宇佐美圭司壁画処分問題

東京大学本郷キャンパスの中央食堂に設置されていた宇佐美圭司の作品が「処分」されてしまった問題について。まとめておきました。(4月26日 26:56 更新中断)(4月27日 16:17 更新再開。以降、主要なツイートのみ追加し、整理します。)
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林道郎(michio hayashi) @michio_ha

もともと宇佐美さんの「ゴースト・プラン」に出てくる人型は、LAで起こったワッツ暴動の報道写真から取られているもの。だけどレファレンスはそれだけではなく、宮澤賢治とも深く関わっている。『心象芸術論』(1993) にはゴースト・プランの成り立ちが詳しく書かれている。

2018-04-29 10:23:08
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

処分された絵画の題名は《きずな》だったようです。1992年の「宇佐美圭司回顧展」(セゾン美術館)の展覧会カタログに掲載された黒井千次の文章の中にありました。この文章は、東大に宇佐美作品を見に行ったときのことを書いたものです。

2018-04-29 21:23:26
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

黒井がいつ東大を訪ねたのかは不明ですが、この文章を読むと、生協食堂にあった宇佐美作品は《きずな》の一点だけだったように思えます。

2018-04-29 21:24:52
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

眼がさめちゃったので、宇佐美圭司と藤枝晃雄についてぽろんぽろん書いておく。この二人の存在の重さって、たぶん20世紀後半の日本の美術状況を知らないと、ピンとこない人がいるかもしれないなと。

2018-04-30 05:34:38
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

宇佐美圭司と藤枝晃雄、80年代後半から90年代にかけて、僕にとって何が重要だったかとうと「日本語で美術について理論的な単著を連続的に書いてくれる人」が、この二人しかいなかった。今となっては衝撃的ですが。

2018-04-30 05:35:10
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

美術を志した人なら当然もつ欲望だと思うのですが、だれもロジックを教えてくれない。ロジック、論理がなぜ必要かといえば「ものを制作する」のには当然論理がないと作れない。作り始めた人が求める、情緒的な雰囲気とか画家っぽいムードの文章ではないロジックは、宇佐美氏しか書いてくれない。

2018-04-30 05:36:49
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

そして、多くの場合作るにはその前に「見る」ことが必要なんですが、「見る」ロジックについては藤枝晃雄さんしか本を出してくれないわけです。「ジャクソン・ポロック」(1979年、美術出版社)の衝撃は、その読みにくさでした。なんでこんなに読みにくいのか?そこが肝でした。

2018-04-30 05:37:38
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

宇佐美圭司氏は画家で、当然作品が大切なんですが「作品」の面倒さで、いつでも見られるわけではない(だから東大食堂に宇佐美作品が「常設」されていた事が、そしてそれが廃棄されたことが重大)。しかし氏の著作は、例えば僕のように80年代後半に美術に関心を持ったとき本屋にいけばすぐ買えました。

2018-04-30 05:50:35
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

宇佐美氏の本といえば「20世紀美術」(1994年、岩波新書)なのかな。しかしこれはそれまで宇佐美氏の文を読んでいた僕にはぐっとこなくて、一番衝撃的だったのは「絵画論」(1980年、筑摩書房)とかでした。94年は宇佐美さんの本が良く出て「絵画の方法」(小沢書店)「心象芸術論」(新曜社)が出た。

2018-04-30 05:52:11
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

宇佐美圭司はまた、その形式性において他ジャンルと交通可能性(懐かしい言い方)が開かれることを体現していた人です。たとえばその山水画分析は文芸批評の柄谷行人が「風景の発見」(「日本近代文学の起源」収録、1988年、談社文芸文庫)などで援用する。ここに形式=フォーマリズムの面白さがある。

2018-04-30 05:53:44
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

宇佐美圭司は作品とテキスト、双方の形式的展開で、まさに複数のジャンルと「共訳」してた。武満徹のレコードジャケットに作品が使われたり、高橋悠治の雑誌「トランソニック」にかかわったり、詩人・文学者とコラボしたりと、極めてジャンル横断的だった。自身も音楽、文学、あらゆることに通じてた。

2018-04-30 05:56:00
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

そして宇佐美圭司はフォーマリズムだけに還元できる人ではない。とある画家の友人が宇佐美圭司に学生時代さんざん言われたこととして「主題がないとダメだ」があった、と言っていました。僕、これよくわからなかったんですが、最近は少しだけだけど想像がつく。

2018-04-30 05:57:15
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

宇佐美圭司と藤枝晃雄が近くにいながら反発しあってたって、感情面では別としてその辺に齟齬があったのかなぁ、とも想像します。僕は二人の現実的関係については無知なんで、その文章と作品の関係からしか推測できないけど。

2018-04-30 05:58:22
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

いずれにせよ、作品を、見ることの論理から教えてくれる人が藤枝晃雄しかいなく、また制作することの論理から教えてくれる人が宇佐美圭司しかいなかった。そういう時期が20世紀後半の日本にはあった。あの二人があの時期にいたから継承されたものは極めて重要だったと思います。

2018-04-30 05:58:59
扉野良人 @tobiranorabbit

@nagasek デビュー時における東野芳明氏との親和と、その後の決裂も、宇佐美さんを知る上で大事なことだと思います。また詩人では大岡信さん。

2018-04-30 09:54:30
ぽえん @nt1chk

こうやって突発的に宇佐美圭司の再評価が行われていて、これはこれで持続力が形成されればよいな、とも。東大の壁画廃棄問題、もうシンポ開催とか話が進んでたりするんだろか?

2018-04-27 22:15:36
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