- toshihiro36
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<ナレーション> 車庫を出るのは夜9時。600キロ近い道のりを2人で交代しながら運転します。楠木さんは「睡眠を十分にとっていても、運転が長時間続くと眠気を感じることもある」といいます。
2012-05-08 05:55:50<ナレーション> 深夜2時30分、愛知県内のサービスエリアに着くと車内で仮眠をとります。その間もう一人の運転手がハンドルを握ります。3時間後、楠木さんはふたたび運転を始めました。新宿に着いたのは午前9時。大型連休の渋滞で予定よりも遅れ、12時間の行程でした。
2012-05-08 06:03:39<ナレーション> バスの運転手たちの労働組合です。「そもそも夜行バスは距離に関わらず、1人で運行することには無理がある」と国の規制を求める声が上がっています。
2012-05-08 06:13:01運転手:我々はツーマン化(2人体制に)しろツーマン化しろと…夜行の疲労の蓄積をなくしていく方向でしなかったら「(事故が)起こるよ、起こるよ」と言ってて、起こってしまって…
2012-05-08 06:17:19<ナレーション> 実は国は一度バスに関するルールの見直しを迫られたことがありました。5年前、大阪の吹田市で運転手の居眠りによる死亡事故が発生、高速バスの安全性を疑問視する世論が高まりました。
2012-05-08 06:23:10<ナレーション> この事故をきっかけに国土交通省は、業界団体や有識者による検討会を立ち上げ議論を続けてきました。検討会のメンバーの一人で元バス運転手の佃栄一さんです。高速ツアーバスの価格競争はいきすぎだと主張、夜行バスについては運転手2人で行うことを義務化すべきだと訴えました。
2012-05-08 06:28:43佃:(夜行バスの運転は)顔に脂汗が出るくらい、疲労が出るというのが現実なんです。そういうのは机上だけで議論していてもわからないんですね。そこを国交省とか有識者のみなさんにわかってほしかったというのがあります。
2012-05-08 06:33:47<ナレーション> ところが検討会では市場を守ることや業界内での調整に追われ、運転手を増やすことなど安全に関する議論は深まりませんでした。
2012-05-08 06:36:09業界団体:高速ツアーバスはコンプライアンスの品質にも問題があった。しかし市場が大きいため、小さな事故や法令違反を理由に市場を壊すことはできない。
2012-05-08 06:39:25旅行会社:我々は法律にのっとって事業をしており、それが悪質ということはあり得ない。問題点を解決しながら、需要の拡大を図ることが必要である。
2012-05-08 06:42:21<ナレーション> 今回の事故の1か月前にまとまった報告書。夜行バスの運転手がおかれた厳しい実態への対策は打ち出されませんでした。国土交通省はバス会社への監査を強化することで、悪質な業者を排除し安全を守るとしたのです。しかし、その監査も十分に機能していないことがわかりました。
2012-05-08 06:48:12<ナレーション> 監査で数カ月の営業停止処分を受けたバス会社が取材に応じました。社長は運転手に違法な長時間労働をさせていました。
2012-05-08 06:50:29<ナレーション> 処分を受けたあと会社はいったん運転時間を見直しましたが、すぐに元に戻しました。しかし監査はめったに行われないため、こうした実態は発覚することはないといいます。
2012-05-08 06:54:43社長:(監査が)来ない会社は6年7年来ないですね。それだけ会社も多いし、手がまわらないというのが実情ですね。(監査で指摘された点を)守れてはいないですよね。多分どこの会社も守れないと思います。
2012-05-08 06:57:35スタジオに戻ります
国交省・三上安全政策課長:今回の事故をきっかけにこの5月中には新たな検討会を立ち上げて…実際にそういった過労運転を防止するために、新たな施策として提案していきたいと。
2012-05-08 07:05:03国谷:安部さん、本当に安全対策待ったなしという状況なんですけれども。現在、国交省が打ち出している安全対策がこちらにありまして…その1番目にあるのが菅彩行政処分の強化ですが、いまのレポートを見ると監査ははたして機能するのだろうかと。
2012-05-08 07:37:25安部:無理ですね。300人ぐらいの国交省の職員でツアーバス会社4千数百社、それから乗り合いバス数百社、タクシー会社8千社、トラックに至っては6万社くらいありますので…とても見きれる数ではないので、監査に期待するというのは無理があると思います。
2012-05-08 07:42:40