リブート、レイヴン #3

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

3人は大型スーツケースを転がしながら部屋を出て行く。角を曲がってエレベータに乗ったのを見計らって、ガンドーが再び部屋の前に駆け戻り、LAN直結を再開した。いざとなれば、全てを台無しにしてでも殴り込むつもりでいたが……緊急事態IRCは来なかった。それでも不安は募る。錠が開く。 47

2012-02-09 00:21:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『もう大丈夫だぜ』IRCメッセージを飛ばす。シキベが固い表情で部屋から駆け出してくる。暗闇に浮かぶガンドーの大きく四角いシルエットを見ると、シキベはいつも、十年前のあの日を思い出す。「間違いないデスよ、あいつら、スズキ・キヨシっス」歩きながら言葉を探す「急がないと、時間が」 48

2012-02-09 00:31:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何そんなに怒ってんだ?シキベ=サン」「焦ってるんスよ!犯行時間が近いんデスから!」ガンドーは横に並んで歩きながら笑い、助手の背中を優しく叩く。平常心を失いかけているのが見て取れたからだ。「それ以前に怒ってるだろ、ちょっと落ち着け、深呼吸しろ」「ウェー……」シキベは従った。 49

2012-02-09 00:44:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「時間ホントに大丈夫なんスか?」「ああ、大丈夫だ」ガンドーは自分にもそう言い聞かせた。「アー……自分でもよく分かんないんスけどね……なんか、この船に乗ってから、腹立つコトばっかで……所長とか、私とか、毎日死ぬような思いして、捜査して、女の子助けて、危ない橋渡ってンのに……」 50

2012-02-09 00:48:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……スズキ・キヨシだって、カネがあって、道楽で怪盗やってるんスよね?もうホント、なんで、アンダーだけこんなワリ喰わなきゃいけないんスか?昨日の女の子なんて、捜査しなかったら、死んでるんスよ?オイランの人とか可哀想デスよね、あんなプレゼンで拍手とか、ワケわかんないっスよ?」 51

2012-02-09 00:55:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「でもやっぱ、一番腹立つの、道楽のスズキ・キヨシなんスよ」シキベは涙を零し始めた。ガンドーも驚くほどに。「詮索者は、琵琶湖に沈めて、揉み消すとか、つまり、私のことなんスよ?十年前に所長に助けてもらって、ホント、ボンクラでも必死で生きてンのに?それを、偉そうに、消すとか?」 52

2012-02-09 01:05:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーは十年前のように身を屈め、嗚咽する彼女を抱いた。シキベはもう限界だ。一度に多くのことを体験しすぎた。これ以上深入りさせると、右に傾いて落ちる。分厚くごつごつしたガンドーの肩を感じ、シキベは驚いた。そして少しだけ、平静を取り戻した。「最高の助手だ」ガンドーは言った。 53

2012-02-09 01:16:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ここから先は、俺がケリをつける。ラウンジかどこかで、先に祝杯でもあげとけよ。正体を掴んだだけでもキンボシ・オオキイだ」ガンドーが言った。シキベは鼻水をぬぐって頷いた。「さあ、推理の時間だぜ」ガンドーが身を起こす「手掛かりが必要だ」。シキベが頷く「……プロポと…スモーク…」 54

2012-02-09 01:22:38