バイオテック・イズ・チュパカブラ #6

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ARRRRGH!」オダワラは足を止めず、右のこめかみ部分に備わった小型レーザー射出装置を押す。「ンァーッ!!」ナンシーの白い腕が焼かれ、チャカを取り落とした! ナムサン! 部長はその隙をついてタックルをしかけ、ナンシーを組み伏せると、そのまま立ち上がって工場外へと脱出!

2011-04-30 15:18:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「車を出せ! 急げ!」オダワラ部長は運転ヤクザに命令を飛ばす。だがその時、1台の武装サファリジープが漢字サーチライトを照らしながら、ジャングルの闇の中から現れた! レンジャーマッポ部隊だ! ルーフの上には和服を血で染めたノボセ老人が立ち、バイオパンダの生首が四方に据えられていた!

2011-04-30 15:22:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「警察」の二文字が漢字サーチライトとなってオダワラ部長を捕える! 「アイエエエエエエエエエ!」想像を絶するほどの恐怖! 最後まで残っていた精神の壁が突き崩されるのを感じながら、オダワラは糸の切れたジョルリのように、武装バンの横にへたりこんだ。全て終わりだ。会社に何と説明しよう。

2011-04-30 15:25:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「動くな、警察だ!」カウボーイハットを被ったレンジャーマッポたちが、提灯を掲げながらオダワラ部長を素早く取り囲み、警棒で叩いた!「何が起こっている、答えろ!」「……バ、バリキ」「何だと? 聞こえないぞ!」「…バリキボーイ、バリキボーイ、空を飛ぶ……」オダワラ部長は歌い続けていた。

2011-04-30 15:31:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

同じ頃、エントランスでも戦闘は終了していた。ザー、ザリザリザリ……「バリキドリンクは用法用量を正しく守ってお使いください」……ループしていたCMソングが終わりを告げる。焼け焦げた肉の異臭と、盛大に撒き散らされたバイオエキスが、タケシタに絶え間ない嘔吐をもたらしていた。

2011-04-30 15:36:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーとタケシタそして生き残ったバイカーは、破壊されたバイクに背を預けて血を吐くタバキを沈痛な面持ちで囲んでいた。タバキの腹部には何本もカタナが突き刺さり、まだ生きているのが不思議なくらいだ。「ザッ……ケンナコラー……ゲホゲホーッ!」「何故こんな無茶をしたの?」ナンシーが問う。

2011-04-30 15:39:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ナンシー=サン、隠していたが、俺たちゃネオサイタマ市街から逃げてきたヤクザなんだ。毎日のように続く殺し合いと、稼いだ金を次から次へとサイバネ手術とオイランハウスにつぎ込むだけの生活に疲れ、このジャングルに逃げ込み、バイオLAN端子をハンダで埋めて農民になった……ゲホーッ!」

2011-04-30 15:42:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タバキは血を吐き、歯を食いしばりながら続ける。ナンシーはそれを止めなかった。止めたところで、もう長くはないことが明らかだったからだ。「……あれから十年。可愛い水牛たちとつつましく農業を営み、ハイテックから開放されたと思っていたら、これだ。悔しい! 俺は悔しいんだ! ゲボーッ!」

2011-04-30 15:45:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「だからって自殺行為に走ったの? あの時渡した素子には、かなりの金が入っていたのに」「…仲間の一人が持って逃げた。おそらくネオサイタマ市街に。馬鹿な奴だ。…そういうわけなんだ、ナンシー=サン。俺たちにはもうこれしか残ってなかった。それに、いくら金を払っても、家族は帰ってこない」

2011-04-30 15:51:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「タバコくれ…」タバキが消え入りそうな声で言う。「ハイヨロコンデー!」バイカーの一人が泣きじゃくりながらシケモクを取り出し、タバキの口に咥えさせライターを擦った。最初の煙が立ち上った直後、シケモクは力なく口元から落ちて血だまりの中で爆ぜ、その火を失った。そしてタバキも死んでいた。

2011-04-30 15:55:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第1巻「ネオサイタマ炎上」より 「バイオテック・イズ・チュパカブラ」#6 終わり #7に続く #NJSLYR

2011-04-30 15:57:31