『魔法少女まどか☆マギカ』は『エヴァ』を超えたか。超えたんじゃなかろうか、ただし『シムーン』と同じ意味で、というお話。

『まどか☆マギカ』はもはや『エヴァ』後ではないという時代認識で作られているアニメ、あるいはもはや『エヴァ』後ではないからこそ受けた、という話。
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ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

『魔法少女まどか☆マギカ』は『エヴァ』を超えたか。超えたんじゃなかろうか、ただし『シムーン』と同じ意味で、というお話。

2011-05-04 18:30:45
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

『エヴァ』を超える、というのは、良きにつけ悪しきにつけ『エヴァ』によるACGカルチャーへの甚大な影響を克服するということに他ならないだろう。違う言い方をすれば、『エヴァ』後とは異なるステージへと移る、ということ。つまり「もはや『エヴァ』後ではない」といえる状況を示すということ。

2011-05-04 18:38:49
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

「もはや戦後ではない」という有名なフレーズは、GNPが終戦前の水準に達したときに用いられた言葉だった。GNPの落ち込みという形での終戦の影響は、確かに終わったのだ。

2011-05-04 18:41:32
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

これを『エヴァ』に当てはめるのならば、『エヴァ』以前にあってその後忘れられていたような作品の良さを今によみがえらせるような作品が成功裡に製作されるるのならば、『エヴァ』の影響は終わっていたのだと言えるということになる。

2011-05-04 18:45:00
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

これを『エヴァ』に当てはめるのならば、『エヴァ』以前にあってその後忘れられていたような作品の良さを今によみがえらせるような作品が成功裡に製作されたのならば、『エヴァ』の影響は終わっていたのだと言えるということになる。

2011-05-04 18:46:18
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

では、その後忘れられた『エヴァ』前の傑作とは何か。それはまさまざまに存在するが、『新機動戦記ガンダムW』をその代表例と考えることはそう批判される筋の話でもなかろう。1年間の放映期間のうち、後半の半年は『エヴァ』とまったく重なっていた、まさに『エヴァ』寸前のアニメである。

2011-05-04 18:53:00
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

『エヴァ』は終盤に向けて個別具体的な碇シンジが個別具体的なエヴァンゲリオン初号機に乗って戦う理由、そうすることが状況の改善、少なくとも現状維持につながるという確信が作品の内外双方で失われていくというどん詰まりの物語だった。

2011-05-04 18:57:17
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

『エヴァ』直前の『ガンダムW』は、ここまでどん詰まりには至っていない。ただ、戦う理由の判然としなさについては『エヴァ』と踵を接する位置に立っていた、とは言える。

2011-05-04 19:02:04
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

『ガンダムW』において、人々が戦う理由は二つ。一つ目は、平和を得るための必要悪として。これはむしろ古典的な発想というべきだろう。もう一つは、それ自体が美しいから。これも戦争アニメではないバトルモノの主人公の動機としてはありふれていたが、『ガンダムW』では戦う兵士の美しさのために

2011-05-04 19:34:28
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

戦争まで起こす人物がいる。トレーズ・クシュリナーダである。「私は敗者になりたい」と「ことはエレガントに」を信条とし、ただ美しく戦う兵士のためだけに世を混乱に導く。

2011-05-04 19:38:01
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

トレーズは私利私欲ですらない何かのために世に混乱をもたらす悪人、とも言い難いカリスマ的なトリックスターなのだが、その彼のカリスマ性の一部として、自らの巻き起こした戦乱の中で命を落としたものたちの名前をすべて覚えている、というものがある。

2011-05-04 19:44:11
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

兵士たちの戦う姿の美しさを称揚し、その死を引き受け、悼む。マッチポンプではあるが、しかし真摯ではあるし、彼のために命を懸けた兵士たちが実際にいるのだから、これはこれで機能しているシステムと言わねばならないだろう。トレーズはまた、自らを一兵士として扱わないということもなかった。

2011-05-04 19:49:18
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

戦いを称揚し、その死を悼み続けるカリスマ。そして自らを兵士の例外とはしなかった。これはまるで鹿目まどかそのものではないか。魔法少女になること、魔法少女になって敵と戦うことを、まどかは最初から最後まで否定はしなかった。さやかの戦い方に文句はつけたが、それは根本的な批判ではなかった。

2011-05-04 19:54:02
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

そう、「ことはエレガントに、さやか」とそういうことなのである。

2011-05-04 19:54:35
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

『まどか☆マギカ』は戦う姿の美しさを肯定し、戦いの果ての消滅を寿ぐ。まどかの論理はトレーズの論理にほぼ等しい。ただ、戦いの美しさにまどかのほうがより強く動機に由来する部分を求めているだけだ。

2011-05-04 19:59:55
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

トレーズは放映当時からただの狂人として扱われる機会の多い人物ではあった(『ガンダムW』はそうではないキャラを探すほうが難しい特殊アニメではあるのだが……)。『エヴァ』直前のトレーズの狂気をやや薄味にして現代に甦らせたという意味で、『まどか☆マギカ』は『エヴァ』後を超えている。

2011-05-04 20:04:35
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

いっぽうで『シムーン』が何をしたのかについては昔 http://bit.ly/Zy8V8 書いたので詳しくはそちらを。さっくりまとめれば、「『ガンダムW』風な特殊作戦チームを舞台に、『マクロス7』的な祈りのモチーフを突き詰めた」。

2011-05-04 20:12:07
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

『エヴァ』直前の名作のもう一方の雄である『マクロス7』と『ガンダムW』を架橋した『シムーン』こそ、トレーズを現代に甦らせただけの『まどか☆マギカ』よりも深く『エヴァ』前を甦らせたエポックメーキングな作品というべきではあるだろう。

2011-05-04 20:16:09
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

ただ、『エヴァ』がもうあるんだからこの手は古いかな、というような発想に縛られる必要はもうおそらくないということではあるだろう。

2011-05-04 20:22:26
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

個人的には『エヴァ』の呪縛は『シムーン』で「あ、『W』って面白かったって言っていいんだ」、『XENOGLOSSIA』で「うん。ロボットアニメ、うん」、『破』で「ああ、ただすっごく面白いアニメの一つだ!」、『オカ学』で「あの時の俺たちは赦された……」という感じで解けた気がする。

2011-05-04 20:27:30
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

『エヴァ』に、ありがとう 『エヴァ』にさよなら そして 全ての『エヴァ』に おめでとう

2011-05-04 20:28:38
ますたあ陽太郎4s @kaolu4s

以上、長々とおつきあいいただきありがとうございました。

2011-05-04 20:28:53