死刑廃止と死刑存置の考察/フランスの死刑制度
バダンテール死刑廃止演説
死刑制度を勉強する上で、必読の資料。
死刑モラトリアム中に行われた1981年の大統領選挙候補者であったフランソワ・ミッテランはその選挙公約の一部として死刑廃止を宣言、5月10日に大統領に選出された。同月25日早速死刑確定者の恩赦を発表すると、8月26日に閣議にて法律を死刑を廃止する計画を決定した。
1981年8月18日に予定された投票日前日にフランス国民議会においてロベール・バダンテール法相が行った死刑廃止基調演説はWEBにて日本語訳されている。この基調演説は死刑の狂奔を経験したフランスならではのヒューマニズム溢れる演説であり、死刑存廃の立場を超えてある種の感動を覚えさせる。是非一読されたい。
1981年9月17日、フランス国民議会、死刑廃止法案の審議における、法務大臣ロベール・バダンテールの演説全文訳
http://kihachin.net/tips/badinter.html
バダンテール演説の要旨
この演説は一般予防論、国民の支持、誤審誤判可能性、代替刑の問題等死刑制度の根本論を網羅している。
(1)死刑制度は国民の支持の元存続されていたが、1981年の大統領選挙、総選挙において与党は死刑を公約として掲げ、国民のコンセンサスは得られた。またフランスは議会制民主主義を採用しており、死刑存廃論を議会の議決ではなく国民投票に頼ることは憲法の精神に反する。
(2)1888-1897の死刑執行期(殺人認知件数3066件)と1898-1907のモラトリアム期間(殺人認知件数1068件)との比較、イギリス・カナダ・国連等の研究、フランス国内の犯罪例からも死刑の一般予防効果は存在しない。
(3)司法は必ず誤審誤判可能性を秘めている。
(4)代替刑は定めない。
登壇者は、監獄人権センターの田鎖さん、日弁連の竹之内副会長、死刑廃止議連の村越さん、アムネスティの若林事務局長。政権交代後の日本の死刑に関する状況について。ついで、バタンデール元仏外相を迎えてテレビ円卓会議。
2011-10-10 17:28:35バタンデールから話し始めた。いやあスカイプ会議だ。日本には行ったこともあるし、いい関係を保っていると、バタンデール。話し始めたら止まらない(笑)通訳できない。
2011-10-10 17:35:17フランスでは二世紀以上も死刑廃止に関する議論があった。ユゴーなど思想的指導者がいろいろ語った。しかし、存置が強く多数だった。ミッテランは大統領選挙の際、死刑廃止を世論の前で宣言。センセーショナルだった。死刑制度の敵である彼が勝った。その後の国民議会選挙でも廃止派が多数を占めた。
2011-10-10 17:39:03世論におもねる場合、死刑廃止は難しい。しかし、廃止したいのであれば、明確に世論の前でそのことを明らかにしなければならない。村越さんが英語で話しかけている。でも結局通訳になっちゃう。なぜミッテランが勝てたのか。6割が廃止に反対だったのに。
2011-10-10 17:43:07バタンデール。ミッテランは思想的、哲学的に死刑廃止の意思がはっきりしていた。二人の候補がいた。現職ジスカールデスタンとの闘い。死刑の話は、その選挙の際の最大の争点だったとは言えない。他にも大きな問題がたくさんあった。
2011-10-10 17:48:45死刑廃止することで凶悪な犯罪が増えることは絶対にない。しかし、民主的な国家でもしも廃止後に凶悪な犯罪が実際に増えたら、次の選挙で持たないはず。しかし、そんな国はない。今や死刑廃止国が多数。しかし、そのような結果が現れた国はない。
2011-10-10 17:52:03若林さん、意見。日本では民主党が政権公約にあげていない。また、二百年におよぶ存廃の議論という伝統がない。野田首相にその立場を問いたい。バタンデール。死刑制度は全く無用。その認識はほとんどの国で共有されている。中国などの例外を除いて。死刑は基本的にテロのようなもの。
2011-10-10 17:55:33竹之内さん。死刑廃止に向けた弁護士の役割は?バタンデール。自分が担当した事件は残酷な子ども誘拐殺害事件。自分はこの事件を死刑を訴訟対象にする事件にした。裁判官に死刑の是非を問うた。弁護士は、冤罪の可能性、社会的な格差、差別との関係。世代が変われば、実は世論も変わる。
2011-10-10 18:03:17直近のフランス死刑制度世論調査
2006年9月18日にソフレスが発表した世論調査によると、「死刑廃止25周年」を迎えて、52パーセントが「死刑制度復活反対」と答え、「死刑制度復活」を望む意見は42パーセントであった。
支持政党別で、死刑復活賛成は、右派政党の国民戦線支持層で89%。与党・国民運動連合(UMP)で60%。社会党支持層は賛成は30%となった。
若齢、高学歴者ほど死刑復活反対の傾向が強かった。
ただし、フランスの政治家で死刑制度復活を公言しているのは国民戦線指導者のジャン=マリー・ル・ペンなど少数であるうえに、死刑制度を廃止する国際条約に批准しているため、事実上不可能となっている。
by wiki
田鎖さん。日仏とも官僚が強い。しかし、フランスでは官僚が人権に関する意識が明確だ。日本にはそれがない。大学やNGO・市民団体などの役割についてメッセージを。
2011-10-10 18:08:03バタンデール。友情のメッセージ。精神的な勇気が運動家には必要だ。裁判の際に、裁判官には常に正義の下に判断をしているのか、ということを自問自答してほしい。また、死刑廃止の世界的潮流についても意識してほしい。米国でも死刑存置をしているのは人種差別意識の強い南部。
2011-10-10 18:12:07バタンデールとの話終わり。「グッドラック」が最後の挨拶。元最高裁判事だった濱田さんも会場にいらしていたのでご挨拶。死刑問題は、基本的に政治問題である。裁判官は法律にある以上、それに従うのが職責。目の前の事件が果たして死刑に値するのか、ということを考えなければならない。
2011-10-10 18:17:09濱田さん。死刑制度廃止のために必要なのは政治的に決めることであって、国際的潮流のみによって決めるとか、裁判官の個人的意思で決めることではないと思う。社会防衛的な考慮も必要だと思う。裁判員制度が導入され裁判官の困難さがみんなのものに。しっかりと考えるべきだ。会場から批判の声も。
2011-10-10 18:23:32