リキシャー・ディセント・アルゴリズム #4
(((流石はマスター!あのピストルカラテ使いが、手も足も出ない!ブラックドラゴン=サンの下でよかった!ちゃんと経験が積める!レッドゴリラ=サンの下だったら、今頃死んでいたかもしれない!)))シャドウウィーヴは心の中で叫びながら、次の支援のために両肩から2本のクナイ・ダートを抜く。
2011-06-26 01:57:05…その時、シャドウウィーヴの視線はふと、前方のソファに座っている男のもとに引き寄せられた。ただの浮浪者とばかり思われていたその男の体は、いつの間にか、赤黒いニンジャ装束によって包まれていたのだ。ブッダ!思わぬ事態に、シャドウウィーヴは取り乱した!「ニンジャ!?ニンジャナンデ?!」
2011-06-26 01:59:28シャドウウィーヴは、混濁したニューロンをクロックアップさせる。(((先程まで奴は薄汚い浮浪者だった。何故突然ニンジャ装束に?口元を覆う「忍」「殺」のメンポがどことなく不吉だ。しかし奴は未だ眠っている。今なら殺せるか?俺のクナイ・ダートで?マスターの判断を仰ぐ時間は……無い!)))
2011-06-26 23:28:35「イヤーッ!」極限状態にも近い一瞬の判断の後、シャドウウィーヴはソファでうつむき寝息を立てる謎のニンジャめがけて、2本のクナイ・ダートを投擲!(((眠っている相手ならば、影を狙う必要も無い!サヨナラ!その無防備な左右の頚動脈に、俺のクナイ・ダートを突き立ててやるぜェーッ!!)))
2011-06-26 23:32:02ナムアミダブツ!2本のクナイが突き刺さる!だがその直前、謎のニンジャの指先が反射的に動き、人差し指と中指の最小限の動きでクナイをつかんでいた!タツジン!「忍」「殺」メンポの奥から深い呼気が漏れ、その男は両目をかっと見開く!「……ドーモ、ニンジャスレイヤーです。ニンジャ殺すべし!」
2011-06-26 23:39:43「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」半ばパニックに陥ったシャドウウィーヴは、目の前の敵に向かってクナイ・ダートを狂ったように投げつける!ニンジャスレイヤーへの恐怖ではなく、この失態によってマスターであるブラックドラゴンに見限られるのではないかという不安が、彼を焦燥させているのだ!
2011-06-26 23:43:59「Wasshoi!」ニンジャスレイヤーはソファに座った姿勢のまま上方に跳ね上がりクナイ・ダートをかわすと、天井のシーリングファンに掴まり、体のバネを活かして素早くスウィングしてから、空中ブランコめいた痛烈なダブルカラテキックをシャドウウィーヴの胸板に叩き込んだ!「イヤーッ!」
2011-06-26 23:50:22「グワーッ!」シャドウウィーヴの体がくの字に折れ曲がって吹っ飛ぶ!電脳部屋へ続くショウジ戸が木っ端微塵に破壊され、UNIXに体を叩きつけられる!モニタが数個破壊され、激しい火花が散った!インガオホー!「アイエエエエエエエ!?」間近でニンジャを見たアナカは、成すすべも無く失禁する!
2011-06-26 23:56:13「ニンジャスレイヤー=サンだと!?」ピストルカラテを紙一重でかわし続けていたブラックドラゴンは、ガンドーに痛烈なサマーソルトキックを叩き込んでから、チャブ上のニンジャスレイヤーへと飛び掛った!「相手を入れ替えるぞ!」「ヨロコンデー!」シャドウは吐血しながらマスターの命令に答える!
2011-06-27 00:04:28「「イヤーッ!!」」チャブ上でタツジン同士のジュー=ジツが激突し、小規模なソニックブームが発生する!「オイオイオイ!俺の事務所を……!」頭を振って脳震盪から回復したガンドーはブラックドラゴンを追おうとしたが、電脳部屋からシャドウウィーヴが弾丸のように飛び出し、カラテを挑んできた!
