昨日発生していたサイトログインできない不具合は修正されております(詳細はこちら)

続・ いまさらながら、SPEEDIについて

先日つくったSPEEDIについてのまとめ、 「いまさらながら、SPEEDIについて」 http://togetter.com/li/243580 について、もう少し具体的なところを、 主として文科省公表の計算結果を見ながら考えます。
72
五味馨 @keigomi29

まとめましょう。12日・13日は風向きがころころ変わりました。14日、3号機の爆発後、12時間程度の拡散予測は北西に伸びています。15日朝には4号機爆発。このときも拡散方向は北西。その後、西向きに。16日~18日の拡散方向は東向きで、海側。

2012-01-20 13:48:11

ここからは私の考察です。
放出量が分からないながら、
上のような計算がされていたのであれば、
それをどのように活用することが出来たであろうか、です。

五味馨 @keigomi29

何度も書きますが、これらの計算結果・等線量線の図は、放出量の仮定に基づいていること、そのため実際の線量は何桁も違う可能性があったこと、に気をつけなくてはなりません。一方で、絶対的な量は言えなくても、その時点の放出がどの方角に主として拡散するか、は言えたはずです。

2012-01-20 13:51:28
五味馨 @keigomi29

原子力事故の専門家ではないので素人の印象ですが、爆発が起きたならば、それに伴って放射性物質の放出が増えるだろうと予想できます。仮に値そのものが分からなくとも相対的には、です。3号機爆発~4号機爆発~その後数時間までの時刻に対応する予測では、北西方向へ拡散する傾向が読み取れました。

2012-01-20 13:54:45
五味馨 @keigomi29

ということから、例えば14日11時~23時の計算がされたのが14日の爆発以前あるいは直後の時間帯であったとすれば、その結果から、「北西方向に拡散する可能性が高い」「避難はこの方角を避けること」「20㎞圏の外側でも北西方向では特に警戒を」などの指示が出せたのではないか、と考えます。

2012-01-20 13:58:53
五味馨 @keigomi29

これまでにSPEEDIの運用側からされてきた説明によれば、当時、実際の線量に近いと考えてよい予測をすることは、あの時点では出来ませんでした。しかし、ある放出量を仮定した場合の拡散は計算出来ていましたし、その傾向は放出量が異なっても維持されたと考えてよいでしょう。

2012-01-20 14:04:32

避難指示への活用まとめ。
そして、上記のシミュレーションの限界について。

五味馨 @keigomi29

それを避難指示に活かせば、結果として3・4号機の爆発直後に特に危険であった北西方向へ警戒を出せたのでは、と考えています。しかし、3月12日からの計算結果の等線量図そのものをリアルタイムで公開しても、そこに示された線量は実際の線量ではありませんし、実際の線量予測でさえありません。

2012-01-20 14:05:34

まずは読み取る側の立場から、
計算結果の公開について考えます。

五味馨 @keigomi29

3月12日~16日頃の時点で、シミュレーションの結果を、その前提を正しく理解して、つまり、実際の線量予測ではないということを理解して、読むことが出来た人はかなり少ないのではないかと思います。

2012-01-20 14:12:41
五味馨 @keigomi29

何mSvかという値がひょっとすると何桁も違う可能性がある、という図ですが、発災直後・事故発生直後のあの緊迫・混乱した状況でそれを理解して自身の避難行動に活かせる人は多数者ではないでしょう。しかもその図は互いに矛盾しています。

2012-01-20 14:15:13
五味馨 @keigomi29

矛盾しているというのは、図によって放出量の仮定が異なること、何号機からの放出を想定しているかが違うということ、そして日・時間帯によって拡散の向きが異なるということです。

2012-01-20 14:15:52
五味馨 @keigomi29

ですので、原子力安全委員会、原子力保安院、そして文部科学省が、それぞれSPEEDIで計算した図をその時点で、ただ、全部公開していたならば、私達はその解釈に大きな労力をかける、つまり、図の読み方を勉強し、多くの図から得られる情報を統合して意味合いを読み取る必要がありました。

2012-01-20 14:19:14
五味馨 @keigomi29

緊急時、まさに事故が進展し状況が展開しているそのときに、仮想の放出量による予測図を何十枚もぽんと出す、というのは非常に無責任ですし、避難行動を決めなくてはならない個人や集団としても困ります。

2012-01-20 14:22:22

ではどうするべきかを、
今度は情報を持っている側から考えます。
情報分析と避難指示は当然として、
では情報公開はどうあるべきか。

五味馨 @keigomi29

何を読み取るべきかを分かっている、その任にある人達が統合と分析を行い、避難指示に使える情報としてまとめ、そして避難指示を出す。私がここで考えていることは事後である現在の有利な立ち位置からではありますが、しかし、当時得られていた情報からでも「北西」は言えたはずです。

2012-01-20 14:24:04
五味馨 @keigomi29

一方、関係者以外にも情報を分析できる人たちは沢山いるわけですから、情報の公開そのものはなされるべきと私も考えます。もちろん誤解の可能性は大いにありますが、しかし、結局のところ、沢山の注釈をつけて情報を出す、ということが公の情報の持ち主の出来る、するべきことではないかと考えます。

2012-01-20 14:26:45
五味馨 @keigomi29

確かに、事故直後の報道やインターネットでの個人の反応を見ていると、非常に基本的な科学的・技術的な誤解もありました。SvとSv/hの混同などはその典型ですね。しかし、情報を出して読み取る経験をしなければ、それが出来るようにはなりません。

2012-01-20 14:29:03
五味馨 @keigomi29

いわゆる「一人歩き」による誤解のリスクはもちろん、常にあります。しかしその誤解リスクを下げるためには、やはり、情報を読む訓練をしてもらうほかになく、それには「注釈つきで情報を出す」ことしかありません。

2012-01-20 14:31:20
五味馨 @keigomi29

情報を出さなければ誤読はされませんが、出さないことによる不信感のデメリットは昨年から私たちが大いに感じていることです。(余談ですが、政府は情報を「隠している」というよりそもそも「分かっていない」のでは、という印象で、「何が分かっていないか」を教えて欲しかったです) 

2012-01-20 14:33:33
五味馨 @keigomi29

以上、昨年の原子力発電所事故発生当時、実際に運用されていたSPEEDIの計算結果と、その限界、それを避難指示に活かすとしたらどういう方法があったか、さらに情報公開について、の簡単な考察でした。

2012-01-20 14:35:34

以下は温暖化対策のシミュレーションをしている私の、
まあ半分くらいは愚痴と、
それでも情報は出したほうがいい、というつぶやきです。

五味馨 @keigomi29

私も温暖化対策のシミュレーションで日々色々な計算をしていますし、グループ内では国や自治体の政策に直結する計算もしています。誤解されやすそうな情報がまわってきたときなどは「取扱い注意」と大きく書かれていたりしますが、それも最終的にはどこかで公開されることがほとんどです。

2012-01-20 14:37:29
五味馨 @keigomi29

シミュレーションにはそれぞれ前提があり、それによって結果の意味も限界も変わります。誤解されないよう私達も役所の人も一生懸命説明するのですが、ほかで友人に会うとまさにその誤解をしていたり、なんてことはザラにあります。まいてツイッターやブログにおいてをや、です(笑)

2012-01-20 14:41:53
五味馨 @keigomi29

という経験を散々していますので、SPEEDIの計算結果を公開したくなかったという気持ちは心情としては想像・理解も出来るのですが、温暖化について言えば、広範囲での誤解は徐々に解け、おかしなことをいう人達はその人達だけで島になって残っている、という様子を何となく観察しています。

2012-01-20 14:45:28