【wlw二次創作SS】邂逅するグリムヒロインズ【シンデレラ ミーツ スノーホワイト】

ぶっちゃけると、キャストに白雪姫が来たら書こうとずっと以前からネタを温めていたアシェンプテルbot
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童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「私達、似た者同士じゃない」 「似た者同士…?」 「継母に家を奪われて、こんな森の奥にまで追いやられてさ」 「あ…。そう、ですね」 「でしょ?すごいよね。偶然とは思えないよメアちゃん!」 「め、メアちゃん!?私の事?」 「ん。メーアヒェンだからメアちゃん」 「メアちゃん…」

2016-12-04 23:17:49
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「あ…あはは、そうですね!そう考えると…私も貴女が他人に思えません」 「でしょ?私も貴女が他人の気がしないわ。よろしくメアちゃん。私はシュネーヴィッ………あっ、いけないごめん」 女の子は名前を名乗ろうとして…口籠もった。 「ど、どうしたんですか?」 「ごめん。名前は言えないんだ」

2016-12-04 23:20:45
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「さっきも言ったでしょ。私は執念深い継母から命を狙われてる。だから姿は勿論だけど名前も隠さないといけない。メアちゃんを信頼してないわけじゃないけど、どこで漏れるか分からないからね」 「そ、そっか。じゃあどうしよう…?」 「…じゃあ、『雪』って呼んで」 「ユキ…?」

2016-12-04 23:23:43
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「私の本名の一部を『ニホン語』って言葉に言い換えたの。渾名としては上出来でしょ?」 「…うん!分かった!じゃあ雪ちゃん!」 「ええ。よろしくメアちゃん」 継母に虐められてる。そんなピンポイントな共通点から私と雪ちゃんは意気投合したのだった。 そして語り合い、私は家に戻ろうとした。

2016-12-04 23:27:11
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「ここまで来れば安全よ」 「はい。あの…ありがとうございます。護衛だけじゃなく水まで一緒に運んでもらって…」 「いいのよ。それよりメアちゃん。また水汲みに来るなら森で私を呼びなさい。私の7人の精霊が誰かしら反応するからすぐ迎えに来るわ」 「ええっ、雪ちゃんに悪いよ!」

2016-12-04 23:29:22
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「ダメ!またオオカミに襲われるよ!それに断言する。貴女の継母、絶対またここに水汲みに来させるわよ」 「ま、また…?」 「そうよ。絶対ね。なんせ継母の虐めに関してなら私の方が詳しいんだから」 「…フフッ」 雪ちゃんの茶化した冗談に思わず笑ってしまう。それを見ると雪ちゃんも笑った。

2016-12-04 23:30:51
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「メアちゃん、継母なんかの虐めに屈しちゃダメよ。再起を待つの。そうすればきっとチャンスは来る」 「わ、私に出来るかな…?」 「出来るわ。私はいつも『いつか熱した鉄の靴を履かせて死ぬまで踊らせてやる』って思ってる」 「ま、魔女裁判の拷問方法だよねそれ…。ちょっと怖いよ」

2016-12-04 23:32:08
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「こういうのは心意気。メアちゃんも思うの。『いつか継母どもの眼球を抉り潰して爪先と踵を斬り落としてやる』って」 「ええっ!?そんなの出来ないよぉ!」 「ふふ、冗談よ。ともかくもう水汲みの心配はしなくていいからね?」 力強く笑う雪ちゃんはすごく頼もしくて、かっこよくて、私は憧れた。

2016-12-04 23:34:16
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

これが私と「雪のように白い肌のお姫様」…そう、「白雪姫」との初めての出会いだった。 同じグリム童話出身で、継母に虐められてた私達は意気投合した。 その雪ちゃん…シュネーヴィッツェン姫がとうとう来るのだな。ずっとお礼を言いたかったんだ。別れたあの日以来ずっと…。(後編はまた明日)

2016-12-04 23:38:49
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

では…細々と再開しようか。昨日の続き。私と雪ちゃんの出会い後編だ。

2016-12-06 00:04:15
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

あの日以来、私は水汲みの時はいつも雪ちゃんと会った。 雪ちゃんの予言通り、継母どもはやはり私に水汲みを命じた。だがこの命令は寧ろ有難かった。その日だけはずっと雪ちゃんと一緒に過ごせるのだから。 雪ちゃんはいつも私を歓迎してくれた。雪ちゃんも森で独りは寂しかったのかもしれない。

2016-12-06 00:11:07
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

雪ちゃんとは色んな事をして過ごした。お話も勿論、家事の手伝いをしたり、途中からは食材もこっそり持っていって料理を振舞ったりもした。 「メアちゃんすごいね〜!私、肉を捌いて焼くしかできないから」 …お姫様なのに意外にワイルドだ。いやお姫様だからこそか。家事なんてした事ないのだから。