2011-06-27 00:09:21「「イヤーッ!」」「「イヤーッ!」」「「イヤーッ!」」「「イヤーッ!」」ブッダ!たちまち、ガンドー探偵事務所の全域が壮絶なニンジャたちの戦場と化した!銃弾とスリケンとクナイとカラテが乱れ飛び、狂乱したマザー・バイオスモトリが屋内で転げ回ったかのような凄まじい破壊が引き起こされる!
2011-06-27 00:14:54「アイエエエエ!アイ!アイエエエエエ!アイエエエエエエエエエエエエエ!!」絶叫とともに電脳部屋から飛び出したのは、アナカ!全裸でスターリングラード攻防戦を駆け抜けるにも等しい、ほとんど自殺行為だ!だが彼は、ニンジャたちの戦闘の横を偶然にも無傷で走り抜け、屋外へと脱出!ゴウランガ!
2011-06-27 00:29:45「フロッピー重点!」ガンドーと戦闘を続けていたシャドウウィーヴのニンジャ動体視力は、ジャンク基盤の山の陰を小動物のように走り抜けて行くアナカの左手に、ミッションの目的であるフロッピーを確かに見た!だが何たるウカツ!ニュービーじみた一瞬の油断が、ガンドーに付け入る隙を与えてしまう!
2011-06-27 00:34:50「イヤーッ!」反動の力を乗せたガンドーの高速右裏拳が、シャドウウィーヴに対して繰り出される!しかも手首をひねり、鋼鉄のグリップを叩きつける構えだ!「イヤーッ!」シャドウウィーヴは右腕でこれを辛うじてガード!だがこれはフェイントであった!ガンドーの右脇の下から左の拳銃の銃口が光る!
2011-06-27 00:51:06BLAM!49マグナムがオニめいた銃声を放った直後、シャドウウィーヴの右肘から先が、小型のブラックホールに呑まれたかのように丸い血の渦を描いて消し飛ぶ!「グワーッ?!」間髪入れず、ガンドーは射撃の反動をカラテの力に変え、右回し蹴りで相手を蹴り飛ばし、壁に痛烈に叩きつけた!
2011-06-27 01:03:44「ムウウウウウーッ!」シャドウウィーヴの劣勢と、フロッピー所持者の逃亡を確認したブラックドラゴンは、ニンジャスレイヤーの攻撃を素早い三連続バク転で回避してから高く後方跳躍し、事務所の隅に置かれたオブツダンの上に立膝姿勢で着地!そしておもむろに、口元を覆うカーボンメンポを外した!
2011-06-27 01:07:13ナムアミダブツ!黒いメンポの下に隠されていたのは、違法サイバネ手術によって生み出された、ドラゴンを思わせる肉食爬虫類めいたおぞましい異形の口であった!針のように鋭い無数の歯が並ぶ!「シテンノ!」ブラックドラゴンが気勢を上げると、その口から刺激性の黒い煙が勢い良く吐き出された!
2011-06-27 01:17:42「「「グワーッ!」」」一瞬にして探偵事務所は黒い毒霧によって覆われる!ガンドー、ニンジャスレイヤー、シャドウウィーヴの視界が奪われ、眼球に激しい痛みが走る!「ゲホッ!俺の…事務所……!ゲホオオーーッ!」ガンドーが地べたを這う横を、弟子を背負ったブラックドラゴンが駆け抜けていった!
2011-06-27 01:23:28「オイ……待て……!ゲホッ!ゲホオオオーッ!」ガンドーは空気の流れだけを頼りに、外を目指し匍匐前進で進む。意識が遠くなる。後ろからイチロー・モリタ、いや、ニンジャスレイヤーの声が聞こえた「すまぬ、私のせいで」。するとガンドーの体が不意に軽くなり、一瞬後には屋外に運び出されていた。
2011-06-27 01:27:49ガンドーは大きく空気を吸い、肺の奥から黒煙を駆逐した。アンダーガイオンの汚染大気が、初めて美味く感じられた。「悪いが話は後だ、あのニンジャどもを追う」鋭い声が聞こえ、すぐに遠ざかる。独り残されたガンドーは、道路で大の字に寝転がったまま、手帳を開いて呟いた「やっぱりブツメツかよ…」
2011-06-27 01:38:27第2部「キョート殺伐都市」より 「リキシャー・ディセント・アルゴリズム」#4終わり #5へ続く
2011-06-27 01:39:08