「国家とは何か、どうあるべきか、国家の保護する責任とは』Ⅲ「保護する責任」とは:二つの潮流

三部作シリーズ第三部 ・「保護する責任」とは ・伝統的な「保護する責任」原則 ・「保護する責任」原則の二つの潮流 ・二つ目の潮流の掘り起こしと発展の提案 続きを読む
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歴史はすでに一つの潮流が制している。そして、それは現代国際社会の主流となっている…が、しかし。

想定可能な人為的事由により世界中でND(Natural Disasters:自然災害)が頻発しその勢力を増しているときに、HA/DR(Humanitarian Assistance/Disaster Relief:人道支援・災害救援)が矮小化されてることはあってはならない。

この考え方をどのようにして、RtoP(Responsibility to Protect:保護する責任)原則に根ざした、明瞭、かつ新しい枠組みに体系化していくかが今後の課題だ。

HA/DR活動やその実績は、伝統的には、国家が危機に対応する意思がない、あるいはその能力が欠如していることを示す指標とはならない。

国家の責任は、主に、持ちうる資源を駆使して対応する責任と、事態が悪化する前にこれを未然に防ぐ即応性を持つことに集約される。

国家がこの責任を効果的に果たし目前の危機に対処する即応力を持たないとしても、これ一つ目の柱(※国家の一義的な保護責任)の括りには該当しない。

※国連事務総長報告書「保護する責任の履行」に基づく3つの柱
http://www.unic.or.jp/security_co/res/a_63_677.htm

第一の柱 国家による保護の責任
第二の柱 国際的な援助と能力構築
第三の柱 適切な時期と断固とした対応

これがRtoPのガバナンスに対する問題提起となる。どのようにして、何が適切で何がそうでないかと判断するのだろうか?その評価を行う基準は?

では、[自国以外の]外部アクターは、どのようにして国家がその持ちうる資源を最大化・最適化して、危機の拡大を抑えるための「最大限の努力」をしていると評価できるのだろうか。