レッドゾーンとグリーンゾーンというんですけど、ウイルスが全くない安全なゾーンとウイルスがいるかもしれない危ないゾーンというのをきちっと分けて、レッドゾーンでは完全にPPEという防護服をつけグリーンゾーンでは何もしなくていいと、
2020-02-19 04:50:07こういう風にきちっと区別することによってウィルスから身を守るというのは我々の世界の鉄則なんです。 ところが、ダイヤモンド・プリンセスの中はグリーンもレッドもグチャグチャになっていて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別かつかない。
2020-02-19 04:50:07どこにウイルスが…ウイルスって目に見えないですから、完全なそういう「区分け」をすることで初めて自分の身を守るんですけど、もうどこの手すりと、どこのじゅうたん、どこにウイルスがいるのかさっぱり分からない状態でいろんな人がアドホックにPPEをつけてみたり手袋をはめてみたり、
2020-02-19 04:50:07マスクを付けてみたりつけなかったりするわけです。 で、クルーの方もN95をつけてみたりつけなかったり、あるいは熱のある方がですね、自分の部屋から出て歩いて行って医務室に行ったりするっていうのが通常で行われているということです。
2020-02-19 04:50:08私が聞いた限りではDMATの職員それから厚労省の方、検疫官の方がPCR陽性になったという話は聞いてたんですけどそれはもう、むべなるかなと思いました。 中の方に聞いたら「いやー我々もこれ自分たちも感染するなと思ってますよ」という風に言われてびっくりしたわけです。
2020-02-19 04:50:08どうしてかというと我々がこういう感染症のミッションに出る時は必ず自分たち、医療従事者の身を守るっていうのが大前提で、自分たちの感性のリスクをほったらかしにして患者さんとかですね、一般の方々に立ち向かうってのは御法度、これもうルール違反なわけです。
2020-02-19 04:50:09環境感染学会やFETP(国立感染症研究所の実地疫学専門家)が入って数日で出て行ったっていう話を聞いたときにどうしてだろう?と思ったんですけど、中の方は「自分たちに感染するのが怖かったんじゃない?」という風におっしゃっていた人もいたんですが、それは気持ちはよく分かります。
2020-02-19 04:50:09なぜならば感染症のプロだったらあんな環境に行ったら、ものすごく怖くてしょうがないからです。 で、僕も怖かったです。 これはもう感染、今これ某ちょっと「言えない部屋」にいますけど自分自身も隔離して診療も休んで家族とも会わずにいないとヤバいんじゃないかと個人的にはすごく思っています。
2020-02-19 04:50:09今、私がCOVID-19、ウイルスの感染を起こしても全く不思議ではない。 どんなにPPEとかですね、手袋とかあってもですね、「安全と安全じゃないところ」っていうのをちゃんと区別できてないと、そんなものは何の役に立たないんですね。
2020-02-19 04:56:18レッドゾーンでだけPPをキチッとつけて、安全に脱ぐっていうことを遵守して初めて自らの安全が守れる。 自らの安全が保障できないときに他の方の安全なんか守れない。 今日は藤田医科大学に人を送ったり搬送したりするってことで皆さんすごく忙しくしてたんですけど、そうすると、
2020-02-19 04:56:18検疫所の方と一緒に歩いてて、ヒュッと患者さんとすれ違ったりするわけです。 「あ!今、患者さんとすれ違っちゃう!」と、笑顔で検疫所の職員が言っているわけですよね。 我々的には超非常識なこと平気で皆さんやってて、みんなそれについて何も思っていないと。
2020-02-19 04:56:19聞いたら、そもそも常駐してるプロの感染対策の専門家が一人もいない。 時々いらっしゃる方いるんですけど、彼らも結局ヤバいなと思ってるんだけど何も進言できないし、進言しても聞いてもらえない。 やってるのは厚労省の官僚たちで、私も厚労省のトップの人に相談しました。
