社会的法益によるヘイトスピーチ規制の是非

金明秀(@han_org)氏と小山エミ(@emigrl)氏のやりとりを中心に。 関連まとめ:  表現規制反対運動とフェミニズムの不幸な関係   http://togetter.com/li/292844 続きを読む
47
エミコヤマ @emigrl

はい、(0) の部分では同じ考えだと思います。わたしが言っていたのは、マジョリティによる差別表現を取り締まるためにできた法律が、結果としてマイノリティの表現や運動を抑圧したときに、それを「弊害」であると言ってしまうのはどうなのか、ということでした。 @han_org

2012-04-27 17:42:07
エミコヤマ @emigrl

しかしそれは状況認識の問題であって、現実の戦略として、国家の本質的な抑圧性を認識しつつも、少なくとも民主国家としての体裁を整えなければいけないという体制側の弱みをうまく利用して、うまく権利を認めさせていくというのは、当たり前の手法でしょう。 @han_org

2012-04-27 17:42:20
エミコヤマ @emigrl

ただちょっと(1)のあたりで金さんと違うかなと思うのは、わたしが懸念する「弊害」(国家本来の作用)というのは、たとえば在特会を規制するはずが逆に在日コリアンの団体が「日本人に対するヘイトスピーチ」で規制される、というようなことでは、かならずしもないのです。 @han_org

2012-04-27 17:42:32
エミコヤマ @emigrl

そういう危険もあるとは思うんですが、より困難な問題は、ある特定のマイノリティ、たとえば在日コリアンの権利を守るという口実で、別のマイノリティが「差別者」として発見される、という事態のほうを懸念しています。 @han_org

2012-04-27 17:42:41
エミコヤマ @emigrl

たとえばパレスチナ人やブラックナショナリストが「反ユダヤ人的」として名指しされるとか、イスラム教徒や移民のコミュニティが「女性差別的、反同性愛者的」として排除されるなどです。これこそ、比較的「人権侵害を防ぐ機能」が発達している欧米でいま現実に起きていることです。 @han_org

2012-04-27 17:42:54
エミコヤマ @emigrl

要するに、問題は国家が「人権侵害を防ぐ機能」を十分に持っていないというような単純な話ではない。その「人権侵害を防ぐ機能」すら、人権侵害を引き起こすリソースになってしまっている。もっとも、日本は現時点でそこにすら至っていないような気もしますが。 @han_org

2012-04-27 17:43:07
エミコヤマ @emigrl

(2)について、法令が規範の形成に影響するというのはそうだと思うのですが、その法令に表現規制を用いるのが適切なのかという疑問を持ちます。たとえば雇用や住居などにおける差別を禁止するとか、障害者のアクセスを保障するよう義務付けるということなら賛成なのですが。 @han_org

2012-04-27 17:43:16
エミコヤマ @emigrl

ただわたしは「規制には原則反対である」と言っている通り、まったく規制は認められないという考えではないです。できるだけ規制以外の方法で反差別を規範化しなければならない、という意思だと受け取ってください。 @han_org

2012-04-27 17:43:29
エミコヤマ @emigrl

あと、本筋には関係ないですが、わたしには犯罪や違法行為が悪いことだという意識がまったくなく、そういう考え方が全然理解できないので、「道徳の問題ではなく犯罪なのだ」という言い方に説得力を感じませんし、反感を感じます。 @han_org

2012-04-27 17:43:49
エミコヤマ @emigrl

「痴漢は犯罪です」とか「DV は犯罪です」とかいう言い方もよく見かけますが、わたしの中ではどう考えても犯罪より痴漢や DV のほうがずっと悪いことのように思えるので、もし犯罪でなかったとしたら痴漢や DV は問題ではないのかよ、と感じます。本題に無関係ですが。 @han_org

2012-04-27 17:44:16
エミコヤマ @emigrl

(3)の部分については、わたしのスタンスについて誤解されていると思います。まあ、たかがわたしのスタンスを理解していただく必要がそもそもないんですがw,今後またおはなしをすることもあると思うので、説明させてください。 @han_org

