古代インドの象兵が圧倒的に強かったわけ

@siva_yuri さん解説。古代インド・ヨーロッパにおける象兵の歴史・変遷。
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芝村裕吏 @siva_yuri

みなさん こんにちはをありがとう。 そして今日も、難題を待つ。話題でも可。

2011-05-18 12:36:36
大学受験 予備校Seize(シーズ) @seize59

@siva_yuri おお芝村さん、こんにちは。――今日は世界史の授業で古代インドを扱うので、戦象の話でもしようかと。古代インドの象兵は他地域の象兵に比べて圧倒的に強いようですが、この強さのもとはなんでしょうか。さまざま要因があるようですが、いまいちつかみきれません。

2011-05-18 12:51:25
芝村裕吏 @siva_yuri

――今日は世界史の授業で古代インドを扱うので、戦象の話でもしようかと。古代インドの象兵は他地域の象兵に比べて圧倒的に強いようですが、この強さのもとはなんでしょうか。さまざま要因があるようですが、いまいちつかみきれません。 ですか。

2011-05-18 13:01:55
芝村裕吏 @siva_yuri

まず。軍用で象を用いるのは、インドが起源と言われています。 時期については今から3000年以上前の話です。 で。その後、西へ西へ伝播しましたが、ノウハウ面でインドを越える事はできず、また戦象の育成は大変(妊娠期間が長いとか、母系で温厚とか)そういうのがあって西では廃れました。

2011-05-18 13:06:26
大学受験 予備校Seize(シーズ) @seize59

@siva_yuri 時代的にはインダス起源なのですね。繁殖が難しいので野生のものをとらえて飼育するのが主流と聞きました。

2011-05-18 13:10:28
芝村裕吏 @siva_yuri

一方で戦象はインドでは使われ続けます。 育成にむいていたのが大きな理由です。ですので象のストックも豊富で、数戦で象が使えなくなるようなもとはありませんでした。 結局それが、戦果や伝承に繋がります。

2011-05-18 13:10:14
大学受験 予備校Seize(シーズ) @seize59

@siva_yuri なるほど。そういえばヒュダスペスの戦いで勝利した後も、インド側が大量の象兵を動員しつつあるという情報を聞いて、マケドニア側が恐怖したという話がありましたね。

2011-05-18 13:14:32
芝村裕吏 @siva_yuri

戦争で大切なのは、補給です。 戦象を中心にドクトリンを組んでも、肝心の象の補給がままならないと、その実力を発揮できません。

2011-05-18 13:13:46
芝村裕吏 @siva_yuri

それぐらいならいっそ、象抜きでドクトリンを組むのが妥当ということですね。

2011-05-18 13:15:25
大学受験 予備校Seize(シーズ) @seize59

@siva_yuri おお。となると、補給の利くインドでは象兵の運用技術について蓄積があるというわけですか。

2011-05-18 13:18:22
芝村裕吏 @siva_yuri

ちなみにこの実例は片目のハンニバルのケースでして。ハンニバルは象を使ってピレネー越えをしてガリアを攻めるという行動にでて、序盤戦では象の巨大さ、戦術の新規性を含めてローマを大いに苦しめますが、象の補給、ままならず、また対抗戦術を組まれてしまいます。

2011-05-18 13:19:51
芝村裕吏 @siva_yuri

共和制ローマ軍を鍛えたのはピュロスとハンニバルと言っても過言ではないのですが、ローマはこの後、象の性質などを研究して行くわけですね。 例えば戦象突撃に対しては柔軟性を意識した縦列肉薄しかない、などです。

2011-05-18 13:23:49
芝村裕吏 @siva_yuri

これに対抗して象を護衛する軽歩兵をおき、今で言う戦車随伴兵みたいなかたちを取るのですが、この段階で戦術研究は終っちゃうのですね。その後の発展がなかったのです。 象が、いなくなってしまったので。

2011-05-18 13:25:14
芝村裕吏 @siva_yuri

話は少し飛びますが、衝力という言葉があります。 敵に突撃した場合の攻撃力なんですが、当時、象が現われるまでは歩兵が隊列を組んで縦と槍を配置して防御態勢に出ると、騎兵や歩兵は全部防げていたのです。ファランクス最強とかつてギリシアが言ってた理由ですね。

2011-05-18 13:28:50
芝村裕吏 @siva_yuri

地理的に近いローマ軍もおおむねこのファランクスにならったドクトリンをしいていたのですが、 これ、象で粉砕されたんですね。 人や騎兵はとめられても、象の突撃は阻止できなかったのです。

2011-05-18 13:30:24
大学受験 予備校Seize(シーズ) @seize59

@siva_yuri 象には槍も盾もかまわず踏みつぶすだけの高さと重さがあったというわけですね。

2011-05-18 13:31:52
芝村裕吏 @siva_yuri

で、恐怖でばらばらに逃げたらそれこそ撃破対象です。 歩兵や騎兵で狩ることができます。戦場の均衡がやぶれるわけですね。

2011-05-18 13:31:20
芝村裕吏 @siva_yuri

衝力は自重×速度でだいたいでてきます。 象は5tくらいあって、速度は時速30kmです。 速度はさておき、打撃力では馬とは比べものになりません。

2011-05-18 13:33:15
芝村裕吏 @siva_yuri

で。実に数百年ぶりにドクトリンがいじられるのですね。 つまり衝力を受け止める軍隊から、受け流す軍隊への変化です。 ただこれは非常に高度な統制が必要なアクロバットであり、並の指揮官ではできないとされました。

2011-05-18 13:38:44
芝村裕吏 @siva_yuri

ローマの変質はこのころからですね。軍事が市民のものから、軍人のものへ変わる、その第一歩がこのあたりの戦いなのです。

2011-05-18 13:39:29
大学受験 予備校Seize(シーズ) @seize59

@siva_yuri あ、確かに。レギオン編制が確立するのもこの辺りの時代ですね。

2011-05-18 13:41:09
芝村裕吏 @siva_yuri

一方で戦象部隊が使われ続けたというか、補給が容易であったインドでは、ながらくその独立を維持し続けます。これが覆されるのは銃器が出た後くらいどころではなく、近世までかかりました。

2011-05-18 13:46:06
芝村裕吏 @siva_yuri

結局補給の難しさ、食料をたくさんたべるが故の自然の豊かさが、戦象の価値や強さを決めたのだと思います。

2011-05-18 13:48:33
Хаями🍥Расэндзин @RASENJIN

@siva_yuri ビルマやタイでも大活躍ですよ!<近世象兵

2011-05-18 13:47:54