ガントレット・ウィズ・フューリー #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ゆえに、バトルボンズか」「わかりません」アコライトは恥ずかしそうに笑った。「私ごとき未熟者が、他者に説法などと。こんなおこがましい事をしてはいけないのです」アコライトは言った。「オイランを見ましょう」「無理をするな」 25

2012-02-27 16:06:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……やがて、彼らの卓を訪れた者あり。ダークスーツを着、サイバーサングラスをかけて、厳めしい顔は無表情だ。ニンジャスレイヤーは眉根を寄せた。クローンヤクザである。「ドーモ。モリタ=サンご一行様」 「ドーモ」二者は立ち上がった。「VIP席へ」クローンヤクザが促し、歩き出した。 26

2012-02-27 16:12:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らは目立たないエレベーターに案内された。「ドーゾ」クローンヤクザが機械めいて冷たく言う。二人はエレベーターに乗り込み、下降した。地下だ。「VIPフロアドスエ」合成マイコ音声が響き、エレベーターが開け放たれた。金箔が塗られた廊下が出迎えた。壁には「不如帰」のショドー。 27

2012-02-27 16:18:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーゾ」クローンヤクザはエレベーターの前で後ろ手を組み、動かない。ニンジャスレイヤーとアコライトは廊下を進んだ。突き当たりにはハンニャ・オメーンと「大御所」のショドーが掲げられたカーボンフスマ。二人が近づくと、ひとりでに開いた。 28

2012-02-27 16:28:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

部屋の中には四角い巨大チャブがあった。反対側に、ヒキガエルめいて肥った、ガウン姿の巨大な男が座っている。「ドーモ、はじめましてモリタ=サン。エート、あと、アコライト=サン?風変わりですな」巨大な男は串にさしたバイオトカゲの黒焼きを齧り、せせった。「失礼失礼、食事中でして」 29

2012-02-27 16:39:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、アコライトです」アコライトが切り出した。「貴方がブーンズ洞=サンですか?」「そうとも言えるし、そうでないとも言えますな。ボンズ=サン」男はフゴフゴと咳き込んだ。「眉目秀麗でいらっしゃいますなぁ」「話を始めよう、ブーンズ洞=サン」ニンジャスレイヤーが言った。30

2012-02-27 16:43:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「エートご用件ききましょうか」ブーンズ洞らしき男はチュウチュウと音を立てて焼き串を吸った。「なんかご紹介があったとかで。ねえ。名前が思い出せないですが。IRCで」「その通りだ」とニンジャスレイヤー。「私と彼はそれぞれ、別の情報を買いに来た」「別!二倍料金?」男は驚いてみせた。31

2012-02-27 16:53:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「二倍出そう」ニンジャスレイヤーは即答した。「おほッ!」ブーンズ洞は目を見開いた。「太っ腹でございますなあ!重大情報を?お求めとかで?」「ボンズ崩れのニンジャがアンダーガイオンに逃げ込みました」アコライトは言った。「名はグノーケです。ご存知ですか?」「ええ知ってますよ」 32

2012-02-27 16:59:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「で、そちらのコワイお方は?何がほしいんで?」「ザイバツ・シャドーギルドのニンジャの居場所だ。どこでビジネスしているか。売ってもらおう。名はパーガトリーとスローハンドだ」「んザイバツ!」ブーンズ洞は叫んだ。「シーッ!あなた、シーッ!」「知っているか」「それはですなあ」 33

2012-02-27 17:02:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ブーンズ洞はパンパンと手を叩いた。すると、おお、見よ!左右の壁が音を立ててシャッターめいて上へ開いて行く。左右の壁向こうはそれぞれタタミ敷きの玄室であり、それぞれ、ニンジャがこちらを向いてアグラしているではないか!左は紫、右がダークアイアン色だ! 34

2012-02-27 17:08:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いけませんなあ。その名前は。あなたご存知無いでしょう。畏れ多いですなあ。そこらのザイバツ・ニンジャじゃありませんよ、その名前は」ブーンズ洞が言った。「つい最近、ザイバツのニンジャが色々あったとか。聞いておりますよ。ニンジャのリストのビラがばら撒かれて」 35

2012-02-27 17:11:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、ヴァーミリオンです」紫のニンジャがアイサツした。「ドーモ、キャタピラーです」ダークアイアン色のニンジャがアイサツした。「ドーモ、アコライトです」アコライトはアイサツを返し、身構えた。「ニンジャスレイヤーです」ニンジャスレイヤーは腕組みした。「これは面白い冗談だ」 36

2012-02-27 17:18:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうでしょう」とブーンズ洞。「どうも紹介時のIRCが怪しくてね、警戒しておりまして」「クライアントを売らんのが矜恃と聞いたが?」「そりゃその通り」彼は言った「正規のご紹介ならばまた違ったでしょうがねえ。最近亡くなっているヤクザ・オヤブンの名前ですよ、あの紹介者は。ははは」 37

