リキシャー・ディセント・アルゴリズム #5

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」シャドウウィーヴは大きく開脚ジャンプし、軽々とこの突進を回避!リキシャーバイクの行く手にはブラックドラゴンが待ち構えており、その口から黒い煙を吐きかけた!「「グワーッ!」」「「アーレエエエエ!」刺激性の毒ガスが、ギャングやオイランから視界を容赦なく奪い去る!

2011-07-11 22:45:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエーエエエエエエエ!!」大型ハーレーは、偶然ガレキの中に置かれていた古いダットサンをジャンプ台のように使い、そのままキリモミ回転しながらジャンプ!後方でダットサンが爆発し、派手な火柱が上がった!衝撃で固定具が破壊され、改造リキシャーは横転!オイランとタジモトが投げ出される!

2011-07-11 22:48:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」シャドウウィーヴはイカ焼きドラム缶から突き出していた巨漢の両足の裏を足場にして着地すると、そのまま軽やかにムーンサルト・ジャンプを決め、空中からクナイ・ダートを連発した!「「アーレエエエエエ!」」サツバツ!オイランたちは額にクナイを突き立てられ即死!

2011-07-11 22:51:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タジモトはむせ込みながら立ち上がる。右のこめかみに指を伸ばし、視神経をシャットダウンして、サイバーサングラスの映像とニューロンを直結させる。直後、目の前に、コールタールのように真っ黒い目玉を持つニンジャの顔が現れた。「アッコラー!」タジモトは反射的に右のサイバーパンチを繰り出す!

2011-07-11 23:03:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

しかしサイバネ義手で武装されたタジモトの右腕は、ブラックドラゴンのジュー・ジツによって軽々と受け流されてしまう。そして鋭いカラテで肘から先を切断!「アイエエエエエ!」さらに耳の近くまで裂けたブラックドラゴンの口が、タジモトの顔面に噛みつく!コワイ!鼻と口に対して直に黒煙を注入!

2011-07-11 23:10:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

いかに全身をサイバネ置換し、強力な合金で体表の弱点を覆っていたとしても、体内に毒ガスを注ぎ込まれれば無力!「脳!溶けた!脳!!溶けた!!」タジモトは失禁しながらガレキの上に転がり、虫のように体をばたつかせた!胸元からフロッピーがまろび出て、ブラックドラゴンが抜け目なくそれを奪う!

2011-07-11 23:18:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「このフロッピーを奪った黒幕はお前か?とてもそのようなインテリジェンスがあるようには見えんが……」ブラックドラゴンは、タジモトの右手にインプラントされた労働者ICチップをスキャニングする。不審な点は無い。どこかの末端ヤクザクランとつながりを持つ、ただのギャングの1人だろう。

2011-07-11 23:21:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺じゃなくて……あっちにいる……土俵のところにいる……アナカって奴です……あいつが……偶然……フロッピーを持ってきてアバーッ!」タジモトは途中まで言いかけると、鼻の穴から粘液化した脳味噌を垂らして絶命する。ブラックドラゴンはゆっくりと、土俵の脇に横たわるアナカに視線を向けた。

2011-07-11 23:23:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シャドウウィーヴも、ブラックドラゴンの後ろに続いてアナカへと近づく。アナカは気を失っているのか、あるいは死んでいるのか……仮に生きていたとしても、有刺鉄線に絡め取られて立ち上がることすら困難だろう。メンポを付け直したブラックドラゴンはかがみこみ、スキャナをアナカの掌に近づけた。

2011-07-11 23:29:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「カナリハヤイ社勤務……25歳……妻1人……通常居住区……」ブラックドラゴンはアナカの労働者データをスキャニングする。やはり単純に、ヨロシサンの営業がカナリハヤイ社のリキシャーにフロッピーを置き忘れた……それだけのくだらない事件だったのか?ブラックドラゴンは眉を寄せた。

2011-07-11 23:34:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「う……あ……」ピコピコピコピコというスキャニングの電子音に気付き、アナカがゆっくりと目を開けた。視界はまだぼやけている。アンタイブディズム・ブラックメタルの重低音が、バチバチと火花を散らす近くのウーファースピーカーから響き、ジゴクで乱打されるタイコのように脳髄を揺らしていた。

2011-07-11 23:37:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おい」ブラックドラゴンはシャドウウィーヴからクナイを1本受け取ると、それをアナカの掌に無造作に突き刺した。「アイエエエエエエ!」正気づき、叫び声を上げるアナカ。「答えねば殺す。このフロッピーを手に入れたのは偶然か?」「はい」「ヨロシサンの営業をリキシャーに載せたか?」「はい」

2011-07-11 23:40:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「だがどうも腑に落ちん」ブラックドラゴンは一切の感情を見せない漆黒の眼でアナカを見た。「タカギ・ガンドーやニンジャスレイヤーとの接点が謎のままだ」「アー……ハイ……アー……」アナカは何かを訴えようとしたが、ろれつが回らない。「連れ帰って尋問するか」「アー……帰してください……家」

2011-07-11 23:49:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前の女も一緒に尋問する」「アー……?」「お前の労働者データは全てスキャンした」「アー……・?」「今頃クローンヤクザ軍団が、お前の家に向かっているところだ」

2011-07-11 23:51:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((ヨモコが、ヤクザに?)))突如、アナカのニューロンが混濁状態から醒めた。急性バリキ中毒が自然に切れたのだ。だがこれには副作用もある。アナカの呼吸が速まり、体内酸素濃度が急上昇を始めた。手足が硬直し、ヒモノのように動かなくなってゆく。喉が詰まり声も出ない。「アーッ!アーッ!」

2011-07-11 23:57:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((ごめん、ヨモコ…。アッパーに行くには、危ない橋を渡るしかなかった。俺には何も無いから。それしかないだろ。でも、死ぬなら俺だけだろうと思ってた!それが、まさかニンジャだなんて!お前を巻き込むことになるなんて!ブッダ!こんな理不尽が許されるのか!?何でニンジャなんだよ!?)))

2011-07-12 00:07:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アーッ…」だがアナカの叫びは声にもならない。彼の精神は発狂寸前だ。(((誰か!俺に力を!憎い!ニンジャが憎い!……力をくれ!俺に力をくれ!ニンジャを殺す力を!……俺をニンジャにしてくれ!俺は目の前のニンジャを殺し!全ニンジャを殺し!ヨモコのところまで!走り抜ける!ヨモコ!)))

2011-07-12 00:14:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「Wasshoi!」路地を塞ぐ陰鬱なショーユドラム缶の山を、鋭角的なトビゲリで突き破りながら、赤黒いニンジャ装束の男がこのキリングフィールドへと乱入してきたのだ!そしてイカ焼きドラム缶から生えた二本の足の上に着地!ゴウランガ!炎に照らされ、「忍」「殺」の鋼鉄メンポが不気味に輝く!

2011-07-12 00:25:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

腕を組んだ直立不動のポーズを取ると、ニンジャスレイヤーは拳と掌を合わせて静かにオジギした。滾る殺忍衝動を象徴するかのように、首に巻かれたマフラー状の襤褸布が風も無いのに後方に吹き流される。「ドーモ、ブラックドラゴン=サン、シャドウウィーヴ=サン……ザイバツニンジャ、死すべし!!」

2011-07-12 00:27:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第2部「キョート殺伐都市」より 「リキシャー・ディセント・アルゴリズム」#5終わり #6へ続く

2011-07-12 00:28:29