が調べてくれた事があったからこそですね…! 並んで歩く。たった2人で。

2013-12-18 20:44:24
あの頃の榛名 @harunas_ward

でも、こんなに早く回復するなんて思ってませんでした。 「あーそれねー。医師連中もみんな言ってたわ」 やっぱ早いんですよね。 「はは、そうね。まぁ…あの子の血のおかげかもね」 あ…。

2013-12-18 20:48:30
あの頃の榛名 @harunas_ward

そう言えば…、輸血したんでしたっけね…。 「あーそうだ、榛名。聞きたい事があったんだ」 はい、なんですか? 血の話がぶつ切りにされる。構わない。 「話の顛末はもう全部聞いたんだけどさ、榛名からしか聞けない事があるんだ」 ? 私だけ、ですか? 「おう。あのさ…」

2013-12-18 20:55:15
あの頃の榛名 @harunas_ward

「あの子は最後、どんな顔をしてた?」

2013-12-18 20:55:55
あの頃の榛名 @harunas_ward

立ち止まっていた。 それに気付いていないのか、構わず先生だけが進み続ける。 十歩程先の位置で、先生が止まる。 振り向いてはこない。 ただ、返事と私が追い付いてくるのを、待っている。

2013-12-18 20:59:00
あの頃の榛名 @harunas_ward

辺りに建物が何も無い道は、見える限り私と先生しかいない。 他には、誰もいない。

2013-12-18 21:01:25
あの頃の榛名 @harunas_ward

笑って…いました。 やっと出てきた言葉は、言葉が足りなかった。 「…そっか」 小走りで追い着く。先生も私を見ないで再び歩き出す。 「ならいいんだ。だってさ…」

2013-12-18 21:03:27
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