シー・ノー・イーヴル・ニンジャ #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は絶望したが、世をはかなんで死ぬかわりに、今回の事件を起こした。ソバシェフ・ランペイジ事件を。「あのとんでもねェ車、お前一人で作ったのか?」ジャイゴが問う。ゼンダは頷いた。「そうだ」中古のリキシャーとソバ出前バイクを溶接合体し、鋼板装甲でカブトムシめいて覆った悪魔のビークルを。

2011-07-28 02:21:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

過重装甲を施され、ロードローラーをタイヤ替わりにしたビークルはトレーラー以上に巨大な怪物であった。ゼンダはそれを用いて道路向こうの工場予定地へ突入。建設中の工場建屋を破壊し尽くすと路上へ飛び出し、道路脇に駐車されていた車両を次々にスクラップにして、最終的に戦車によって鎮圧された。

2011-07-28 02:26:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺は許さない……奴らの事は許さないんだ」湯呑みを握り締めるゼンダの手に血管が浮き上がる。「許さない」彼の物言いは現在進行形だ。判決を受け、こうして服役の身となった今も、その憎悪は覚めるどころか永久機関めいて、一層その苛烈さを育てているようであった。

2011-07-28 02:31:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前……」ジャイゴは言葉を呑み込んだ。フジキドはそんなゼンダに気圧されて凍りついたようになっている面々の食器を素早く重ねると、静かに席を立った。「今日は私が食器を片付けて来よう。新入りだからな」「お……おう」

2011-07-28 02:41:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

洗い場に食器を素早く返すと、フジキドはほとんど野伏めいたさりげない隠密性でもって食堂の人々をすり抜け、中庭に出た。昼の休憩時間は長い。ケマリ・フットボールをする者、壁によりかかって本を読む者、日陰で写経をする者。看守達の見守る中ではあるが、囚人たちは一時の平安を過ごすのだ。

2011-07-28 02:45:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フジキドは己のニンジャ動体視力をフルに働かせ、囚人一人ひとりの顔をサーチしていく。彼のニューロンには求める人物の顔立ちがはっきりと刻み込まれている。ガンドーと共に見付け出したマキモノ。そこに挟み込まれた不明瞭な一枚の写真。被写体は、ウミノという名の考古学者……。

2011-07-28 02:49:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どこにいる……ウミノ=サン」フジキドは呟いた。「どこに……」

2011-07-28 02:51:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(第二部「キョート殺伐都市」より: 「シー・ノー・イーヴル・ニンジャ」 #2 終わり。 #3へ続く

2011-07-28 02:53:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(親愛なる読者の皆さん:本日の更新中に何らかの誤植が一時的に検出されました。担当翻訳者は「臨場感を出すべく自らもバイオイカ・ジャーキー工場に更新環境を近づけ臨んでいる。暑い。ある種のリアリズム追求だが大丈夫」と訳のわからぬ内容を供述しており、調査中です。現在は不具合は解消済です)

2011-07-28 03:00:07