原子力損害賠償制度に関わる議論の経緯 tnihei さんによるまとめ

Takafumi Nihei (@tnihei) さんが、立法当時まで遡って、これまでの原子力損害賠償法・制度に関わる答弁、議論の経緯を丁寧に調べて頂いております。非常に参考になるため、ご本人の了解の下、まとめてみました。 ご興味ある方はこちらも。→ http://togetter.com/li/114221
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tnihei @tnihei

…中曽根康弘国務大臣:原子力損害とは、原子核分裂の作用、つまり、原子炉の内部における作用の影響による分、または核燃料物質によって汚染されたものの放射線の作用、つまり、これはその結果出てきたものの放射能による汚染の作用、それから、これを吸引したとかなんとかいうような場合の毒性作用…

2011-03-29 06:40:42
tnihei @tnihei

…佐々木義武政府委員(科学技術庁原子力局長):事故が発生した場合の退避の際に要した費用等に関しましては、もちろん、相当因果関係を持っている場合には賠償額の中に入りますが…いわゆる原子力損害とは何ぞやという損害そのものの定義の中には、そういう費用は入っていないというふうに解釈…

2011-03-29 06:40:49
tnihei @tnihei

…前田正男委員:そうすると、損害の中には入ってないけれども、補償の中には、民法の相当因果関係の範囲のものは全部入る、こう解釈していいわけですか。佐々木政府委員:その通りでございます…

2011-03-29 06:41:27
tnihei @tnihei

…中曽根国務大臣:…ある事業体が自分で被害者に賠償し得る能力…その限度を越えて、しかも、客観的に認定された損害額との間の部分というものは、これは当然第三者に対して賠償すべきものでありまして、その部分に関しては国家が満配するという意味であるとわれわれは解釈しております…

2011-03-29 06:41:34
tnihei @tnihei

国会の議決によって、政府に属させられた権限の範囲内においてという制約…国会の御意思によって、それが修正されるということもあると思います。法律を作るのは国会でございますから、国会の権限の範囲内ということになるとは思いますが、立法の趣旨は、第三者にいささかも不安なからしめる

2011-03-29 06:41:38
tnihei @tnihei

…前田委員:…政府は被害者に対して完全な補償を行なうよう明定されたい、こういうふうに陳情…保険あるいは事業者自身、あるいはまた、政府の援助というもので、被害者の方には負担がかからないように完全に行なえるのだ、こういうことでなければ、この法律を作った目的は達成できないと思う…

2011-03-29 06:41:43
tnihei @tnihei

…中曽根国務大臣:行なうものとするという意味は、行なうを要すというところまで強くはありませんが、国はするものであるという意思表示原子力事業者でカバーできない残りの部分…国が行なうという意思表示をしておりますから、法文をすなおに読んだ意味におきましても、そこに空間はない

2011-03-29 06:41:50
tnihei @tnihei

…前田委員:…保険でカバーできないものに対しても、自分の許す範囲のことはやるべきであると思うのであります。しかし、原子力事業者は、それじゃ破産をするまで全部の負担をしていかなければ、政府は必要な援助をしないのか

2011-03-29 06:41:54
tnihei @tnihei

…中曽根国務大臣:第一条の「原子力事業の健全な発達」ということもこの法案の目的でございますから、原子力小業が健全に発達できないような措置は含まれないと解釈…電気料金…公益事業で統制されて、政府の認可を要する…発電会社等の経営というものは、一定の限度があり、また、公共性がある

2011-03-29 06:41:58
tnihei @tnihei

会社が壊滅的打撃を受けて原子力事業が発達できないような措置を、この第十六条において期待しているものではない国が料金を統制している以上は、ある程度原子力事業あるいは発電事業というものの健全な発注、あるいは大衆に迷惑がかからないようにするということも考慮の中に含まれている

2011-03-29 06:42:02
tnihei @tnihei

…奧村又十郎政府委員(大蔵政務次官):…第三章の損害賠償措置において、賠償措置が十分できない、その額をこえた場合において、原子力事業者に対して必要な援助を行なう援助の内容というものは、補助もあるし、貸付もあるし、融資もあります

2011-03-29 06:42:07
tnihei @tnihei

つまり、国の力を相当加えて、被害者に対しての援助を十分いたしますという意味でありますから、逆に言えば、原子力事業者を破産に追い込むまで、原子力事業者だけで被害者の損害を埋めろという意味を持っていない、こういう意味で、中曽根大臣の御答弁と同一であります…

