チューブド・マグロ・ライフサイクル #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
2
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スカベンジャーに憑依したソウルの正体は、ドトン・ジツを得意とするキノコニンジャ・クランのグレーター・ニンジャであった。平安時代、キノコニンジャ・クランは山野の戦場で無敵の力を誇るのみならず、キノコの臭いを嗅ぎ分けたり、キノコから毒薬や秘薬を調合する知識にも長けていたという。 23

2012-04-07 00:33:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが、このマッポーの世ではどうか?ニンジャの主戦場はコンクリートに覆われたメガロシティである。平安時代のキノコもほとんど絶滅するかバイオ植物に置換されてしまった。彼がキノコによる超回復能力付与手術を行うよう要請した理由は、ソウルの残響がもたらした、キノコへの妄執なのだ……! 24

2012-04-07 00:41:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フジキドは拳に残った感触を確かめながら、ジュー・ジツの構えで霧の中を歩く。手応えは確かにあった。あと少しで敵を仕留められる筈、と考えながら。だが、それすらも敵の策略であることに、彼は気付いていない。スカベンジャーは彼を誘い込むため、はじめから敢えて実力をセーブしていたのだ。 25

2012-04-07 12:46:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

突如土中から、2本の腕がタケノコめいて出現する。ドトン・ジツ!「イヤーッ!」「グワーッ!?」ニンジャスレイヤーは咄嗟に回避動作を取った。ナムサン!一瞬でも反応が遅れていれば、両脚の腱を切り裂かれていただろう。彼の両すねには、鋭い二本のクナイが突き立てられていたのである。  26

2012-04-07 12:51:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」スカベンジャーは、紅葉の落葉を盛大に撒き散らしつつ、土中から全身を露にする「愚かなり!ニンジャスレイヤー=サン!貴様はこの俺には勝てん!」そして両脚を負傷したニンジャスレイヤーに対し、近接カラテを挑む!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」 27

2012-04-07 12:55:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヌウウウウーッ!」徐々に押され始めるニンジャスレイヤー。重い蹴りを受けて後退し、立膝状態に追い込まれた。(((誘い込まれてはならん、逆に誘い込むのだ……)))脳裏に去来するは、亡き師ゲンドーソーの教え。フジキドは立膝姿勢のまま、敵の突撃を待った。カウンターを決めるために! 27

2012-04-07 13:02:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは前方宙返りと同時に鋭い蹴りをくり出す。これは伝説のカラテ技、サマーソルトキック!「グワーッ!」弾き飛ばされるスカベンジャー!だが……浅い!スカベンジャーは目の前の勝利に功を焦るようなサンシタめいた戦い方はせず、常に敵の反撃に注意を払うのだ! 28

2012-04-07 13:10:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スカベンジャーは敵から追撃を受ける前に、落葉の山の中へ飛び込み、再びドトン・ジツで気配を消す。土中を高速で掘り進みながら、彼は松の木の下で手を伸ばし、マツタケを採取し、咀嚼するのだ。(((俺は無敵だ!永遠にでも戦えるぞ!)))破壊された肉体を再生しながら、彼は心中で嗤った。 29

2012-04-07 13:17:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、ヨロシサン製薬の地下実験施設では。ヨシチュニ、マサムネ、セントールの三者が、廃墟に隠された大型エレベータを使って、ヨシダ先生の待つモニタ室へと上昇を続けていた。重苦しい無言の時間が続く。天井の四隅に備わった銃口付監視カメラが、独立した生物のようにせわしなく動いている。 31

2012-04-07 13:27:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヨシチュニは必死で状況を整理しようとしていた。生きることにここまで必死になったのは、生まれて初めてだった。漠然とした不安への打開策を考えるたびに、蓄積した無気力物質が眠気を引き起こしてきたからだ。しかし今、極限状態で分泌された脳内麻薬は、無気力物質の力を遥かに上回っている。 32

2012-04-07 13:33:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

問題は、今のマサムネが誰の味方なのか、ということだ。マサムネはかつて、血も涙も無いヨロシサン製薬の研究員で、セントールを作った時の爆発事故が原因で記憶を失い、脱走した……らしい。なら、先程の言葉の意味は何だ?全てを疑え?これは芝居ってことか?だとすると、マサムネの本心は…? 33

