初心者向け「試製十糎対戦車自走砲『カト』」のお話

旧陸軍が大戦末期に開発していた、実口径105mmもの大口径砲を搭載した対戦車車両。惜しくも実戦には間に合いませんでしたが、その開発は巷で言われているほどお粗末なものではありませんでした。 今回はそのうちの一台、試製十糎対戦車自走砲『カト』についてのお話です。
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這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

……という訳で、戦中に肥大化する各国戦車に対抗するために期待の一新を背負って開発が始まった2つの砲と車両は、結局は双方と死にゆく旧軍将兵達の手に届くどころか、試作車両としてのお披露目も出来ること無く終わりを告げた、まさに全ての人が涙を飲まなければいけない運命を辿ったのです。

2011-11-24 01:15:55
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

……と、いう言葉で今日の旧軍小話を締めくくろうかと思います。次回は未定ですが、恐らくはまたしばらく旧軍戦車についての小話になると思います。

2011-11-24 01:17:32

~余談:海軍十二糎自走砲について~

這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

そのため今までのような「九七式中戦車(チハ車)」系列の車体に搭載することは不可能と判断され、当初から「四式中戦車(チト)」の車体をベースにした車体への搭載が計画されています。

2011-11-24 00:41:13
JSF @obiekt_JP

@Nyarlathotep_44 海軍はチハたんに120mm砲をっ

2011-11-24 00:48:45
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

@obiekt_JP 海軍の短十二糎自走砲の事ですね。あれの原型砲は商船の自衛用に作られた簡易急造高角砲で、高角砲と名が付いているものの、実質は対潜・対水上・対空兼用の、迫撃砲に似た特性の固定式薬莢型式の榴弾砲です。陸軍で言うと三八式十二糎榴弾砲と同じ性能で(続く

2011-11-24 00:53:25
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

(続き 短砲身砲ぶっちゃけそこまで大した砲ではありません。陸軍はこれよりも大口径である「三八式十五糎榴弾砲」をチハに搭載させた、四式十五糎自走砲「ホロ」を開発し、実際フィリピン戦に投入しています。

2011-11-24 00:57:51

※上のツイートはJSF氏に対してのリプライ……のつもりだったツイート。
送れてないだけじゃなくてぼけてるのか妙な文章に……

訂正文
ただの短砲身砲なので、ぶっちゃけそこまで大した砲ではありません。陸軍はこれよりも大口径である「三八式十五糎榴弾砲」をチハに搭載させた、四式十五糎自走砲「ホロ」を開発し、実際フィリピン戦に投入しています。

JSF @obiekt_JP

@Nyarlathotep_44 いや。十年式十二糎高角砲を搭載した長砲身タイプ。

2011-11-24 00:57:41
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

@obiekt_JP ああ、長十二糎砲の方ですか…あれはかなり車体に無理させてますから、走るたびにどこかが壊れていきますね。砲が車体中心から右に偏って搭載され、偏った荷重のために右側の懸架装置のバネがよく折れたとか。正直無理させ過ぎで移動砲台ならともかく、機動兵器として使うには…

2011-11-24 01:01:57

※補足余談:海軍十二糎自走砲について

海軍十二糎自走砲は、海軍が十年式十二糎高角砲に砲架などの改造を行い、九七式中戦車の砲塔と車体上部を取り払った車台に搭載した大戦末期の試作車両。乗員は指揮官(戦闘時下車指揮)、砲手兼装填手、操縦手、弾薬手2名の計5名。

海軍陸戦隊の砲隊に持たせ、対戦車戦闘を行うために開発したらしい。
砲の上下射角は最大仰角は20度、最大俯角は10度しか回らず、完全に対地戦闘に特化した構造になっている。

砲に防盾はなく砲が剥き出しのまま車体上面に露出しており、そのため敵戦車と向き合って戦闘するわけではなく、普段は隠れ、敵を撃っては移動するという、現代で言うと陸上自衛隊の「60式自走無反動砲」に近い運用が構想されていたようだ。

