チューブド・マグロ・ライフサイクル #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マサムネはヨシチュニの拘束を解くと、それをヨシダ先生に着せた。「狂ったか?マサムネ=サン!ヨロシサンに逆らって生きていけるとでも?君は有能だ!君の頭脳を無駄にしてはならない!」「……ヨシダ先生、俺の頭脳は欠陥品なのです。俺の造る物がどんな悲劇を招くか、想像すらできなかった」 45

2012-04-07 15:11:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そんな馬鹿げた理由で!」「……ヨシダ先生、あんたも一度記憶を失ってパンクスにでもなって、ケミカル物質の摂取を何週間か抜いてみたらいいんじゃないか……」マサムネはモニタ室の複雑なUNIXを操作し、火災発生時の緊急ボタンを押す。ブガー!ブガー!全隔壁とエレベータが開放される! 46

2012-04-07 15:18:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」ニンジャスレイヤーは全身から血を流し、広大な松林の中でジュー・ジツを構えていた。「フワーッハッハッハッハ!」落ち葉の中から笑い声!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投擲する!だがそれはただの盛り土だ!背後からスカベンジャーが出現! 48

2012-04-07 15:22:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」スカベンジャーは背後から組み付き、強力なカラテでチョークスリーパーを仕掛ける!「ヌゥーッ!」フジキドは左右に暴れた後、逆イポン背負いでこれを切り返す!逆イポン背負いは、相手の肘を折りながら投げる暗黒カラテ技だ!「グワーッ!」松に叩きつけられるスカベンジャー! 49

2012-04-07 15:27:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

手応えあり。明らかに腕を折ったはず。だが、またしてもニンジャスレイヤーが止めを刺す前に、スカベンジャーはドトン・ジツで消えてしまったのだ。(((奴のジツの正体は何だ?恐ろしいまでの肉体回復能力なのか?いや、それとも、このマツタケ群生地自体が、何らかのゲン・ジツなのか?))) 50

2012-04-07 15:31:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

満身創痍のニンジャスレイヤーは、視界がサイケデリック回転し始めたことに気付く。スカベンジャーのクナイに、何らかの毒物が塗られていた可能性が高い。ならばチャドーか?いや、ザゼンしている間に背後から襲われて終わりだ。ではどうすれば……?その時、懐のUNIX無線端末が鳴った! 51

2012-04-07 15:37:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハァーッ、ハァーッ……ドーモ、ニンジャスレイヤーです」「ガンドーだ!研究所で反乱が起こった!施設へのハッキング攻撃中に、反乱研究員とコンタクトを取ることに成功した!いいか、敵ニンジャの再生能力の秘密はマツタケだ!だが、この群生地には何万本ものマツタケがある!そこでだ……」 52

2012-04-07 15:44:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは覚束ない視界のまま松林を走り、地下実験施設に続くいくつものハッチを開いた。奇襲スリケン攻撃を背中や腕に受けながらも、ひたすらその行動を繰り返したのだ。(((ついに毒が脳まで回ったか?いや、これもまだ芝居かもしれん)))スカベンジャーはなおも用心深かった。 53

2012-04-07 15:47:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

十数個のハッチを開き終えたニンジャスレイヤーは、脚をふらつかせながら、再びジュー・ジツを構えた。「イヤーッ!」彼の不屈の闘志を嘲笑うかのように、前方の紅葉落葉の中から出現するスカベンジャー!直立不動の姿勢で着地する!「逃げ道は無いぞ、ニンジャスレイヤー=サン。貴様の負けだ」 54

2012-04-07 15:55:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「マツタケ……」ニンジャスレイヤーが言い放つ。覆面の下でぎくりとした表情を作るスカベンジャー。「……マツタケがオヌシの再生能力の源だな、スカベンジャー=サン。それゆえ私を松林におびき寄せた……!」「……いかにもその通りだニンジャスレイヤー=サン!だがそれを知ってどうなる?」 55