2011-03-29 06:42:12
tnihei @tnihei

…中曽根国務大臣:…第三条におきまする天災地変、動乱という場合には、国は損害賠償をしない、補償してやらないのです…そういう異常巨大な社会的動乱あるいは天災地変というような場合には、これは別個のもので取り扱われるので、その限りにおいては、政府に法律上責任はない

2011-03-29 06:42:16
tnihei @tnihei

…異常に巨大な場合にはどうするかという問題については、第十七条に規定してありまして、「政府は、第三条第一項ただし書の場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとする。」…一般の災害救助法もありますし、それ以外のこともありましょう…

2011-03-29 06:42:20
tnihei @tnihei

…とにかく、そういう場合には、国民の民生に関することでもあり、生命財産に関することでもありますから、最善を尽くして必要最大の措置を行なう損害賠償という意味ではなくして、国の一般政策として当然これは行なうべきことでありますが、特に念のためにこれは書いてあるのでございます…

2011-03-29 06:42:24
tnihei @tnihei

平成11年9月30日に発生したJCO臨界事故(事故翌日の10月1日の朝に臨界状態の終息を確認)では、平成11年10月22日に原賠法18条に基づく原子力損害賠償紛争審査会が設置されたほか、 http://bit.ly/icffdo http://bit.ly/gyUn4y

2011-03-29 07:30:23
tnihei @tnihei

科学技術庁の委託により平成11年10月27日に原子力産業会議(現在の社団法人日本原子力産業協会)に原子力損害調査研究会が設置されたのですね。 http://bit.ly/gyUlCn 平成12年3月29日「原子力損害調査研究会最終報告書」 http://bit.ly/fO1Td8

2011-03-29 07:30:29
tnihei @tnihei

原賠法の対象となる「原子力損害」の範囲については、JCO臨界事故で科学技術庁 の委託により原子力産業会議(現在の社団法人日本原子力産業協会)に設置された原子力損害調査研究会の報告書も参考になると思います。 http://bit.ly/fO1Td8

2011-03-31 04:52:44
tnihei @tnihei

平成11年9月30日に発生したJCO臨界事故では約7000件が賠償の対象となり、平成11年12月までに請求額の2分の1を基準とする仮払い、平成12年3月末までに約6000件の和解が成立して、裁判上の請求に至った案件は11件だったそうです。 http://bit.ly/hLMWCQ

2011-03-31 04:54:33
tnihei @tnihei

JCO臨界事故では賠償金の総額は約150億円で、当該事業に適用される賠償措置額の10億円(当時)を充ててもJCOの資力が不足しましたが、親会社である住友金属鉱山がJCOを支援したので、原賠法16条1項の国の援助は発動されなかったのですよね。

2011-03-31 05:09:47
tnihei @tnihei

前回に引き続き、原賠法の制定時の国会での答弁をいくつかピックアップしてご紹介。法案が成立した昭和36年の第38回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号。松本一郎政府委員(科学技術政務次官)による法律案の趣旨説明があります。 http://bit.ly/dK76h1

2011-03-31 18:26:31
tnihei @tnihei

…この法律の目的は、原子炉の運転、核燃料の加工、使用及び再処理等を行なうことによって、万一原子力による被覆を第三者に与えました場合、その損害の賠償に関する基本的制度を定めて、被害者の保護に遺憾なきを期するとともに、原子力事業の健全な発達に寄与しようとするものであります…

2011-03-31 18:26:36
tnihei @tnihei

…原子力事業者の賠償責任につきまして、民法の不法行為責任の特例としてこれを無過失責任とし、かつ、原子力事業者に責任を集中…原子力損害の発生について過失の存在しない場合も考えられ、また、かりにこれらの要件が存在するといたしましても、その立証は事実上困難と認められるからであります…

2011-03-31 18:26:40
tnihei @tnihei

…損害発生時における責任の帰属が不明確になる場合が予想される点を考慮したもの…ただし、異常に巨大な天災地変等によって損害が生じた場合まで、原子力事業者に賠償責任を負わせることは公平を失することとなりますので、このような不可抗力性の特に強い特別の場合に限り、事業者を免責

2011-03-31 18:26:44
tnihei @tnihei

五十億円をこえる損害がかりに生じた場合の問題…被害者の保護と原子力事業の健全な発達をはかるという、この法律案の目的を達成するために必要と認めますときは、国会の議決により、政府に属させられた権限の範囲内において、原子力事業者に対し、賠償に必要な援助を行なうことといたしました…

2011-03-31 18:26:49
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