掌小説語り~自作つぃのべる集~33

自作つぃのべるのまとめです。 2016年1月分。
0
リュカ @ryuka511

花売りの少女に恋をした。だけどお金なんて無いから、遠くから見つめるだけ。彼女の花は綺麗なのにあまり売れてない。僕にお金があれば花を全部買って、そのお金で彼女に暖かいコートを贈るのに。だがある日身なりのいい紳士が彼女の花を全部買った。彼女は複雑な顔で微笑んでいた。 #twnovel

2016-01-25 23:55:51
リュカ @ryuka511

「祭りを荒らそうとする者の気配があります。偵察を」陰陽師の命に、式神の青猫は心得たとばかりに頷きひらりと消えた。「今宵は祭りを楽しみたいですが」背後に迫る黒い影に水晶の数珠を握る。「そうも言っていられませんね」最も気に入りの青猫を外へやって良かったと安堵する。 #twnovel

2016-01-27 00:29:14
リュカ @ryuka511

魔王を追い詰めながら何かおかしいと思い始める。魔王城はこんなに華やかだっただろうか。魔王はこんなにも弱かっただろうか。気のせいだと首を振る。最終決戦に気が昂ぶっているだけだ。振りかぶり魔王にとどめを刺した、はずだった。 #twnovel 「逆賊だ!」「捕らえろ!」魔王は、どこだ?

2016-01-28 00:36:19
リュカ @ryuka511

微かに聞こえる呪文のような唄に惹かれて、立ち入り禁止の塔を登る。最上階で痩せ細った女性が、掠れた声で唄っていた。私の唄が聞こえるのね、ここから連れ出してと手を伸ばす。彼女の笑みにほだされ、この塔が何だったかも忘れ、彼女の手を取った。 #twnovel 瞬間、世界は闇に閉ざされた。

2016-01-29 00:04:36
リュカ @ryuka511

敵のアジトへ潜入する。暗闇の中交わす言葉は無く、ただ互いの死角を庇い進む。視界は殆ど無く、背中で感じる温もりだけが相棒の存在を確認させてくれる。共に死線を越えた仲だ、背中からでも想いが伝わる。多くのものを失った。それも今日で終わる。敵を殲滅するか、俺達が死ぬか。 #twnovel

2016-01-29 23:44:31
リュカ @ryuka511

彼が戦で死んだなどと信じません。永久に共に在ろうと誓ったのです。彼が死んだのなら私も死んでいるはず。しかし私は生きている。彼が生きている証です。 #twnovel 奥様はお屋敷を飛び出され馬車に撥ねられました。奥様の亡骸に鎧姿の旦那様が寄り添っておられたのが、今でも忘れられません

2016-01-30 23:54:54