チェルノブイリ避難基準を考えてみた
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UNSCEAR 2008 volume II http://t.co/bZ8avLm P.136にチェルノブイリ事故での汚染区域別の推定被曝量が載っている。
2011-08-24 21:21:30汚染区域分類を確認しておくと、Cs137の堆積によって 1)37000Bq/m^2未満 2)37000-185000Bq/m^2 3)185000ー555000Bq/m^2 4)555000-1480000Bq/m^2 5)1480000Bq/m^2以上 という5つに分けられる。
2011-08-24 21:24:42表を見れば1986年の平均外部被曝量は1)地域で0.16mSV、2)地域で1.5mSV、3)地域で5.6mSV、4)地域で13.5mSV、5)地域で38.2mSVと推定されている。
2011-08-24 21:26:581986年の事故以来の日数は約240日。外部被曝は通常、無防護状態の1/3程度で計算するので、この推定値もその程度の割引をしていると思う。つまり各地域の外部被曝推定値を3倍して240日x24時間で割り算すれば、各地域の1986年平均の時間線量が出るはず。
2011-08-24 21:29:44この考えで各地域の1年平均での時間線量を計算すると、1)地域が0.083μSV/h、2)地域が0.78μSV/h、3)地域が2.92μSV/h、4)地域が7.03μSV/h、5)地域が19.9μSV/h となる。
2011-08-24 21:34:54よくベラルーシでは0.5μSV/hで強制避難だったという話を見かけるが、この一連の計算とUNSCEARの推定が間違っていなければ、強制避難地域と指定された4)地域は事故当年は平均で7.03μSV/hという高い線量地域だったようだ。
2011-08-24 21:37:33勿論、0.5μSVという数値が大したことないと言いたいわけではない。実際に0.5μSV以上の地域に住んでいる人は、強制避難というものがどういう状況の地域で行われたのかを知っておく必要があると思ったからだ。
2011-08-24 21:43:48事故後ソ連時代には対策が進まず、それがソ連崩壊の一因になったと言われる。ベラルーシの避難基準が出来たのは、事故後4年経ってからだ。その時点で、年間被曝目標として1mSV/年が設定され、5mSV/年の被曝予想地域4)が強制避難地域となった。
2011-08-24 21:49:36先日はベラルーシの強制避難地域(555kBq/m^2~1480kBq/m^2)がどんな地域だったかをUNSCEAR 2008レポから推測した(http://t.co/XRxyuhe)けど、今度は自力で机上計算してみよう。
2011-08-27 08:20:08参考にするのはICRU56の換算係数というもの。参照→http://t.co/cGMjIUN これによれば、kBq/m^2に換算係数0.00268を掛け算すれば時間線量μSV/hが出てくる。
2011-08-27 08:22:17ベラルーシの強制避難地域(Cs137が555kBq/m^2~1480kBq/m^2)に換算係数を掛けると、1.49~3.97μSV/hとなる。Cs137は半減期が長いので事故当初とそう変わっていないはず。事故当初はこの他にCs134が大きな線源だった。
2011-08-27 08:24:53チェルノブイリではCs137:134は1:0.55だったと言われる。だから、この地域のCs134は305~814kBq/m^2と推定。CNICを参考にするとCs134の方が2.9倍外部被曝に与える影響が大きいようだ。したがって、Cs134による線量は2.37~6.33μSV/h。
2011-08-27 08:28:24他にも半減期短い核種が沢山あったと思う。中でも大きいのはヨウ素だと思うけど、これは今の日本でも影響は殆ど無くなってるんで、この短い連中は無視しよう。これで、およそ、当時の避難地域の数字が今の日本と比較可能なものとして出てくるはずだ。
2011-08-27 08:31:51Cs137と134による寄与を足すと、避難地域の線量は3.86~10.30μSV/hとなる。実に、先日UNSCEARレポを元に計算した平均7.03μSV/hという数字にかなり一致したレンジを示している。やはり、このあたりが実像に近い感じだな。
2011-08-27 08:34:51なんで連日こんな計算をしているのかというと、ずっとベラルーシの強制避難基準は0.5μSV/hだったという情報が流れ続けているから。一見しておかしな情報で、基準設定時の時差やら割引率を全く無視した単純計算から出た数字と思う。だから、きちんと計算して実像に近いものを示したかった。
2011-08-27 08:40:58一応、チェルノブイリ地域区分全部を先ほどの計算に従ってやってみるか。先ほどの計算の結論は、セシウム137がαkBq/m^2の場合、143.7で割り算すれば、μSV/hになる。これで各区分を計算してみよう。
2011-08-27 09:52:42区分→http://t.co/R7ur6HT 1)0.26未満(0.083) 2)0.26~1.29(0.78) 3)1.29~3.86(2.92) 4)3.86~10.30(7.03) 5)10.30以上(19.90)。単位はμSV/h。()内はUNSCEARからの推定値。
2011-08-27 10:02:04さて、ここで凄く面白いことに気づかないだろうか。強制避難区域は4)である。そこのレンジを見て欲しい。3.86μSV/h。これは政府が定めた20mSV区域の時間線量に一致してる。この数値の選定には、ベラルーシでの避難基準が念頭にあったと思うしかない。
2011-08-27 10:06:14つまり、ベラルーシの避難基準を元に政府の20mSVを批判するのは、どうも妙なことになってるわけです。これは計算してみて、かなり自分でも驚いてます。
2011-08-27 10:07:34ここhttp://t.co/38Hgf5T で計算したチェルノブイリ汚染区分での時間線量は、短半減核種(例えばヨウ素131)の影響を除いたもので、今の日本の状況にほぼ一致するものです。これを使って、時間線量から日本の現状を区分分けしてみよう。
2011-08-27 10:15:22関東はおよそ区分1)にあり、場所によっては区分2)にある。福島は避難区域には4)や5)が存在するが、それ以外はほぼ2)か3)である。
2011-08-27 10:16:52