掌小説語り~自作つぃのべる集~33

自作つぃのべるのまとめです。 2016年1月分。
0
リュカ @ryuka511

祭りは終わった。呪術のタイムリミットだ。鬼火が舞う中、笑う黒い人影。世界は終わった。ついに悲願は達成されたのだ。新たに生み出された2016年と名付けられた世界も、1年後には終わると定められている。いつまででも、愚かな祭りを続けるがいい。 #twnovel

2016-01-01 00:29:34
リュカ @ryuka511

ネットを通じて知り合った僕達は、似たような境遇で互いを励まし合っていた。直接会えなくても心を通わせた。でもまもなく、君と手を取り合える。僕達はやっと自由になれるから。銀河鉄道の切符を握り、星座の丘で待ち合わせ。やっと君に会えた。本当は、地上で会いたかったけど。 #twnovel

2016-01-02 00:10:07
リュカ @ryuka511

ふいに揺らめく松明の炎が、壁に写った影を躍らせ兵の恐怖を煽る。妖が潜む洞窟へ潜入し一網打尽にする作戦だ。先を歩く陰陽師が兵の身震いに気付き振り返る。「怖気付きましたか?」「とんでもない!」首を振った兵に陰陽師は微笑む。「ご安心下さい。皆さんに手出しはさせません」 #twnovel

2016-01-02 23:53:13
リュカ @ryuka511

歪んだ世界を正すべく過去を巡る。未来が変わった分岐点は君が事故に遭った時だった。僕は君を助け、君は感謝の証にと僕を傍に置いた。君はやがて世界に君臨する暴君となり、失望した僕は君に銃を向けた。こんな世界は正しくない。だが君を助けなかった世界が正しいと言い切れるか? #twnovel

2016-01-03 23:11:22
リュカ @ryuka511

君の手を引き逃げる。行く当てなど無いけれど、ここにいてはいけない事だけは確かだから。奴らに見つかったら君は壊されてしまう。状況を把握しきれない君に説明するのももどかしく、ただひたすら走った。他人を想って優しい嘘を吐いた君が、欠陥品ロボットだなんて僕は認めない。 #twnovel

2016-01-04 23:31:00
リュカ @ryuka511

友の形見の十字架を胸に提げ戦場を駆ける。肌に触れる十字架は冷たく、俺の熱くなり過ぎる頭を冷やしてくれる。滅ぼされた故郷を出てから、この十字架は俺をずっと守ってくれた。俺の復讐をあいつが止めようとしてるみたいだ。だけど故郷もあいつも無くした俺には、この道しか無い。 #twnovel

2016-01-05 23:51:51
リュカ @ryuka511

無我夢中で生きる幼い私達を締め出した世界を憎んだ。独りきりの私に唯一優しさをくれた君の為、切望しながらも手に入らなかった全てを盗むと決めた。ここにある豊かさも温もりも、全て他の誰かのものだったけど、傷ついた君が笑ってくれるなら、これらは私達のものだと言い切れる。 #twnovel

2016-01-07 00:42:12
リュカ @ryuka511

騎士隊に志願したのは君をこの手で守るためだ。だから、戦で死ぬのは君を守る為に死ぬのと同じ事。自陣で手当を受けながら、薄れゆく意識でそんな事を思う。泣いてるような怒ってるような君の声がした。幻と呼ぶにはあまりにも鮮やかな君の顔。「馬鹿な事言ってないで生きなさい!」 #twnovel

2016-01-08 00:36:36
リュカ @ryuka511

貴方は私を救おうとして下さいますが、私に許されている道は光の射さない方しか無いのです。だってそうでしょう?私の手は罪に染まっています。血に染まるのも時間の問題でしょう。どうか私のことは放っておいて下さい。貴方を闇に落としてしまう前に、私の前から消えて下さいませ。 #twnovel

2016-01-09 00:04:30
リュカ @ryuka511

ぼくはきみの為に罪を犯し、きみはぼくの為に罰を受けた。本当の事は誰も知らない。罪と罰を交換したぼく達は、一蓮托生の運命っていうやつらしい。その檻をきみは絆と呼ぶのなら、それはきっと正しいんだろう。他の誰にも交わらせないぼく達だけの秘密の道は、暗くてだけど温かい。 #twnovel

2016-01-10 00:35:25
リュカ @ryuka511

ノイズだらけのラジオから声が聞こえた気がして、集中し慎重にチューニングする。それはラジオ欄に載っていない都市伝説の深夜放送。仲間を呼ぶDJの声を聞けるのは世界に選ばれた者のみだという。呼び声に応じ消息を絶った者がいると噂され、少年は毎晩必死にノイズに耳を傾ける。 #twnovel

2016-01-11 00:03:46
リュカ @ryuka511

世界を征服した。全ては思いのまま。それは案外、つまらないものだと退屈していた。革命軍の規模が大きくなるまでは。革命軍のリーダーは見所のある奴で、違う立場で出会いたかったと思う。奴の銃弾に胸を貫かれた。『……綺麗だ』薄れる意識で最後に見たのは、満天の星空だった。 #twnovel

