掌小説語り~自作つぃのべる集39~

自作のつぃのべるまとめです。 2016年7月分。
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リュカ @ryuka511

アサシンは仕留め損ねた標的を追う。傷を負った標的は街から離れた村に逃げ込んだ。どこへ逃げても無駄だとアサシンは笑う。せっかくだから傷が回復するのを待ってやろう。手負いの敵をいたぶるのは美学に反する。これは任務だが個人的な復讐でもあるのだ。楽しくやらせてくれよ? #twnovel

2016-07-01 00:33:26
リュカ @ryuka511

長い旅から戻った友人の話を聞きたくて列車に揺られる。大きな鞄にはペンとインクとノート。旅の話を私が唄う叙事詩の参考にさせてもらうのだ。思い出通り駅で待つ変わらない笑顔。尽きない話に笑い合いペンを走らせる。これは現実だ、思い出の世界ではない、そう言い聞かせながら。 #twnovel

2016-07-01 23:53:11
リュカ @ryuka511

最終決戦を前にふいに発せらたその言葉は僕を不安にさせる。「必ず全員で生きて帰ろう」と約束した。どんなに敵が強大でも、仲間を犠牲にした勝利に価値はない。君の役目はこの戦いに勝利し、平和な世界を一緒に見届ける事だ。君が約束を反故するなら、僕は平和な世界など望まない。 #twnovel

2016-07-02 23:35:19
リュカ @ryuka511

たんぽぽの花を薬指に結びんでくれた幼い頃の君。もうすっかり枯れてしまったたんぽぽの指輪を、捨てられず大切にとってある。風にさらわれる綿毛のように急に居なくなってしまった君。新たな地で、別の恋をしているんだろうか。幼い約束を本気にしている私を、覚えているだろうか。 #twnovel

2016-07-03 23:00:34
リュカ @ryuka511

いつも遠くから警護するだけ。下っ端の私の事など、あなたは知るよしもないでしょう。それでもいいのです。城の外から恋慕うだけだった頃に比べれば、ずっと近い場所にいるのですから。縁も絆もまして運命も赤い糸だってないけれど、私はあなたの傍に居ます。この身をあなたの為に。 #twnovel

2016-07-04 23:26:12
リュカ @ryuka511

この姿が恐ろしいなら、貴方の望む姿にしよう。可憐な小動物が良いか、雄々しい肉食獣が良いか。地上の生き物なら、何の姿にでも変えられる。何だったら人の姿をとるのも、貴方が望むなら構わない。だから教えてくれ。どうすれば、こんな姿に生まれた私を愛してくれる? #twnovel

2016-07-05 23:29:36
リュカ @ryuka511

そっと肩を離す。君は帰るべきだ。本当は引き留めてしまいたかったけど、君の中で僕は過去になりつつあると解ってしまった。「また会える?」「もちろん。でも一つだけ約束。向こうに着くまで決して振り返ってはいけないよ」帰り道が一番危険だから。僕と地獄へ行きたくはないだろ? #twnovel

2016-07-06 23:53:50
リュカ @ryuka511

信心深いわけでもない王子が熱心に神殿に通う理由はただ一つ。神殿に仕える神子に恋しているからだ。神職者の恋愛は禁忌。あんなに美しい人が人を愛してはならないなんて。救いたいと思った。だが、神事を行う神子の姿に圧倒される。王子の肩書きの卑小さを突き付けられた気がした。 #twnovel

2016-07-07 23:57:11
リュカ @ryuka511

氷属性のドラゴンが山に居座ってから麓の村は雪に閉ざされた。何とかして立ち去ってもらわなくては、村は凍りつき死に絶えてしまう。青年は猛吹雪の中、決死の覚悟でドラゴンの棲処に近づいた。そこには、氷漬けの卵を守るドラゴンの姿。仕方ない、無事に孵化するまで耐えてやろう。 #twnovel

2016-07-09 00:22:40
リュカ @ryuka511

呪われた城で魔女は涙を流す。誰一人救えなかった。唯一彼女を受け入れてくれた王国だった。何の為に森での暮らしを捨て、城仕えの身になったのかと自分を責める。このままでは終われない。奴を倒し呪いを解くまでここには帰らない。人間と魔法使いの戦争など、終わらせるのだ。 #twnovel

2016-07-09 23:17:17
リュカ @ryuka511

ひょんな事から身柄を預かった幼き罪人を見つめる。妖精界で大罪を犯したというこの妖精は、人間の監視下に置かれるのがよほど気に食わないのか、こちらを見ようともしない。人間の役に立つ事が贖罪になるのだという。僕の癒しになってくれてるけど、それでは到底償えないようだ。 #twnovel

2016-07-11 00:58:06
リュカ @ryuka511

どこかで選択を過ったらしい。歪な未来をあるべき姿に正すため過去を目指す。見つけた分岐点は、君との出会いの瞬間。僕らの過去を無かった事にしなくてはならなかった。他に術無し。これで、君がいない未来は回避される。君の記憶に僕はいないけれど、君の存在が消えてしまうよりは #twnovel

2016-07-12 00:10:43
リュカ @ryuka511

一を喪い、千を救う。英雄とはそういうものなのだ。救った千と、喪った一、その重さを比較してはいけないのだ。世界を救いたかった気持ちは確かだ。だが、その世界には君がいる事が前提だった。放っておけば世界も君も喪われただろう。だから行動を起こしたのに。どうして君だけが。 #twnovel

