東浩紀「WEB文学論」 丸山眞男 仮面ライダーディケイド #rider とその後の講義についてちょびっと
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東:近代化しるというのは要するに、「個人には自立した主体性を求めると同時に、社会システムは人々に平等で等価で交換可能性を求めるというものです」
2010-06-03 16:52:46東:まあだからそういう矛盾したものを求められている以上、あなたたちが就活とかしてて、俺ってなんだろう、とか悩むのも当然なんですね。そこにつけ入るのがファシズムなんですが、丸山さんは日本には天皇制があることで、ファシズムにも至らないと主張しているんです。
2010-06-03 16:57:01東:ヨーロッパではちょっとした富裕層ーープチブルの間にファシズムは蔓延したのですが、丸山さんは日本では、プチブル的な階層は二種類ーーインテリと亜インテリに分かれ、片方はファシズム、片方は共産主義に分かれることで、両方とも国民運動には発展しないだろうと主張するわけです。
2010-06-03 17:02:05東:ヨーロッパではファシズムはインテリによって牽引されることで、発展していくんですが、日本においては、知識人、つまり岩波朝日文化という論壇と大衆、講談社文化という論壇という二種類の文化と二分に分断されていることで、互いに乖離しているわけです。
2010-06-03 17:07:33東:これは純文学とラノべの分断と同じで、保守と革新とかのニ項対立ではなく、もちろん優劣とかでもなく、ただ分断しているという感じです。これは非常に現代的な問題で、今でもありますよね。ネット対新聞、ブログ対紙、みたいな。
2010-06-03 17:11:21東:岩波朝日文化としてのインテリだけではなく、それまでメディアを持っていなかった亜インテリがメディアを持ち始めたのがゼロ年代で、小林よしのりの登場やらネトウヨの登場やら、そしてそれらの現象がどう文学的想像力にも影響をもたらしたのか、ということは無視できないということです。
2010-06-03 17:17:49東:そういう感じで、岩波朝日文化と講談社角川文化みたいなものに、優劣は存在しないという話をしたところで、今日は仮面ライダーシリーズを観ます。ゼロ年代重要だった宇野つねひろくんの思想を理解するためには平成仮面ライダーはかかせないので。
2010-06-03 17:21:49東:平成仮面ライダーは次作が前作をどう乗り越え正義を描くか、また、ラノべや深夜アニメと違って子供が観るものなので、それをどう踏まえるか、みたいなものに腐心しているので、大衆的想像力を考える上で重要ですね。
2010-06-03 17:25:36東:例えば仮面ライダー龍騎って作品があって、これを宇野くんは決断主義の代表作としているんですが、この作品のコピーが「たたかわなくれば生きていけない」というもので、大きな作品なんてなくて、小さなプチ正義みたいな複数のライダーが「俺が正義だ」とか言って戦い合うみたいな話です。
2010-06-03 17:30:06東:僕は電王ってのが好きなんですけど、これは電車に乗ってライダーがやってくるというすごいラディカルな作品なんですよ!まあ作品としては、能力を持った怪物をライダーが自分の中に取り込むことで、その能力を得るという作品ですね。
2010-06-03 17:34:34東:もうライダー能力も要らないし、バイクもいらない、という可塑性というか、ラディカルさが最大限に増幅された想像力が、ゼロ年代最後の仮面ライダーディケイドという作品です。
2010-06-03 17:37:06東:ディケイドという作品は、動ポモなんかで言ったような、前提が全てデータベース化されて、要素に分解された云々みたいな話を全て逆手にとって、どう物語を構築するかということにとても自覚的に考え、大衆的想像力として成功している非常に稀有な例です。
2010-06-03 17:41:41東:ストーリーの解説をすると、一人のライダーが過去の平成ライダーシリーズ10年分の世界を巡るんだけど、それらの世界はオリジナルのものとは違う、というとても二次創作的な話です。またディケイドではカードを使って変身するんですが、これもデパート文化を思わせるある種のパロディですよね。
2010-06-03 17:47:45東:ディケイドのすごさっていうのは、10年間「子供達に正義と夢を与え続けてきたライダー達」を、カードにぶちこんで、カードで戦うことでそれらの全てが相対化されてフラットなものになってしまっている、みたいなところにすごさがある。敵もカードの中にデータ化されたライダーを使って戦うしね。
2010-06-03 17:56:02東:大塚英志が「物語消費論」の中で、ビックリマンチョコの背景にはそれらの断片を統御する大きな物語が機能していると指摘しましたが、ディケイドのカードは、断片が断片のまま、物語が失効し、データベースでしかないたということになっています。
2010-06-03 17:59:52今日の東浩紀の授業で丸山眞男がでてきたのは驚き。東「近代とは全ての人が個人として自立されることが要請され、一方ではかけがえのない個人を謳い他方では交換可能な個人というパラドックスを抱える。そこから生じる不安につけこむのがファシズム。お前ら俺について来い(キリッ、ということ」
2010-06-04 00:44:59東「丸山の講演会『日本ファシズムの思想と運動』では日本の小ブルジョワは2つの層に別れると言っている。それは<亜インテリ>と<インテリ>である。前者は地主・学校の教員・商店経営者・地主などでこちらはファシズムに向かい、後者は教授・学生・知識人などでこっちは共産主義へ向かった。」
2010-06-04 01:36:13