チハの車台はエンジンや足回り含め、ほぼ手をつけないまま8t前後ある重量の砲を搭載したため、今回指摘したトラブルや、そもそもまた車体が右に傾いている、最高速度は25km/h程度とチハの38km/hから減少し、燃料も粗悪な3号軽油を使用したためエンジンがよく停止する、撃発ペダルで発砲すると発射時の衝撃が大きく、再照準まで時間がかかり、当初計画のような運用は難しいという否定的な評価が出されるなどの不具合・問題が頻発したようだ。
ただ、命中率は1,500m程度において大変よく当たり、良好であったようである。

終戦までに試作車1両が完成し、各種試験も行われ、量産され始めた頃に終戦を迎える。
試作車は昭和20年1月に館山海軍砲術学校の陸戦科第六分隊に属し、同年4月に横須賀砲術学校に併合、陸戦教導隊の砲隊にて試験と訓練を行っており、その後は7月1日に編成された横須賀第15特別陸戦隊に編入され、横須賀市で終戦を迎えている。

海軍十二糎自走砲とされる写真
一緒に写ってるのは視察に来た米軍将校
http://twitpic.com/7ig8e3

~質問・意見タイムにて~

這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

さて、いつものごとくここからは質問・意見タイムです。何かある方は遠慮なくどうぞー

2011-11-24 01:18:21
JSF @obiekt_JP

@Nyarlathotep_44 試製十糎対戦車砲、防盾の形状が2種類あるようですが変更の理由はなんでしょう。

2011-11-24 01:21:23
埴科拓安 @hanisinatakuan

@Nyarlathotep_44 旧軍の兵器の設計図はメートル法で書かれている認識でよろしいでしょうか?

2011-11-24 01:21:41
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

@obiekt_JP 防盾の形状が二種類ですか?そういえば「カト砲」が三号突撃砲に似せてるイメージ図があると聞いたことがありますね……ただ、カト車本来の全体図としては、今回提示したそれとほぼ同一のもので開発が進んでいます。

2011-11-24 01:31:12
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

@hanisinatakuan ええ、旧軍の兵器の設計図はメートル法による作成ですね。インチ法では無いはずです。

2011-11-24 01:31:46
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

@obiekt_JP とりあえず今のところは「防盾の形状が変更された」という信憑性ある記述は見つからないですね……申し訳ないです。

2011-11-24 01:45:57
JSF @obiekt_JP

@Nyarlathotep_44 最初角張ってたのが後で丸みを帯びてたそうです。

2011-11-24 01:48:21
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

@obiekt_JP まあ考えられる理由としては避弾経始や製作工程の変更ですけど……ちょっと今度資料を更に探して調べてみます。

2011-11-24 01:53:47
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

そういえばぼけっと「戦車と砲戦車」を読んでたら「ホリ砲」の防楯の形状に2種類あるという記事で、昔JSFさんに聞かれた質問について思い出した。

2012-03-25 16:18:18
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

カト砲の話をした時にされた質問で、ちょっと調べがつかなくて放置してたんだけど、カト砲とホリ砲を間違えてたなら、これのすべての問題を解決できるなと思ったのでちょっと今更ながら回答をば。

2012-03-25 16:23:47
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

こちらの写真の上が施工直後のホリ砲、下がその後改良された時のホリ砲です。改良型のホリ砲は、施工実験時に装弾機(自動装填機)と閉鎖機激発装置に一部不良な点があり、その修正の為に改良された後期型のホリ砲ですね。 http://t.co/fxLY1L7m

2012-03-25 16:32:18
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這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

先程の写真を見ると、初期ホリ砲の防楯は角が立っているのに対し、改良型では角が削られて丸みを帯びているのが分かります。現在ホリ車のイメージには2種類のものがありますが、それらの全てが改良型防楯のイメージが採用されていますね。 http://t.co/eLrLmAUY

2012-03-25 16:39:17
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