高橋源一郎氏の5夜連続「小説ラジオ」ほぼ日ust

「メイキングオブ「さよなら、ニッポン ニッポンの小説2」」 第一夜、「生涯に一度しか文章を書かなかった老人の話」 第二夜、「神話的時間について」 第三夜、「一度だけの使用に耐えうることば」 続きを読む
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高橋源一郎 @takagengen

もうすぐ14日ですね。14日の24時から(つまり15日の0時から)、「小説ラジオ」を何日間か続けて「放送」します。今回は、ちょっと形を変えて、糸井重里さんの「ほぼ日スタジオ」からUst中継します。 http://bit.ly/hqkWtg

2011-02-13 23:04:38
高橋源一郎 @takagengen

もともと、「小説ラジオ」は、去年の五月、ぼくの新しい小説「「悪」と戦う」の発売に合わせて、そのメイキングについてしゃべるために始めたのでした。調べてみたら、その時は、13日間も続けてやったんですね。一回はいまより短くて、20ツイートぐらいでした。

2011-02-13 23:07:20
高橋源一郎 @takagengen

今回は、ぼくのいちばん新しい本、「さよなら、ニッポン ニッポンの小説2」の発売(18日)に合わせて、やはりそのメイキングをやってみたいと思っています。この本、表紙に、岡崎京子さんの「リバーズ・エッジ」の絵を使っています。岡崎さんに直接手紙を書いて、許可をいただきました。

2011-02-13 23:11:25
高橋源一郎 @takagengen

中身も外観も最高のものにしたかったのです。「さよなら、ニッポン」は、いろいろなものに(たとえば、文学に)「さよなら」する物語でもあります。その中身にいちばんぴったり来る絵はなんだろう、そう思った時、岡崎さんの絵が浮かんだのでした。そのことは、また、後で、ですね。

2011-02-13 23:15:30
高橋源一郎 @takagengen

「メイキング」とはいえ、「さよなら、ニッポン」についてばかりしゃべるわけではありません。「メイキングオブ「「悪」と戦う」の時もそうでしたが、実際には、本とは直接関係のない、ぼくがその時考えている、もっとも大切に思えることをツイートすることになるはずです。

2011-02-13 23:17:53
高橋源一郎 @takagengen

今回始めて、「ほぼ日」スタジオからUST中継します。キイボードをたたくところが「絵」になるかどうかは、ぼくにもわかりないけれど、意外に面白いことになるかもしれませんね。こんなことになった理由の一つは、この本の最後に、糸井さんの唯一の(そして傑作)小説のことが書かれているからです。

2011-02-13 23:21:59
高橋源一郎 @takagengen

このアドレスで、「さよなら、ニッポン ニッポンの小説2」の画像と、明日からの予定と両方見られます。 http://www.1101.com/shosetsu_radio/test02431dft.html

2011-02-13 23:32:18
高橋源一郎 @takagengen

表紙に使わせていただいた岡崎さんの絵の上の吹き出しの中には、こんなセリフが入っています。「いったい死体はどこ行っちゃったんだろう?」。ぼくが、この本の中で書きたかったことを、岡崎さんのこのセリフは一言でいってくれたように思ったのでした。

2011-02-13 23:40:04
高橋源一郎 @takagengen

この何十年かの間に、小説(やその他の、ニッポンのあらゆるところ)で、死んでいった「もの」たちの死体は、どこに消えちゃったんだろう。その行方を知ることは、ぽくたちがこれから生きてゆくために、絶対に必要だと思ったのでした。

2011-02-13 23:43:58
高橋源一郎 @takagengen

明日、夜、伺いますので、よろしくお願いします。 RT @itoi_shigesato: もう24時間後ですね。ぼくは、どこにいて参加しようかなぁ。

2011-02-13 23:47:02
高橋源一郎 @takagengen

おはようございます。昨日、ある女の子のママから「れんちゃんへのチョコレートがあるので、明日、パパにお渡しします」という連絡がありました。よかったね、れんちゃん……。

2011-02-14 07:00:36
高橋源一郎 @takagengen

修士論文の口頭試問を終え、れんちゃんをピックアップして帰宅。今夜から、「小説ラジオ」出張篇です。

2011-02-14 17:03:16
高橋源一郎 @takagengen

ぼちぼち、糸井事務所に出かける準備をします。すごい雪。たどり着けるのか……。今晩の「小説ラジオ」、このアドレスで「見る」ことができます。もちろんいつものようにツイッターでも。 http://www.1101.com/shosetsu_radio/2011-02-14.html