2020-02-19 04:56:19話しましたけど、ものすごく嫌な顔されて聞く耳持つ気ないと。 で、「なんでお前がこんなとこにいるんだ」「何でお前がそんなこと言うんだ」みたいな感じで知らん顔するということです。非常に冷たい態度を取られました。
2020-02-19 04:56:20DMATの方にもそのようなことで「夕方のカンファレンスで何か提言申し上げてもよろしいですか」と聞いて「まあ、いいですよ」という話をしてたんですけど、突如として夕方5時ぐらいに電話がかかってきて「お前は出ていきなさい」と検疫の許可は与えない、まあ、臨時の検疫官として入ってたんですけど、
2020-02-19 04:56:20その許可を取り消すということで資格を取られて検疫所の方に連れられて、当初電話をくれた厚労省にいる人に会って「なんでDMATの下でDMATの仕事をしなかったの」と、「感染管理の仕事をするなと言ったじゃないか」と言われました。
2020-02-19 04:56:21その許可を取り消すということで資格を取られて検疫所の方に連れられて、当初電話をくれた厚労省にいる人に会って「なんでDMATの下でDMATの仕事をしなかったの」と、「感染管理の仕事をするなと言ったじゃないか」と言われました。
2020-02-19 04:56:21「DMATの方にそもそも、感染管理してくれって言われたんですよ」って話したんですけど、とにかく岩田に対してすごいムカついた人がいると、誰とは言えないけどムカついたと、だからもうお前はもう出ていくしかないんだ、って話をしました。
2020-02-19 04:56:21でも僕がいなかったら、いなくなったら今度、感染対策するプロが一人もいなくなっちゃいますよって話をしたんですけど、それは構わないんですか?って聞いたんですけど、それからこのままだと、もっと何百人という感染者が起きてDMATの方も…… DMATの方を責める気はさらさらなくて。
2020-02-19 04:56:21あの方々は全く感染のプロではないですから、どうも環境感染学会の方が入った時にいろいろ言われて、DMATの方は感染のプロ達にすごく嫌な思いをしてたらしいんですね。それはまあ、申し訳ないなあと思うんですけれども、別に彼らが悪いって全然思わない。専門領域が違いますから。
2020-02-19 04:56:22しかしながら「彼らが実は恐ろしいリスクの状態にいる」わけです。「自分たちが感染する」という。それを防ぐこともできるわけです、方法ちゃんとありますから。ところがその方法が知らされずに自分たちをリスク下においていると。 そしてそのチャンスを奪い取ってしまうという状態です。
2020-02-19 04:56:22彼ら医療従事者ですから、帰ると「自分達の病院」で仕事するわけで、今度はそこからまた院内感染が広がってしまいかねない。 もう…これは、あの…大変なことでアフリカや中国なんかに比べても全然ひどい感染対策をしている。 シエラレオネなんかの方がよっぽどマシでした。
2020-02-19 04:56:23日本にCDC(疾病予防管理センター)がないとは言え、まさかここまでひどいとは思ってなくて、もうちょっとちゃんと専門家が入って専門家が責任を取って、リーダーシップを取って、ちゃんと感染対策についてのルールを決めて、やってるんだろうと思ったんですけど、まったくそんなことはないわけです。
2020-02-19 04:56:23もうとんでもないことなわけです。 これ英語でも収録…つたない英語で収録させていただきましたけど、とにかく多くの方にこのダイヤモンド・プリンセスで起きている事っていうのをちゃんと知っていただきたいと思います。
2020-02-19 04:56:24できるならば学術界とかですね、あるいは国際的な団体ですね、日本に変わるように促していただきたいと思います。 彼らはまあ、残念ながら…(電話の着信により中断) 編集が下手でちょっと変なつながりになったと思いますけれども、
2020-02-19 04:56:24考えてみると、03年のSARSの時に僕も北京に居てすごい大変だったんですけど、特に大変だったのはやっぱり「中国が情報公開を十分してくれなかった」っていうのがすごく辛くて、何が起きてるのかよくわからないと。北京に居て本当に怖かったです。
2020-02-19 04:56:25