生誕百年・探偵小説作家「大阪圭吉」の戦後未刊行作品紹介

2012年3月20日は、戦前に活躍した探偵小説作家・大阪圭吉の生誕百年の誕生日に当ります。 生誕百年を記念し、大阪圭吉の戦後未刊行の作品を紹介したツイートと、生誕百年関連の「私の」ツイートを、ログとして纏めました。
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小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(余談)「新国民」は北方文化出版社東京支社発行。北方文化出版社は、小樽新聞社や地崎工業に関連する北海道の出版社。「新国民」は後に読売新聞社に引き継がれ、「週刊読売」に巻号が継承されている。同じ号に「海底紳士」蘭郁二郎を連載中。 #keikichi

2011-05-15 14:06:04
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉6:「プラプイ君の大經驗」(「新青年」昭和16年8月)プラプイ君はタイ国から来た留学生。日本語は理解できない。ようやく下宿先が見つかり、一人で東京駅から淡路町の下宿先へと向かうが、言葉も日本文化も解らないため失敗を繰り返す。 #keikichi

2011-05-22 18:52:37
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)国際小説として掲載されたが、全うなユーモア小説。微笑みの国タイから来たプラプイ君は、とても愛すべき人物。最後、やっと下宿先を見つける際のチョッとしたトリックが秀逸で、気持ちの良い余韻を残して終わる。 #keikichi

2011-05-22 18:53:00
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)背景に大東亜共栄圏が有るが時局賛美は無く、戦時色が強くなった時期以降に発表された中では、個人的に最も好きな作品の一つです。 #keikichi

2011-05-22 18:53:16
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉7:「唄はぬ時計」(「新青年」昭和13年1月)いったい、なにが起きたというのだろう?牧と知り合ってからまだ5日とたっていない。それなのにあの男の妙な手紙一本で、心を躍らせながらあの男を訪ねようとしている。(冒頭) #keeikichi

2011-05-29 17:21:57
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)牧とは西銀座の飲み屋で知り合った。イカモノ趣味の男と意気投合し、道具屋から買った後に徐々に唄わなくなった目覚まし時計の話をした。時計を牧に預けたことから、恐ろしい秘密があきらかになってゆく…。奇譚の形式で語られる本格探偵小説。 #keikichi

2011-05-29 17:22:19
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)連続短編の後、最初に「新青年」に掲載された短編小説。連続短編の評価への、大阪圭吉の一つの回答であることは間違いないだろう。冒頭の不可思議性で読者を引き付ける。探偵小説の基本トリックにより意外な結末へ。 #keikichi

2011-05-29 17:44:06
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉7:「唄はぬ時計」(「新青年」昭和13年1月)前回の紹介で、「連続短編の後、最初に「新青年」に掲載された短編小説」と書いたのは間違い。正しくは「2番目に掲載された作品」、または、「最初に掲載された本格作品」でした。訂正します。 #keikichi

2011-06-05 16:51:17
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続)ただし、「唄はぬ時計」が「大阪圭吉の一つの回答であることは間違いないだろう。」は訂正不要。ネタばれを恐れて書きませんでしたが、探偵小説の基本トリックの使用に加え、作品自体にもトリックを仕掛けた、大阪圭吉としては大胆な作品です。 #keikichi

2011-06-05 16:51:31
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉8:「戀慕時計」(「新青年」昭和12年4月)宇野球太郎君は千丸屋デパートの玩具売場の店員。売場正面のエレベーター昇降計の動きを見ていると、その一つが少しばかり変てこな狂いを見せているのに気づいた。 #keikichi

2011-06-05 16:52:57
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)この103番の昇降機には、口元に黒子のある可愛いエレベーターガールが…。大阪圭吉得意のトリックを駆使したユーモア探偵小説。昇降計の秘密が解かれた後、最後のどんでん返しが秀逸。実は冒頭1行目に伏線が。 #keikichi

2011-06-05 16:53:12
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)この作品が「連続短編の後、最初に「新青年」に掲載された短編小説」。『香水夫人』に収録時は「昇降時計」に改題。連続短編後の最初の作品がユーモア探偵小説となった事に、連続短編評価の影響が有るのは否めないだろう。 #keikichi