2016-01-11 23:06:46
リュカ @ryuka511

旅人に道案内をしたらお礼に魔法のランプをくれた。こんなガラクタで申し訳ないと旅人は言ったがありがたく受け取る。期待を込めてランプを擦るが何も起きず、何をしてもランプは無反応。やがて日が暮れて、ランプに勝手に灯りが灯った。魔法ってそれかと、期待した自分に苦笑する。 #twnovel

2016-01-12 23:56:39
リュカ @ryuka511

あの人は僕に力の使い方を教えてくれた。気味悪がられた力を制御できるようになって、僕はやっと生きていてもいいのだと思えた。だけどあの人は僕を残していなくなった。世界の冷たさを思い出してしまった。僕の神様はあの日死んだ。こんな冷たい世界は終わらせよう。それがいい。 #twnovel

2016-01-14 00:50:39
リュカ @ryuka511

長い旅を共にし第二の我が家とも言えるこの船を去るのは辛かった。だが船は長い旅の中で老朽化し修理の部品も古過ぎて入手困難になったし、私自身も旅を続けるには年を取り過ぎた。潮時であろう。船は海へ、私は陸へ。それぞれの終焉を静かに待つとしよう。 #twnovel #twnvday

2016-01-15 00:05:54
リュカ @ryuka511

「あなたがやったのね」「事故に見せかけるって難しいね」「あれも事故じゃなかったのね」「そうだよ」「どうしてこんな事を」「だって、きみが笑ってくれるから」「事故って聞いて、だから安心したのに」「やだな、そんな顔しないでよ。きみを守る為にやったのに」「来ないで!」 #twnovel

2016-01-15 23:32:08
リュカ @ryuka511

昔いつも一緒にいたあの子。大きくなったら結婚しようなんて真剣に約束したのにあの子は遠い街に行ったまま連絡が取れなくなった。二人で乗ったブランコに乗る。高く漕げば一緒に空までも行けると思ってたのに。片方だけ揺れてるブランコは、錆びた音を立て戻らない時を突き付ける。 #twnovel

2016-01-17 00:02:00
リュカ @ryuka511

心を閉ざし眠り続けるお姫様を救う為、王子様は傷だらけになっても茨の森を進みます。硬い表情のお姫様に、どうか目覚めてと祈りました。 #twnovel 長い夢から覚めお姫様はただの少女に、王子様は少年に戻り、茨は消えたが少年の傷は消えないまま。少年の傷を癒す為、今度は少女が立ち上がる

2016-01-17 23:03:25
リュカ @ryuka511

貴方との恋は罪でした。僅かな時間だったけれど幸せでした。二人の進む先に罰が待ち受けているのは解っていたけれど、どうして貴方だけが罰を受けなくてはならなかったのでしょう。私も同罪だというのに。あれからずっと貴方を探しています。私にも罰を。今度こそ共に生きる為に。 #twnovel

2016-01-18 23:58:51
リュカ @ryuka511

危険な任務に臨みいくつもの手柄を立てても、得るものは周囲のやっかみだけ。報告する俺を貴方は見ようともしない。貴方の為に働く、それは喜ばしい事だけれど。せめて一言労いを、 と願うのは罪なのだろうか。「俺を苦しませて、楽しいですか?」口に出来ない問いは宵闇に消える。 #twnovel

2016-01-20 00:26:45
リュカ @ryuka511

折れた翼は復元された。新たな翼は羽ばたくには大きく重すぎる。それは枷だ。もう自由に飛ぶ事は出来ない。翼を自ら折った事はそんなにも罪深いのか。巨大な翼を背負った姿は悲痛さをまとっていた。手折られた翼の重みに、いつまで耐えられるだろう。 #twnovel

2016-01-21 00:11:28
リュカ @ryuka511

この街を事実上牛耳っているのは、街一番の富豪である実業家だった。表向きは知的で温厚な好青年だが、その仮面の下には残酷な素顔があり、幾多の犯罪により財を成したのだ。いつかその罪を白日の下へさらけ出すと誓う。街を平和に、とは建前だ。こいつの罪の下、消えた妹を想う。 #twnovel

2016-01-22 00:26:05
リュカ @ryuka511

それは魔法仕掛けの恋だった。惚れ薬を作ってあの人に飲ませた。以来あの人は私のもの。とても幸せだけど、薬の魔法がいつ解けるか解らない。あの人を離したくない。また薬を作らなきゃ。 魔法が解けたらもう愛してもらえないから。やっと手に入れた幸せ、逃すわけにはいかない。 #twnovel

2016-01-22 23:51:35
リュカ @ryuka511

遠い雷鳴を聞きながら微睡む。この雷雨は世界を終わらせるのだ。そう思って聞けば、恐ろしげな雷鳴も激しい雨も怖くない。やむ気配のない雷雨に世界の最期を想像する。稲妻に打たれ一瞬で終わるのか、豪雨に崩れるのか。暗い空へ消える世界に思いを馳せながら永久の微睡みを続ける。 #twnovel

2016-01-23 23:52:22
リュカ @ryuka511

森に住む魔女を訪ねた少年はずっと魔女を探していたと、祖父の最期の言葉を伝える為会いに来たという。魔女は会いたくないと少年を追い帰した。少年の祖父は魔女の昔の恋人で、彼は人間の女性を選んだのだ。せっかく忘れていたのに。怒りよりも幸せだった頃を思い出し魔女は泣いた。 #twnovel

2016-01-25 00:07:21