2012-04-27 17:44:31
エミコヤマ @emigrl

わたしは「仮想のゴール」を設定しないスタンスですが、それはそうしたゴールに何のリアリティも感じないからです。設定「するべきではない」という規範的な判断というよりは、それが選択肢としてわたしには見えて来ない。 @han_org

2012-04-27 17:44:46
エミコヤマ @emigrl

そのかわりにわたしが取ろうとしているアプローチは、具体的に人々が理不尽に困っていたり苦しんでいたりする現場の訴えからはじまり、それに応答していくという形の「問題解決のイメージ」です。 @han_org

2012-04-27 17:45:04
エミコヤマ @emigrl

金さんは、わたしは「短期的に非効率でも長期的にはより優れたゴールに到達する」ことを優先しているのではないかとしています。でもわたしは、短期的にも長期的にもゴールに到達することを頭の中に描けません。あたふたしながら、目の前で起きていることに応対するしかない。 @han_org

2012-04-27 17:45:26
エミコヤマ @emigrl

金さんがイタレーションと呼ぶ作業は、わたしの考えているアプローチとそれほど違うようには思いません。というのも、わたしも問題解決を半永久的な繰り返しと考えるからです。もしかしたら、わたしと金さんの違いは、先に書いたような社会状況の違いからくるものかもしれません。 @han_org

2012-04-27 17:45:42
エミコヤマ @emigrl

わたしは、「2割もの人が取り残される案など採用できないというスタンス」ではありません。たとえばわたしは、それがまったく不完全な解決策であり、確実に取り残される層を生むことを承知のうえで、留保条件をつけたうえで、同性婚の合法化を支持します。 @han_org

2012-04-27 17:46:12
エミコヤマ @emigrl

わたしが反対にまわるのは、8割が救われて2割が取り残されることが認められないからではなく、その2割にとって状況がいまよりさらに悪化すると思うからです。 @han_org

2012-04-27 17:46:24
エミコヤマ @emigrl

もっとも、同性婚の合法化にだって、「性愛主義やカップル主義がさらに蔓延して、結婚しない・できない人がさらに暮らしにくくなる」という問題はあるでしょうから、2割にとってより状況が悪化すると言えます。ある意味、程度問題とも言えるでしょう。 @han_org

2012-04-27 17:46:33
エミコヤマ @emigrl

でもヘイトスピーチやヘイトクライムの文脈でわたしが懸念するのは、より直接的な国家による暴力の発動、すなわちマイノリティに対する逮捕・投獄・処罰です。少なくとも米国におけるヘイトクライム法令は、人種や階級などによって刑罰に差をつける差別制度と化していると思います。 @han_org

2012-04-27 17:47:00
エミコヤマ @emigrl

法令でヘイトスピーチが規制されることによる規範形成というメリットを認めつつも、最大限慎重にならざるをえない。原則反対とは、そういうことです。 @han_org

2012-04-27 17:47:12
エミコヤマ @emigrl

あと、念のため言うと、わたしは社会的法益という概念自体を否定していないです。 社会的法益を理由とした(一部のポルノグラフィを含めた)ヘイトスピーチの規制には原則反対する、という立場ですね。 @han_org

2012-04-27 17:47:24
エミコヤマ @emigrl

まあ正直な話、社会的法益という概念にピンと来ないというのも事実で、「個人的法益か、それとも社会的法益か」という二分法に疑問を感じます。規制の話は別にしても、マイノリティの社会集団としての権利が「社会的法益」の論理で守られるのかどうか、疑問です。 @han_org

2012-04-27 17:47:52
エミコヤマ @emigrl

@han_org 以上です。長くてごめんなさい。誰か読みやすいように togetter にまとめてくださいw

2012-04-27 17:48:17
金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ @han_org

読みました。たしかに初期条件の違いを除くと違いはあまりなさそうですね。 RT @emigrl: 金さんがイタレーションと呼ぶ作業は、わたしの考えているアプローチとそれほど違うようには思いません。|わたしと金さんの違いは、先に書いたような社会状況の違いからくるものかもしれません。

2012-04-27 17:58:22