オウガ・ザ・コールドスティール #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そ、その通りです!」一番の難敵からの評価を得て、マノキノは勢いづく。モータードクロの頭部がグルグルと回転する。「マノキノ=サン!」名前を呼んだ!「マノキノ=サン!スシ、を!クダサイ!」「ああっ、これはですね仕様でして、」「スシ!スシッ!」頭部が回転速度を速める!

2011-03-17 21:28:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「早く!」マノキノが傍らのニュービー・サラリマンを叱責した。彼は慌てて脇のケータリング・ワゴンのフロシキを取り払った。カーボン重箱にはぎっしりとスシが詰まっている。すべて、タマゴだ!ニュービー・サラリマンはタマゴ・スシを掴むと、小走りにモータードクロの目の前に行った。

2011-03-17 21:32:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スシ、スシッ!サカナは、ダメ!」腹部のハッチがスライドし、その先端のマジックハンド・カワイイキャッチを地獄でリメイクしたかのような小さなアームがスシを求めて蠕動する!サラリマンが恐る恐るタマゴ・スシをセットすると、アームがガッチリとそれを捉え、腹部に格納した!

2011-03-17 21:49:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

途端に、関節各部が白い蒸気を噴き出し、モータードクロは満足気に腰を落とした。頭部の回転が停止する。「ウウ……ウマーイ……」そして合成マイコ音声が告げる。「正常値です」マノキノは静まり返った出席者に向き直った。「エー、これは人間由来のバイオ・ニューロンを正しく働かせるためです」

2011-03-17 22:13:51
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「バイオ……ニューロン……」御用ジャーナリストの一人が溜息を漏らした。「そうです。バイオニューロンを働かせる為に多量の糖分を必要とするのです。これをスシで補います。特殊なサプリメントを必要としません。ちなみにこの仕様も特許です」「なんと……」「まるで人間だ……」

2011-03-17 22:24:09
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「およそ2から21時間に一度、このスシ・フィード行為が必要となります。しかし繰り返しますがスシはそこらの屋台でも入手可能、どこででも運用が可能です」「オムスビでもいいのかね?」誰かが質問した。「あ、それはダメです。彼はセンシティブなのでして。マグロのスシ等での代用もダメです」

2011-03-17 23:46:36
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「考えられている……」「好き嫌いがあるのか……」「なんたる人間味!」出席者がざわついた。「さて、それではこれから皆さんに実際の技術デモをお見せすることになります」営業サラリマンが晴れ晴れと宣言した。「え?」マノキノは訝しげに彼を見た。営業サラリマンは笑顔で、退がるよう促した。

2011-03-17 23:56:46
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(デモって?)(いいから!)営業サラリマンは誇らしげに、「技術デモはこのモータードクロの初陣でもあります。皆様はここで快適な掘りゴタツに掛けたまま、オシルコを味わいながらライブ映像をお楽しみになれます!」「これから、だと?」警察関係者は驚いて言った。「聞いとらんぞ君ィ!」

2011-03-18 00:05:26
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「エ、エートですね、暴動の鎮圧というかですね、クリーンアップ作戦の実行です、ハイ」「クリーンアップだと!マッポの許可なくそんな事を?まだ採用するかどうかも決めては……」「いやはや!仕事が早くていらっしゃる!さすがオムラ=サンですな!」威圧的な声が口を挟んだ。声の主はラオモトだ!

2011-03-18 00:08:44
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「な……」警察関係者が凍りついた。ラオモトはさらに己の威圧力を上乗せすべく、立ち上がった。頭巾とメンポの間で鋭い眼光が輝き、警察関係者を睨み据える。「アイエエエ!」感受性の強い御用ジャーナリストの一人がいきなり失禁した。ラオモトの殺気に触れたのだ!