2012-04-07 15:59:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「耳を澄ますがいい、薄汚い死肉漁りのハイエナめ。オヌシを殺すのはライオンでもタイガーでもない……」「何を、面妖な……!」スカベンジャーは警戒する。もしや、ニンジャスレイヤーが何らかのジツやヒサツ・ワザを隠し持っているのではないかと勘繰ったのだ。だが、それはジツではなかった! 56

2012-04-07 16:07:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニィイイイイーッ!」「ニィ!ニィイイイイイーッ!」「ニィイイイイイーッ!」「ニィイイイイイーッ!」「ニィイイイイイイイーッ!」それは鹿の大群!隔壁のロックを開放されたことで地下研究所から脱走した無数の鹿たちが、ニンジャスレイヤーの開いたハッチから一斉に飛び出してきたのだ! 57

2012-04-07 16:09:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニィイイイイーッ!」「ニィ!ニィイイイイイーッ!」「ニィイイイイイーッ!」「ニィイイイイイーッ!」「ニィイイイイイイイーッ!」広大な松林の全域に出現した鹿たちは、培養シャーレを汚染するジャームめいて一瞬で地面を覆いつくした。貪欲な彼らはマツタケの臭いを嗅ぎつけ……喰らう! 58

2012-04-07 16:16:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「しまった!マツタケが!」狼狽するスカベンジャー!スリケンを投擲して鹿の虐殺を試みるが、とうてい殺しきれる数ではない!イナゴの群れに抗うファラオのように無力だ!そこで生まれた一瞬の隙目掛けて、ニンジャスレイヤーの杭打ちめいた低空トビゲリ!「イヤーッ!」「グワーッ!」 59

2012-04-07 16:27:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

雄大な楓に叩きつけられるスカベンジャー!枝葉が揺れ、紅葉が月光に照らされて舞い落ち、鹿との間に雅なコントラストを生み出した。花札タロットに描かれる滅びの暗示のカードにも酷似した、幻想的な光景だ。地面に向け落下するスカベンジャー。それよりも速くフジキドのカラテが叩き込まれる! 60

2012-04-07 16:33:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

右ストレート!「イヤーッ!」「グワーッ!」左ストレート!「イヤーッ!」「グワーッ!」右ストレート!「イヤーッ!」「グワーッ!」左ストレート!「イヤーッ!」「グワーッ!」右!「イヤーッ!」「グワーッ!」左!「イヤーッ!」「グワーッ!」「答えろ……ザイバツの本拠地は、どこだ?」 61

2012-04-07 16:36:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「答えるものか!俺のロードへの忠誠心は、死してなお砕けん」「では死ね」右!「イヤーッ!」「グワーッ!」左!「イヤーッ!」「グワーッ!」右!「イヤーッ!」「グワーッ!」左!「イヤーッ!」「グワーッ!」右!「イヤーッ!」「グワーッ!」左!「イヤーッ!」「グワーッ!こ、答える!」 62

2012-04-07 16:41:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「駄目だ」とニンジャスレイヤーの眼光が無慈悲に光る!「オヌシのような手合いは嘘を吐く。ゆえに直ちに殺す!」右!「イヤーッ!」「グワーッ!」左!「イヤーッ!」「グワーッ!」渾身のカラテチョップ!「イイイイヤアアーッ!」「グワーッ!サ…サヨナラ!」スカベンジャーの体は爆発四散! 63

2012-04-07 16:50:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャの爆発が、一瞬、松林を橙色に照らす。鹿たちは咀嚼を止め、夜空に向かって満足そうに、しかしどこか物悲しそうに嘶くと、再びマツタケを貪り始めた。カラテを使い果たしたフジキドはその場にへたり込み、松の枝に背を預けて、しばし目を閉じる。サツバツ。チリチリと鈴虫が鳴いていた。 64

2012-04-07 16:55:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第2部「キョート殺伐都市」より 「チューブド・マグロ・ライフサイクル」#4終わり #5へ続く

2012-04-07 16:56:17