2011-06-05 16:53:27
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉9:「尋人をする女」(「戦線文庫」昭和14年9月 11号、「にっぽん」昭和14年9月 1巻4号 同時掲載)設楽新四郎は定職が無く、細君に食わせて貰っている小悪党。銀座を歩いていると「あなたを探している人がいる」と、見知らぬ男に声をかけられた。 #keikichi

2011-06-12 12:50:36
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)逃げ出し、バスに乗ると車内の客がみんなジロジロと見つめている。「懸賞一千円」新聞広告の尋ね人に自分とそっくりな男が掲載されていたのだ。これ幸いと広告主を騙し賞金を奪おうとするが…。ユーモア探偵小説。 #keikichi

2011-06-12 12:51:03
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)新四郎は広告主を騙せるのか、尋ね人の意図は…。謎の設定とストーリー展開は興味深いが、解決が時代に寄り添いすぎているのが少し残念。 #keikichi

2011-06-12 12:51:43
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(止)掲載誌「戦線文庫」と「にっぽん」は、出版社は別だが、共に興亜日本社が編集を請け負っていたため、この時期は小説の半分弱が両誌に同時掲載されている不思議な状態。文字組みや挿絵も全く同じである。 #keikichi

2011-06-12 12:52:19
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉10:「香水紳士」(「少女の友」昭和15年5月)クルミさんは16歳の少女。今日は従姉の信子さんにお嫁入りのお祝いを届けるため、列車で国府津に向かう。列車では色々したいと楽しみにしていたのに、品川駅で前の席に無遠慮な客が乗り込んできた。 #keikichi

2011-06-19 20:17:18
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)列車は空いているのに相席してきたのは洋服の紳士、不機嫌で怪しい雰囲気が。喜び勇んで家を出たのに、すっかり元気をなくして、クルミさんは席で身を硬くしていた…。紳士の正体は?クルミさんはどのようにして窮地(?)を抜け出したのか? #keikichi

2011-06-19 20:17:34
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)掲載誌の読者に合わせた少女小説にしてユーモア探偵小説。クルミさんの愛らしさは抜群。少女小説としても、ユーモア探偵小説としても佳作。 #keikichi

2011-06-19 20:17:48
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)戦前『ほがらか夫人』に収録されたものの、戦後は日本では再録なし。ただし北京で発行の『銀座幽霊』には再録された。書籍で読むのは難しいが、青空文庫に採録されているので読んだ人も多いのでは。未読に方にはぜひ読んでいただきたい、お推めです。 #keikichi

2011-06-19 20:18:15
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉11:「香水夫人」(「週刊朝日」昭和14年5月7日~全4回連載「愛情盗難」を改題)謹厳実直な会社員の宇津君は、友人と酒を飲んだ夜、間違ってアパートの別の部屋に入ってしまった。気付いて部屋を出ようとした時、住人が帰ってきたので、カーテンの陰に隠れる。 keikichi

2011-06-26 13:46:21
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続1)部屋の住人はいつもジャスミンの香りを漂わせ香水夫人と渾名される謎の女性。部屋に入るなり、彼女は大事な物が盗まれたと騒ぎ出した。何とか抜け出した宇津君は、部屋に名前の入った帽子を忘れてしまった。だが、翌朝夫人は、勘違いだった犯人は調べないでと言い出した。 #keikichi

2011-06-26 13:46:54
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)初出時の若句は探偵小説。ユーモア風味を持った本格探偵小説にして、「幻の女」を彷彿とさせるノンストップ・サスペンス小説。圭吉には少ない中編小説だが、先を予測させない展開は、ストーリーテリングが弱いという俗説の誤りを証明する。傑作。 #keikichi

2011-06-26 13:47:26
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(止)No.5で紹介した「誓ひの魚雷」の香水兵曹、No.10の「香水紳士」と共にファンの間では香水三部作と呼ばれている(嘘)。圭吉には香水をモチーフにした作品が多い。本作、実は初出、改題共にタイトルがネタばれなのが残念です。 #keikichi

2011-06-26 13:48:08
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

今日、7月2日は大阪圭吉の命日です。1945年(昭和20年)7月2日。享年33(満33歳)。7月2日は戸籍上の命日で、実際に亡くなったのは戦争終結後の9月20日前後、マラリアによる病死であると言われています。 #keikichi #shinshiro

2011-07-02 00:28:11
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