こじらせたリーマン20160905-20160911

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こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろチョロ松が電車に揺られている頃

2016-09-05 08:12:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

運よく席があいていたので座れた。ひしめき合う人の気配を感じながら、目を閉じる。ひどくされたせいで、まだ体の一部がしくしくと痛んでいた。そして心は、それ以上に

2016-09-05 08:13:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

けれどこれだけが、彼とつながっていたという証だ。幾度となく生を放たれても、僕の中で結実することはない。何も産まない行為が残していく、数少ない痕。

2016-09-05 08:13:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

昨日は珍しく昼に目が醒めた。そうして、部屋を見渡すと、一緒に眠ったはずの弟の姿は無く。代わりにラインが届いていた。「女の子と出かける約束があるから、帰るね」だって。あいつらしいな、と思って、少し笑って、少し泣いて、また寝た。

2016-09-05 08:14:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

ゆっくり休んだせいで、目は冴えている。けだるい痛みと、いやに覚醒した頭で、今日も働かなければ。 あいつも働いている、あの会社で。

2016-09-05 08:15:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろチョロ松が飲み会に誘われる頃

2016-09-05 10:20:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「松野さあ、また顔色悪いけど大丈夫か?」声をかけてきたのは経理部の先輩だ。……自分ではわからないけど、僕は気分や体調が顔に出やすいのかもしれない。今日は体調よりも精神面がぼろぼろだ。とはいえそんなことは先輩には言えないので、平気ですと答える。

2016-09-05 10:21:01
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「そうか?じゃあ、今日一杯どうだ?営業とか他の部署のやつらも適当にさそって、飲みに行こうと思ってるんだ」 「ええ、と……」 月曜から、しかも今のような気分では、とても飲みに行く気にはならない。おまけに営業の人間も誘うというのも気になる。多分、間違いなくあいつは来るだろう。

2016-09-05 10:22:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

適当な理由をつけてお断りし、仕事に戻った。

2016-09-05 10:23:00
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろおそ松が会社近所の定食屋で昼ご飯を食べる頃

2016-09-05 12:22:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

いかにも80年代な雰囲気がくせになる店で、食券を買い、雑然とした店内の隅に腰掛ける。今日はハンバーグ定食だ。ここのは大味でボリュームがある。料理を待ちながら、以前ここへチョロ松と来た時のことを思い出す。そして、土曜日のことも。

2016-09-05 12:23:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

もう、前みたいに、チョロ松と昼を過ごすことも、難しいだろうな。決定的な言葉をつきつけたのは自分なのに、どうしようもなく胸に穴が開いた気分になる。さみしい。さみしい。

2016-09-05 12:24:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

それでも時計は回っていて、社会の歯車として働かなければならない。彼がいる、あの会社で。ため息をつきそうになったところで、同僚からラインがきた。飲み会が有るからどうだ、と。丁度落ち込んでいるし、気晴らしにはいいかもしれない。了承の返事をすると同時に、注文した定食が届いた。

2016-09-05 12:25:01
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろおそ松が飲み会で酒を飲む頃

2016-09-05 19:31:05
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

突発的な飲み会にしては、それなりに人数がいると思った。総務の若い子や経理の女子、営業からは良く一緒に居る同僚と後輩、それから隣の席の彼女も。経理の先輩が音頭をとって、乾杯をして適当に飲む。お偉いさんがいない飲みは気楽でいいね。

2016-09-05 19:32:12
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「おーこっちの松野は元気だな」言いながら、その経理の先輩が俺の隣に座る。続けて、向かいの経理の女子が、「うちの松野さんはうかない顔をしてましたね」と会話に混じってきた。 「えー俺はいつも元気っすよ。あいつは知らねえけど」 「そうなのか?お前ならなんか知ってると思ったんだがな」

2016-09-05 19:33:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「……なんでそう思うんですか」 「お前あいつの世話よくやいてるだろ?酔っぱらったら介抱するし、風邪ひいたら家まで送ってやるし」 「あーまあそれはー」 あまり周りに突っ込まれたことが無かったから気にしてなかったが、そんな風に思われてたのか。

2016-09-05 19:34:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「仲良いっていうか、保護者みたいですよね。でもそうかー。営業の松野さんでも、うちの松野さんがどうしてあんな風なのかはわかんないのかあ」女の子がぐびりと酒を飲む。手にしていたのは焼酎のロックだ。結構いける口らしい

2016-09-05 19:35:04
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「保護者て。ていうかあんな風って何?」 「なんか…元気ないって言うより、色っぽくなったと思うんですよねえー…」ぐっ。思わず咽そうになる。 「た、ただ体調が悪いだけじゃねえの~?」ビールを飲みながら焦りを飲み込む。経理の女子は胡乱な目を俺にむけ、そうかもしれないですね。と言った。

2016-09-05 19:36:06
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「んで、体調崩したらまた送ってあげるんですか~?ねつれつ~」 「んなことしねえよ、もう……。」というかできない。今となっては。

2016-09-05 19:37:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「あんま心配すると、うざがられるからさ」 「へえ?やっぱ心配してあげてるんですね。やさし~」こいつ結構酒回ってんじゃないの。経理の先輩は経理の先輩で、いつのまにかよそにいって映画の話に花を咲かせている。酔っ払いの相手を一人でするのはきつい。

2016-09-05 19:38:07
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

と、そこに同僚のやつと例の彼女がきた。これは助かった。 「何の話してるの?」と営業の彼女。そういえば経理の子と仲良いんだっけ。 「松野さんがまつのさんのことめちゃくちゃ心配してるってはなしです~」あ。これ助かってないかもしんねえ。早く話題を変えたい。

2016-09-05 19:39:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「いやまああいつちょっと危なっかしいところあるから、ちょっと気になるなーっていうのはあるよ?似たような名前のよしみっていうのもあるし。でもほんとそれだけ。あんま関わるとあいつにも迷惑だから、もうあんま構わねえよ」

2016-09-05 19:40:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

いったい誰に対する言い訳だろう、と思いながらまくしたて、一気にビールをぐいっと飲む。忘れよ忘れよ。経理の子は「もっとくわしく」とか「キスマークが云々」と言っていたが無視だ無視。話題をすこし強引に変えて、寿退社する人事の女性の相手はどんな人か、という会話に持って行った。

2016-09-05 19:41:04
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