中川保雄『放射線被曝の歴史』(1991年)について-島薗進氏 @Shimazono による紹介【増補版8】
地元で水俣病の診療・解明に取り組んで来た高岡滋医師が水俣病と比べながら今回の放射能被ばく問題にふれた論文、「水俣から福島への教訓―医学・公衆衛生の側面から―」。医療現場サイドから現在の国\福島県等の対策の問題点を整理しており、役立ちます。http://t.co/sbuKgKV
2011-08-05 21:41:45 付 『放射線被曝の歴史』目次
中川保雄 『放射線被曝の歴史』 技術と人間 1991/09 目次
1 放射線被害の歴史から未来への教訓を
-序にかえて-
2 アメリカの原爆開発と放射線被曝問題
全米放射線防護委員会誕生
マンハッ夕ン計画の放射線料学者
戦前の被曝基準と放射線の被害
3 国際放射線防護委員会の誕生と許容線量の哲学
ICRPの生みの親
許容線量の誕生
アメリカの核開発と許容線量
ICRP一九五〇年勧告
4 放射線による遺伝的影響への不安
原爆傷害調査委員会(ABCC)の設立
ABCCによる遺伝的影響調査
倍加線量と公衆の許容線量
5 原子力発電の推進とビキこの死の灰の影響
原子力発電でのアメリカの巻き返し
ビキニの死の灰の影響
BEAR委員会の登場
許容線量の引き下げ
ICRP一九五八年勧告
国連科学委員会
6 放射線によるガン白血病の危険性をめぐって
微量放射線の危険性への不安の広がり
死の灰によるミルクの汚染
ガン・白血病の「しきい」線量
広島・長崎での放射線障害の過小評価
7 核実験反対運動の高まりとリスク-ベネフィット論
核実験反対運動の高まり
リスク‐ベネフィット諭の誕生
一九六○年の連邦審議会報告とBEAR報告
ICRP一九六五年勧告
8 反原発運動の高まりと経済性優先のリスク論の"進化"
反原発運動の高揚
科学者による許容線量批判の高まり
原発推進策の行きづまり
放射線被曝の金勘定とコスト-ベネフィット論
BEIR-1報告
ICRPによるコストーペネフィット論の導入
生命の金論定
原子力産業は他産業より安全
lCRP一九七七年齢告
9 広島・長崎の原爆線量見直しの秘密
原爆線量見直しの真の発端
マンキューソのハンフォード核施設労働者の調査
絶対的とされたT65D線量の再検討へ
軍事機密漏らしの高等戦術
BEIR-3報告をめぐる争い
日米合同ワークショップによるDS86の確定
10 チェルノプイリ事故とICRP新勧告
ICRP勧告改訂の背景
新勧告につながるパり声明
チェルノブイリ事故と一般人の被曝限度
新勧告とりまとめまでの経過
アメリカの放射線防護委員会と原子力産業の対応
国連科学委員会報告
BEIR-5報告
線量大幅引き上げのカラクリ
新勧告最大のまやかし
11 被曝の被害の歴史から学ぶべき教訓は何か
時代の変化とともに広がる被曝の被害
防護基準による被害への対応の歴史
現在の被曝問題の特徴
日本の被曝問題の特徴
放射扁による食品汚染問題
12 おわりに
あとがきにかえて
装丁・勝木雄二
中川保雄さんの『増補 放射線被曝の歴史』ができあがりました。書店には10月20日頃から並びます。福島原発事故の評価とICRP2007年勧告についてまとめた章を加えています。単位もわかりやすいようにレムやラドのあとにシーベルトを付加しました。http://t.co/Ob4EY7TB
2011-10-14 18:18:34中川保雄『〈増補〉放射線被ばくの歴史―アメリカ原爆開発から福島原発事故まで』が届いた。「増補 フクシマと放射線被曝」は中川氏が属した科学技術研究会の5度に及ぶ討議を踏まえ稲岡宏蔵氏がまとめたもので約50ページの充実した内容。3.11以後の被曝容認の経緯が的確に記されている。
2011-10-17 23:18:16中川保雄『〈増補〉放射線被ばくの歴史』の稲岡宏蔵氏(物理学)による「増補 フクシマと放射線被曝」は低線量被曝に関する研究成果、ICRP勧告の意味、日本政府のその利用の仕方の問題点、計画されている健康調査などこの間に論じられてきた諸問題のまとめとして信頼に足るもの。名著に相応しい。
2011-10-17 23:20:16中川保雄『〈増補〉放射線被ばくの歴史』明石書店、奥付は10/20。中川慶子夫人による「増補版あとがき」も単身滞米中の著者の研究状況が点描されていて「旧版あとがき」とあわせ有益かつ赴き深い。骨身を削る徹底した資料収集、アメリカの研究者との交流の様子など。頭が下がる研究姿勢。
2011-10-17 23:20:47