2016-12-06 00:16:00
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

ともかく家事なら不本意ながら毎日やらされている。お世話になってる分、張り切ってやらないと。 「じゃあ…雪ちゃん、またお肉取ってきて」 「ええ。じゃあウサギでも狩ってくるね」 当時は気付かなかったが思い返せば私達は夫婦紛いの事をしていた。い、今更になって恥ずかしくなってきたぞ…。

2016-12-06 00:19:07
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

武器を模した棒を使って戦いの稽古もやった。意外に思うかもしれないが、模擬戦は私の方が強かった。 「うわぁ!」 「ご、ごめん!痛かった…?」 「メアちゃんずるい!双剣なんて攻撃ばっかで何もできないじゃない!」 「そ、そんな事言われても双剣の長所は手数だから…」

2016-12-06 00:24:16
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「もう一回!今度はやられる前に攻める!せいやぁ!」 槍に見立てた棒で打ち込んでくる雪ちゃん。勇ましく力強い。だが動きは直線的な素人だ。私も双剣に見立てた棒で全ての攻撃を捌く。 「どう!?流石のメアちゃんも防戦一方じゃない?」 うーん、でも雪ちゃんは私を押していると思ってるらしい。

2016-12-06 00:26:29
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

杜撰な槍の一撃。取るならこれだ。難なく見切ると、双剣で挟み込む。 「ああっ!?」 間髪入れずに左の剣を手放す。槍を奪い取り、右手の剣を突き付ける。また私の勝ちだ。 「もう!メアちゃんずるい!攻めても守っても強いじゃない!」 「そ、そりゃそうだよ。雪ちゃんの攻撃、適当だもん」

2016-12-06 00:30:26
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「双剣の強みは手数。槍でがむしゃらに打ち込んだところで簡単に全部防御できる。そもそも槍で接近戦を挑む事自体がダメだよ。槍の長所であるリーチの長さを自分で殺しちゃってる」 雪ちゃんは戦いの基本を分かってない。まあ元お姫様だったのだからそればかりは仕方ないのだけれど。

2016-12-06 00:35:49
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「見てて。槍は遠くからチクチク。潜り込まれないように戦うのが基本なの」 「遠くからチクチク」 「そして双剣は力が弱い。防御できない程のパワーで押し切るのか、若しくは左右の攻撃みたいに防御しにくい状況を作るの」 雪ちゃんはウンウン頷きながら感心している。ちょっと誇らしい。

2016-12-06 00:39:31
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「メアちゃん…すごいね。戦いのプロじゃない。家は軍人さんとか?」 「ううん。これは母様が生きてた頃に教えてもらったの」 「すごいお母さんだったのね。それにしても…何者なの?」 「私もよく知らない…。昔の事はあまり話したがらない人だったから」

2016-12-06 00:41:29
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

雪ちゃんは筋が良くてメキメキと強くなっていった。雪ちゃんは喜んでいたし、私としても恩を返せて嬉しかった。 何ヶ月も二人で楽しく過ごしていた。雪ちゃんといる時だけは、辛い家の事を思い出さずに済んだから。 でもそんな生活にも転機が訪れた。あれは…森に冬が訪れる少し前の話だった。

2016-12-06 00:44:56
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

あの日、私達はいつも通り過ごしていた。私は家からこっそり持ってきた食材で料理を。雪ちゃんは獲物を狩りに森へと入っていった。 でもその日だけ、雪ちゃんはいつもより遅かった。家事を終わらせて、ご飯を作り終えても、それでもまだ雪ちゃんは帰ってこなかった。 「何かあったのかな…?」

2016-12-06 00:48:23
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

でもそこまで深刻にも考えていなかった私は他の仕事を終わらせようとした。継母どもに言われていた水を先に汲んでこようと思ったのだ。早く終わらせておけば雪ちゃんと過ごす時間が増えるから。だから…雪ちゃんはいないけど、一人で少し離れに水を汲みにいった。 それが…迂闊だった。

2016-12-06 00:51:13
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「っしょ、っしょ…」 桶に一杯の水を汲み終わり、私は雪ちゃんの家に戻ろうとする。そして……さっと血の気が引いた。そして雪ちゃんの言ってた言葉を今更になって思い出した。 『ここらは野生の狼や熊までいるのに!』 「…!」 狼じゃない。熊だ。熊がいる…!

2016-12-06 00:53:01
童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

そうだ。今は冬の前。冬眠前の餌探しで熊は活発になる。間抜けな事に、色んな事に今更気付く。でも手遅れだ。 「…!…!」 当然だが、当時の私はまだシンデレラになった事はない。何もできないただの灰かぶりだ。 「ま、待って…!」 熊は強い物は襲わない。隙を見せた弱い者を狩る。

2016-12-06 00:53:45