#再びの妄想DM

レオナ @leo_msk_tdys

25. 〈何年か前から、大倉くんのファンがすごく増えて、今じゃ一般の人たちも含めて“カッコいい”って言われ過ぎちゃって、なんだか食傷気味というか…〉 え、飽きられたってこと？ なんか…ショック。 普段こういう事は気にせえへんけど、なんかヘコむわぁ…。 #再びの妄想DM

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26. 〈要は、その状況が気に入らないんだと思う。…大倉くんは私の物なんかじゃないのに、バカみたいよね〉 え、待って、なんなん。 それって…ヤキモチ？ 彼女の言葉の一つ一つに、反応してしまう。 さっき落ちたとこやのに、違う可能性が見えて、ちょっとニヤける。 #再びの妄想DM

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27. 〈相手はアイドルなんだし、私の事なんか知ってる訳ないのに。私のものになるなんて、絶対にないのにね〉 《そんな事ないわよ》 彼女の胸の内を聞いていたら、ちょっと切なくなって、ついそう言ってしまった。 #再びの妄想DM

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28. 《彼だって同じ人間よ。出逢える可能性だって、ゼロじゃないわ》 そう、俺らは特別なんかじゃない。こういう仕事をしてるだけ。 住む世界が違うとか言われるけど、逆に拒絶されているようで、ちょっと寂しくなる。 彼女とは意味合いが違うけど、切ないのは俺も。 #再びの妄想DM

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29. 《そんなの、こっちから乗り込んでって捕まえてくるくらいの気、持ちなさいよ》 〈ふふ、倉子ちゃん、ありがとう♡ でもダメだよ。私、美人じゃないし。大倉くんの御眼鏡になんて適わないよ〉 《そうね、私くらいじゃないとね》 〈もうー（笑）〉 #再びの妄想DM

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30. それから話は弾み、彼女はかなり打ち解けてくれたみたいやった。 倉子のおかげやな。 倉子に感謝しつつ、ベッドにもぐる。 いい夢が見られそうな予感に、自然と口元が緩んだ。 #再びの妄想DM

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31. それから毎日のように、俺と彼女は話をした。 彼女の話の感想・その日の出来事やファッションの事など、それはまるで女の子同士の会話そのものやった。 倉子として話すのは楽しかったし、倉子を演じるのは自然だった。 倉子は元々俺やねんから、あたりまえやけど。 #再びの妄想DM

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32. 倉子のキャラのおかげで、俺は彼女に聞きたいことを聞けたし、言いたいことを言えた。 《ところで、大倉くんにはやっぱりときめかない？》 なかなか書かれない俺の話。 でも以前のような嫉妬はなかった。 それは彼女のカワイイ気持ちが一因だとわかったから。 #再びの妄想DM

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33. 〈それが最近はね、ちょっと変わってきて〉 《何が？》 〈彼の表情がね、なんだか違う気がしてるの〉 え、そう…なん？ 完全に無自覚。 何が違うん？ 〈どこがどうって言えないんだけど…。 以前よりキラキラしてるっていうか、優しいっていうか〉 #再びの妄想DM

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34. 〈んー…強いて言えば、恋してるみたいな。そんなキラキラ感〉 ………恋⁈ え、どういうこと？ 恋なんて、俺…。 ひたすら思いを巡らせて見つけた心当たりは、ひとつ。 俺は“葉月”に恋を、してる……？ #再びの妄想DM

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35. 《そう？よく見てるのね。やっぱり好きなんじゃない》 戸惑いを隠すように、さりげなく論点をすり替える。 〈だから、好きなんだってば。そう言ったでしょ？ …それに、ずっと彼を見てきたんだもん。わかるの〉 その彼女の言葉は、俺の中に何かを根づかせた。 #再びの妄想DM

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36. その日以来、雑誌の撮影でも番組の収録でも、俺はカメラの向こうの彼女を意識した。 俺は今彼女の目に、どんなふうに映っているのか。俺を見て、何を思っているのか。 時折ボーッとして、メンバーにツッコまれることもあったが、それはそれで意外とウケた。 #再びの妄想DM