2011-02-14 21:29:49
高橋源一郎 @takagengen

「小説ラジオ」・本日の予告編1・今夜から、何夜か続けて「小説ラジオ」を流します。タイトルは「メイキングオブ「さよなら、ニッポン ニッポンの小説2」」となる予定です。

2011-02-14 22:18:58
高橋源一郎 @takagengen

「小説ラジオ」・本日の予告編2・「さよなら、ニッポン」という本の中で、ぼくは、ことばというものの恐ろしさ、すばらしさ、そのすべてについて書いてみたいと思いました。でも、この「メイキング」では、本に書かれたことよりも、本からもはみ出したことについてしゃべりたいと思っています。

2011-02-14 22:21:55
高橋源一郎 @takagengen

「小説ラジオ」・本日の予告編3・今日のタイトルは、「生涯でたった一つの文章しか書かなかった老人の話」です。ぼくは作家だから、文章をたくさん書きます。みなさんも、多かれ少なかれ、そうですよね。その一方、文字や文章と一切関わらず、生涯を過ごす人もいます。それも不思議じゃありません。

2011-02-14 22:25:54
高橋源一郎 @takagengen

「小説ラジオ」・本日の予告編4・でも、生涯で一度しか文章を書かない、というのは、そのどちらとも違うような気がします。そして、それは、どんな文章なんでしょうか。ぼくは、その文章を読んだ時、ことばに尽くせぬ感銘を受けました。そして、その文章には、どんな秘密があるのかと考えたのでした。

2011-02-14 22:28:05
高橋源一郎 @takagengen

「小説ラジオ」・本日の予告編4・でも、生涯で一度しか文章を書かない、というのは、そのどちらとも違うような気がします。そして、それは、どんな文章なんでしょうか。ぼくは、その文章を読んだ時、ことばに尽くせぬ感銘を受けました。そして、その文章には、どんな秘密があるのかと考えたのでした。

2011-02-14 22:28:05
高橋源一郎 @takagengen

「小説ラジオ」・本日の予告編5・今日は、その文章が、どうして書かれたのか、そこに、いったい何があるのか、について考えていこうと思っています。もちろん、その文章も、引用するつもりです。

2011-02-14 22:30:04
高橋源一郎 @takagengen

「小説ラジオ」・本日の予告編6・今日は大雪です。東京は、白い雪でおおわれようとしています。雪が降ると、地上のどんな汚れも消え、すべてが浄化されたように見えるのです。今日のテーマにふわさしい雪だ、とぼくには思えたのでした。では、後ほど、24時にお会いしましょう。

2011-02-14 22:33:07
高橋源一郎 @takagengen

「午前0時の小説ラジオ」・「メイキングオブ「さよなら、ニッポン」」1・「生涯に一度しか文章を書かなかった老人の話」1・ぼくがこの話を読んだのは、朝倉喬司さんの「老人の美しい死について」という本の中だった。そこでは三人の老人(の死)について書かれていた。そのひとりが、木村センだ。

2011-02-15 00:00:01
高橋源一郎 @takagengen

「文章」2・木村センは、明治24年(1891年)、群馬県吾妻郡中山村(現・高山村)に生まれた。父なし子だった。そのせいだろうか、「センは子どものころ「人目につくのが何より恥ずかしく」、自分の背が伸びるのすら嫌で、いつも背中を「猫にして」歩き、学校にどうしてもなじめなかった……」

2011-02-15 00:03:30
高橋源一郎 @takagengen

「文章」3・「……教師の質問に、答えられるのに手を挙げられず、教室ではいつも、モンペの膝小僧の継ぎ目から藁くずをほじくり出していた」。字はならったが、農民の子のセンは、字を書く必要がなかった。これから死ぬまで、センが字を書くのは、選挙の時、候補者の名をひらがなで書く時ぐらいだった

2011-02-15 00:06:59
高橋源一郎 @takagengen

「文章」4・センは18歳で、同じ村の農家に嫁ぐ。「以後、借金で傾きかけていた木村の家を立て直すべく、一心不乱に働く日が続く。田畑の仕事、開墾、草刈り、縄ない、家畜の飼育、薪取りなどなど、そして育児。夫との間に生まれた子どもが5男4女。うち3人が未成年のうちに結核などで早逝」した。

2011-02-15 00:10:38
高橋源一郎 @takagengen

「文章」5・読んでご覧の通り、木村センは、無数にいた、農婦のひとりにすぎない。センの息子は、どんなに早く起きても、いつも母親のセンは先に起きていて、なにかしら仕事をしていたと語っている。センは、働いて、働いて、ただひたすら、無言で働き、黙って死んでゆく農民のひとりだった。

2011-02-15 00:13:17
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