2012-02-27 17:23:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ガンドー=サン)ニンジャスレイヤーは眉間を押さえた。ブーンズ洞は手を叩いた。「さ、身柄はザイバツに引き渡しましょう。抵抗すれば殺します。なにしろニンジャですよ。驚きましたか?この仕事は危険が一杯でして」ねっとりした目でアコライトを見、「あのボンズ=サンはとにかく生け捕りに」38

2012-02-27 17:27:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これは……上手くいかなかったという事でしょうか」アコライトは手近のニンジャ、キャタピラーの方向へ向き直った。「ガンドー=サンの詰めが甘かったようだ。すまぬ」ニンジャスレイヤーは低く言った。「だが、まだインタビューは失敗と決まったわけでもない」 39

2012-02-27 17:40:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何をバカな」ヴァーミリオンが威嚇的に両掌を上向ける。彼のブレーサーがにわかに朱色に赤熱し、何らかの機構の働きで、朱色の炎を松明めいて纏った。「苦しめながら焼き殺してやるぞ。俺のカトン・パンチでな……」「そうか」ニンジャスレイヤーはトレンチコートを脱ぎ捨てた。 40

2012-02-27 17:50:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウランガ!トレンチコートを脱ぎ捨てる動作中に何らかの超自然力が働き、その身は赤黒のニンジャ装束で包まれていた!さらにその手には、懐から取り出した「忍」「殺」のメンポがある!素早く装着!「ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」叫ぶブーンズ洞!「繰り返すが私はニンジャスレイヤーだ」 41

2012-02-27 17:54:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、キャタピラーはアコライトに向かって両腕を威圧的に掲げた。「お前のガントレットにはこんな芸当はできまい!」おお、見よ!彼のガントレットはキャタピラーを備えており、無慈悲なモーター音を鳴り響かせて駆動開始!まるで戦車だ!「降伏しろ!さもなきゃ腕で轢殺だーッ!」42

2012-02-27 18:04:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「黙りなさい!」アコライトはボンジャン・カラテ攻撃姿勢を取った。「私は殺人者には手加減しません!」「ニンジャにモンキーパンチが当たるかよォーッ!」飛びかかるキャタピラー!「俺のサイバネ・キャタピラーは防御したお前のガントレットごと腕をグラインドしてミンチ重点なんだよォー!」 43

2012-02-27 18:16:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ボンジャン!イヤーッ!」「グワーッ!?」踏み込みながらのポン・パンチがキャタピラーにクリーンヒット!茶室の奥の壁まで弾き飛ばした!「グワーッ!?」ハヤイ!なんたるハヤイ拳か!その驚愕はアコライト自身も同様だ!「ハヤイ!?」 44

2012-02-27 18:19:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!」そして見よ!ニンジャスレイヤーも今まさに、カトン・パンチをかいくぐってのジゴクめいたショートフックを鳩尾に、続けざまのゼロ距離ポムポムパンチを顎に叩き込んだところだ!天井近くまで弾かれるヴァーミリオン! 「バカなーッ!?」 45

2012-02-27 18:25:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イイイヤアーッ!」空中のヴァーミリオンめがけ、ニンジャスレイヤーは跳躍!恐るべき空中回転サイドキックがヴァーミリオンの胸板に叩き込まれる!「グワーッ!?」茶室の壁に釘付けとなるヴァーミリオン!「イヤーッ!」間髪入れず投擲されたスリケンが頭部を貫通!「サヨナラ!」爆発四散! 46

2012-02-27 18:33:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバッ、き、きいてないぞ、卑怯」キャタピラーは壁の裂け目から這い出しながら呻いた。「ニンジャだとォ……?」「ニンジャ?」アコライトは眉根を寄せた。彼は己の腕のガントレットを見下ろした。「……ニンジャ?」「戦闘中に隙だらけだっつってンだよォー!」キャタピラーが飛びかかる! 47

2012-02-27 18:40:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サイバネティクスと俺様のニンジャ腕力が合わさったキャタピラー・ジツは戦車で轢かれる経験を凌駕する恐ろしさだ!グラインドだァーッ!」「イヤーッ!」アコライトは振り下ろされた腕を咄嗟にガード!ナムサン、だがキャタピラ機構が彼のガントレットを削り壊しにかかる!「ハハァーッ!」 48

2012-02-27 18:44:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヌウーッ……」アコライトは力を込めて抵抗する!ガントレットは摩擦熱でぼんやりと熱を帯び始める!敵を片付けたニンジャスレイヤーは加勢に入ろうと振り返った。だが目を見開き、そのさまを見守った。アコライトがキャタピラーのニンジャ膂力に押し勝ち、逆に押し戻している! 49

2012-02-27 18:49:58