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37. 〈今日の忠義、可愛かったよね。あんな表情、久しぶりに見た♡〉 彼女からも、そんな言葉を聞けるようになった。 おまけに、俺のことを“忠義”と呼んでいることも、最近わかった。 俺はなんだかくすぐったくて、でもそれが少し嬉しくもあった。 #再びの妄想DM

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38. 〈あのね、倉子ちゃんにはお知らせしておくね〉 《なあに？》 そう話を切り出した彼女の、その先を促す。 〈今度ね、妄想師さん達と企画をやるの。テーマを決めて、それぞれが違うメンバーのお話を書くんだけど〉 《へえー、そんなのもあるのね》 #再びの妄想DM

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39. この独特な世界のことを、またひとつ知る。 〈そこでね、私は忠義のお話を書くことになったの〉 …………え、ホンマに？ 〈いつもより長いお話になるし、気に入ってもらえるかわからないけど、よかったら読んでね〉 #再びの妄想DM

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40. 待ちわびていた、彼女が書く俺の話。 《もちろんよ！嬉しいわ♡楽しみにしてるわね♡》 その嬉しい知らせについ、♡マークをたくさん送ってしまった。 その夜のビールは、いつも以上に美味しかった。 #再びの妄想DM

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41. その夜から、企画開催の日を、子供みたいに指折り数えて待った。 俺は彼女の書く世界で、どんな風に生きてるんだろう。 ドキドキして、楽しみで仕方なかった。 そして迎えた、その日。 早くに仕事を終えた俺は、風呂に入り、ビールを用意して、その時を待った。 #再びの妄想DM

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42. 22時。TLに彼女の話が流れ始めた。 それは、爽やかで甘い、夏の物語。 その中で俺は、偶然出逢った女の子に一途に恋をしていた。 次々と流れる言葉を夢中で追った。 彼女の世界に自分が溶け込んでいく、そんな感覚が心地良かった。 #再びの妄想DM

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43. しばらくしてTLの流れが止まる。 話は完結した。 しかし読み終えても、俺は視線を動かせなかった。 唇に何かしょっぱいものを感じて、いつの間にか頬を涙が流れていたことに気づいた。 なんだろう、この気持ちは。 切なくて、あったかくて。 例えばーーー。 #再びの妄想DM

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44. また少ししてTLが流れ出す。 そこには、彼女の話の感想が書かれていた。 “久しぶりの葉月さんの忠義、ステキでした！ 上手く言えないけど、葉月さんはやっぱり忠義担なんだなぁって” “葉月さんの書く忠義は、なんだか忠義よりも忠義！大好きです♡” #再びの妄想DM

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45. それらを読んで気づいた。 俺は、彼女の話の中の俺とシンクロしていた。 話の中の女の子に恋をして、切なさや喜びを体感した。 読んでいる間、俺は彼女の書く“忠義”を演じていたのだ。 たぶんそれが、さっきの言い様のない感情の正体。 それと、もう一つ。 #再びの妄想DM

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46. 俺は彼女とのDMを開いた。 《今日のお話、読んだわ。 すごく良かったわよ。 やっぱり私、好きだわ。 あなたのお話も、 あなたも》 感想に紛れて、さりげなく倉子に告白させて、開けないままの缶ビールを冷蔵庫にしまった。 そう、俺は葉月に恋をした。 #再びの妄想DM

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47. ＊ ＊ ＊ 「大倉、なんか変わったよな」 「えー、何が？」 “飲む？”とコーヒーを俺に差し出して、ヤスが俺の隣に座る。 「最近あんま遊んでへんやろ？仕事終わったらすぐ帰るし、女の子の話も聞かんし」 「あー、そやなぁ」 図星。さすがヤス、鋭い。 #再びの妄想DM

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48. 夜は1人で呑みながら、葉月の話を読んだり会話したりするのが楽しみやったし、好きな女がおるのに他の子と遊ぶ気にはなれへん。 「それとなー、目がちゃうねん」 「目？」 「歌ってる時とか撮影の時とかな、ちゃうねんなー」 #再びの妄想DM

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49. そう言いながら、俺にもたれかかる。 ちょお、コーヒー溢れるって。 その体制のまま顔を覗き込み、 「恋してるやろ」 核心をついた。 #再びの妄想DM pic.twitter.com/3vvxyENN8S

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