2011-03-18 00:13:54
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「なあに、心配には及びません。これは私も監修している。しっかりした計画です。あなた方がやりたくても出来なかった事を、このオムラの新技術がかわりにやる!そういう事ではないですか!」「クリーンアップ作戦とはしかし…暴徒の鎮圧といっても、今は特に目立った騒ぎは無い……いったいどこを?」

2011-03-18 00:23:12
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「オオヌギ・ジャンク・クラスターヤードです!」営業サラリマンが叫んだ。「アイエエエ!」そして失禁した。ラオモトが睨みつけたからである!帝王たる彼は、自分の話に口を挟まれるのが大嫌いなのだ。

2011-03-18 00:33:09
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ラオモトは尊大に言う、「オオヌギ地区は実際、周辺自治体にとっては目の上のガングリオンですな?ええ?」「むむ……」「そこをこのモータードクロで浄化して差し上げようというのだ。犯罪の温床とも言えるあのごみ溜めを綺麗にして差し上げる!地ならしだ!ムハハハハハ!」

2011-03-18 01:52:36
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一連のやりとりを、マノキノは真っ青になって聞いていた。浄化……?オオヌギ地区をこのモータードクロに襲わせるつもりか?では、父の住むあのドウグ社も当然……しかし、今からやるというのか?

2011-03-18 02:01:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「やはりそれは上に掛け合わんと……」「謎の怪物が現れ、市民を虐殺した!それでいけばよかろう」ラオモトは警察関係者を遮った。「選挙に出たいのだろう?俺様のバックアップが要らんのか?」その一言が決定打となって、警察関係者は曖昧に頷き、着席したのだった。

2011-03-18 02:06:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ラオモトはもはや完全にその場を掌握していた。だが、疑問を差し挟む者はいない!「では開始しようではないか!オープンナップ!」轟音が鳴り響き、天井のハッチが開く。おお、なんたることか!ハッチは建物の屋上まで貫通するシリンダー状の竪穴だ。はるか上でヘリコプターがホバリングしている!

2011-03-18 02:10:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ラオモト=サン!スシを!ください!」モータードクロの頭部が激しく回転する。「シャラップ!」ラオモトは叫び、ケータリング・ワゴンへ名刺を投げた。スリケンめいて飛んだ名刺は重箱にヒットし、その衝撃でタマゴ・スシの一つが回転しながら跳ね上がり、モータードクロへ向かって飛んだ!

2011-03-18 02:13:43
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タマゴ・スシは緻密な弾道計算がされたかのように、モータードクロの腹部アームにすっぽりと収まった。タツジン!スシは一瞬にして飲み込まれる。「ウウウウウ……ウウマーイ……」

2011-03-18 02:15:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

はるか上のヘリコプターからクレーンが投下され、真っ直ぐにプレゼンテーション・ルームへ降りてきた。モータードクロはクレーンを器用にキャッチすると、おのれの首の後ろにそれを固定した。「ミッション!を!行きます!」すぐにモータードクロの身体は引き上げられる!「ヨロコンデー!」

2011-03-18 02:20:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一瞬の沈黙ののち、ラオモトは尊大に腰を下ろした。「さあ、我々はここで実戦テストを楽しむとしようではないか。スクリーンを用意せい」「ア、ハイーッ!」営業サラリマンがヘコヘコとオジギし、素早くリモコンを操作した。天井と壁のハッチが閉じ、巻き上げられたスクリーンが再び降ろされる。

2011-03-18 02:24:05
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(何という……何という事だ……)マノキノは立っているのがやっとだった。(何故こんな事態に……俺のせいじゃない……俺は一体どうすれば……!)「どうした?」営業サラリマンが耳打ちした。「いえ、緊張のせいか今朝の腹痛が悪化して……」「もう君の用は済んだ。退出していいよ」「ハイ……!」

2011-03-18 02:28:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ざわつく席を背後に、マノキノはよろよろと退出した。廊下を小走りに走りながら、マノキノは叫び出したくなる己を必死で堪えるのだった。

2011-03-18 02:32:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(「オウガ・ザ・コールドスティール」#2 終わり。#3へ続く

2011-03-18 02:34:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(翻訳チームより:エピソード「オウガ・ザ・コールドスティール」の翻訳文の中に、一箇所、マノキノ=サンがモータードクロに対してモーターヤブと呼ぶ重大なミステイクがある事を確認しております。翻訳担当者は「マノキノが緊張のあまり呼び間違えただけだ」と主張し、原典の提出を拒んでいます。)

2011-03-20 10:46:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(翻訳チームとしてはこの担当者を一時的に拘束し、真相の究明を行う一方で、今後の更新作業に支障が出ないよう引き続き尽力してまいります。なお、該当箇所の修正はめんどくさいのでしません)

2011-03-20 10:48:47