2012-04-07 13:47:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヨシチュニはエレベータ内を観察した。監視カメラが光る。先程、戦闘実験室でマサムネが取った行動の理由は、監視の目を欺くためではないか?ヨシチュニは頭が爆発しそうだった。今できることは、早まった行動を取らないこと、そしてマサムネの行動を注意深く観察することだけだ、と結論付けた。 34

2012-04-07 13:54:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フスマが開き、モニタ室に入るマサムネたち。すでに救護スタッフが控えており、マサムネの背中に突き刺さったスリケンの応急手当を行った。ヨシチュニは拘束着を着せられ、クローンヤクザ2体に両脇を抑えられて静かに失禁している。セントールはマサムネの命令に忠実に、部屋の隅に控えていた。 35

2012-04-07 14:03:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ドーモ、ヨシダ先生」マサムネは立ったままで治療を受け、研究所長にアイサツした。「マサムネ=サン、まさか生きていたとは、僥倖だ!」ヨシダ先生はマサムネと握手すると、興奮した面持ちで、バイオ的な専門用語をまくし立てる。ヨシチュニには、それが遠い世界のモージョーに聞こえた。 36

2012-04-07 14:10:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヨシダ先生、バイオ鹿計画より前に……。先程のニンジャは何者ですか?ニンジャスレイヤーと名乗っていましたが」「ああ、あれか。ザイバツに単身戦いを挑んでいる、愚かな野良ニンジャだそうだ。ニンジャの世界のことは良く解らんがね。いずれにせよスカベンジャー=サンに勝てるはずは無い」 37

2012-04-07 14:17:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヨシダ先生は監視モニタ映像をマツタケ群生地に切り替え、得意げに笑った「これがその理由だ!ヨロシサンのバイオ技術の力だ!」モニタのひとつには、手術終了直後に撮影された資料映像……スカベンジャーが肉体を破壊される様子、そしてマツタケの力で再生を行う様子が克明に映し出されていた! 38

2012-04-07 14:24:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「インプラントした第二の人造胃袋でカンポを摂取することにより、ナノバイオ細胞が全身を駆け巡り、肉体を修復する……ヨシダ先生、あなたは何と恐ろしい技術をザイバツに渡してしまったんだ……」とマサムネ。「渡してはいないとも。スカベンジャー=サンは……ある種の奴隷だ」とヨシダ先生。 39

2012-04-07 14:29:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ここまで大掛かりなバイオ手術を受ければ、いかなニンジャとて、定期的なバイオインゴットの摂取が必要だ。さらに、今回の手術で、スカベンジャー=サンの肉体にはヨロシDNAコードが埋め込まれた」ヨシダ先生は引きつったように笑う「……彼はヨロシサン製薬には逆らえないんだ、一生ね」 40

2012-04-07 14:34:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

難解なバイオ用語で生命を語る二人に、ヨシチュニは恐怖した。神々の会話を盗み聞きしたモータルめいて、無力さを思い知る。「あなたの発案ですか?」「ああ」とヨシダ先生。「怪物じみていますな」「君にはかなわんよ。本物の怪物を造りだしたんだからね、セントールを……」ヨシダ先生は笑う。 41

2012-04-07 14:47:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それなんですがねヨシダ先生……非常に申し上げにくい事なんですが……」応急手当を終えたマサムネは、ポケットに突っ込んだ拳銃を抜き、それをおもむろにヨシダ先生に向けた。……声色が変わる!ヨシチュニの知る、あの嫌世的でニヒルなターコイズモヒカンの声に!「……俺は今日で退職する」 42

2012-04-07 14:53:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「エッ?」目を白黒させるヨシダ先生。「「ザッケンナコラー!」」最新型のクローンヤクザ2体がヨシチュニを放置し、腰のドスダガーを抜いて襲い掛かってくる!「ヨタロウ=サン!」「ニィイイイイイーッ!」マサムネの呼び掛けに応え、セントールは鎖を解かれた猛獣のごとく飛びかかった! 43

2012-04-07 14:59:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニィイイイーッ!」「グワーッ!」「ニィイイイーッ!」「グワーッ!」セントールの殺人的な大角によってクローンヤクザは全員死ぬ!「考え直せ、マサムネ=サン!企業年金が貰えないぞ!」ヨシダ先生が必死で説得を試みる。だが無理な話だ。そもそも彼には、マサムネの裏切る理由が解らない。 44

2012-04-07 15:05:20