2016-07-12 23:50:33
リュカ @ryuka511

魔王は構えもせず無防備に立っている。「隙だらけだぜ!」飛びかかった青年は次の瞬間、悲鳴を上げる間もなく八つ裂きにされた。魔王が腕を動かしたようには見えなかった。硬直した一同に魔王は失望する。「隙ではない、黙視しただけ。そんな事も解らんのか。もっと私を楽しませろ」 #twnovel

2016-07-13 23:33:58
リュカ @ryuka511

「Here we go!」ステージから客席を煽れば、期待以上の歓声が上がる。そう、もっと、もっとだ。そんなもんじゃないだろ? 忘れらんない熱い夜にしてやるからもっとぶつかって来い。現実に帰れなかったら、責任とってやるよ。 #twnvday 彼らのライブの後は、行方不明者が多い。

2016-07-14 23:27:36
リュカ @ryuka511

眩暈を覚える程の圧倒的な炎を、ものともせず立っていた君。それは僕が見る君の最後の姿だった。倒れた僕らを庇うように立つ君は、魔王を前に楽しそうな笑みさえ浮かべ、人間には扱えない究極魔法を放った。魔王と共に消えた君。君が何者だろうと構わない。共に生きよう。待ってる。 #twnovel

2016-07-16 00:43:58
リュカ @ryuka511

君と2人で歩く夕暮れは、いつも淋しさをまとっていた。それぞれの家へ帰っていたあの頃よりも、同じ家に帰る今の方が、淋しさは募った。その理由を、久しぶりに見つめ合って知る。この恋はもう、惰性でしかない。見つめ合う事すら久しぶりだという事実が、それを示していた。 #twnovel

2016-07-16 23:14:56
リュカ @ryuka511

魔王は最期の力で魔界を崩壊させると、高笑いを響かせ倒れた。退路は断たれ、崩壊する魔界と共に朽ちるしかない。魔王を倒せても、僕の勝利とは言えない。神託の勇者でさえ、魔界から帰って来なかった。奴の比類なき強さを証明したにすぎない。語り継がれるのは、どちらなのだろう。 #twnovel

2016-07-18 00:09:12
リュカ @ryuka511

草原で2人笑い転げた幼い日々。君にはもう逢えない。魔王軍の襲撃に、なす術なく王国は滅ぼされた。街を焼く炎の向こうに、まだ青い空が見えて、君の空色の瞳を思い出し涙が滲む。君がここにいなくて良かった。この炎を君が目にする事がないように、最期の気力を振り絞って祈った。 #twnovel

2016-07-19 00:46:26
リュカ @ryuka511

心をもったロボットなんていない、というよりロボットに心なんかいらないだろう?機械は機械らしく、プログラム通りに作業を処理すればいい。ミス無く効率良く作業をこなす。知能はあれど心は無い。 #twnovel え?余計な事考えず作業しろ?解っていますともマスター。私に心はありませんよ。

2016-07-19 23:13:45
リュカ @ryuka511

毎年君と見た、見渡す限りの蛍の光。今年も穏やかな川辺は蛍でいっぱいだ。暗闇に浮かぶ無数の淡い光、星空に立ったらこんな感じだろうか。「綺麗だね」君の声が聞こえて振り返る。いるのは蛍だけ。空耳か。この光景に星空を連想したせいだろう。君のいる所は、ここと似てるのかな。 #twnovel

2016-07-20 23:24:38
リュカ @ryuka511

城では穏やかに微笑む姫が、戦を指揮し戦闘用馬車から槍を繰り出す雄々しい少女と同一人物だなど誰が信じるだろう。姫が出陣した戦は連戦連勝、戦女神などと呼ばれた。だが姫は「男に生まれたかった」と度々口にする。自分は女神なんかではない、国を守る者として必死なだけなのに。 #twnovel

2016-07-22 00:17:49
リュカ @ryuka511

分かってますよ、ずっと。お嬢様のお気持ちと私の想いは同じだと。だけどそれは誰にも知られてはいけません。当のお嬢様にさえも。下位の執事に過ぎない私の事など忘れて、お嬢様に相応しい身分の殿方と結ばれるのが、お嬢様の幸せ。想いだけでは、この現実は変えられないのです。 #twnovel

2016-07-22 23:35:00
リュカ @ryuka511

こっちだ!と声を上げ導く。残念だがこの先は総帥の部屋じゃない。総帥の最後の罠へ奴らを導くのが俺の役目。 お前らまとめて天国行きだ。 #twnovel 「待て」リーダーが銃口を突きつける。「ここはダミーだな?」俺の裏切りなどお見通しか。だがお前らじゃ総帥には勝てない。結末は同じだ。

2016-07-23 23:38:24
リュカ @ryuka511

魔女から惚れ薬を貰った。効果は永遠。「結果を受け入れる覚悟があるなら使え」と魔女は笑う。どういう意味だ。彼女が手に入るなら何でもする。薬を飲んだ彼女は恋人の事を忘れ、僕の求愛を受けてくれた。夢にまで見た彼女との暮らしは幸せだった。所詮は全て偽物だと気付くまでは。 #twnovel

2016-07-24 23:40:07