「キョート・ヘル・オン・アース」序「エンタングルメント」#7
彼は味わったことのない感覚に震えた。(何だこれは)後ずさった。(違う。これは。これは違う)彼は抗おうとした。何と?それすらわからぬ。だが、これではダメだ。 74
2012-07-24 21:24:55フジキドにとって復讐とは、妻子の死に捧げる厳粛な行為であり、祈りであり、人々を理不尽に虐げるニンジャへの、体制への怒りであった筈。(愉悦?)当然、ニーズヘグも殺すべきニンジャだ。だが、(愉悦だと?)彼はキョート城突入時、自らが口にした言葉を再びニューロンに刻みつけようとした。75
2012-07-24 21:47:23(フユコ。トチノキ)「スゥーッ……ハァーッ……」(センセイ)「スゥーッ……ハァーッ……」「……」ニーズヘグが訝しんだ。そして顔を歪めた。「ハッ……何だそのザマは……そのザマは……」目を!見開く!「覚悟も無しか!くだらん!カーッ!」ヘビめいた目が閃光を放つ!イビルアイ! 76
2012-07-24 21:55:47(力を!成し遂げる力を!)「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはヌンチャクを振り抜いた。ニーズヘグの邪悪な眼光を、神器の一閃があさっての方向へ弾き返した!ニーズヘグの最後の奥の手!敵を石化して殺す必殺の光!ニーズヘグはこの期に及んで温存していたのだ!77
2012-07-24 21:58:44一方的にヌンチャクで打たれながらも、ニーズヘグはその機会を眈々と伺っていたのである。フジキドが踏みとどまらねば、何が起きていただろう?憶測はすまい……イビルアイを跳ね返したフジキドの目は、静かで決断的な復讐意志の光を、再び取り戻していたのだから。 78
2012-07-24 22:03:18「やれやれ!これまでか」ニーズヘグは苦笑し、仰向けに倒れた。「カイシャクせい!ハイクは要らぬ」「よかろう」ニンジャスレイヤーは頷いた。メンポが不服げに軋みながら、もとの形状へ戻ってゆく。彼は片足を振り上げ、ニーズヘグの頭を踏み砕こうとした。「……!」 79
2012-07-24 22:07:13「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは咄嗟に側転した。飛び来たったのはクナイ・ダートである。包囲網をどよめきがさざ波めいて広がった。跳ね返ったイビルアイ石化していたニュービーの死体が転倒し、砕け散った。包囲網が割れた。海割り伝説のごとく。 80
2012-07-24 22:10:48ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを構えた。歩み進んでくる三者の影を睨んだ。左には女ニンジャ。パープルタコだ。右には若い男のニンジャ。シャドウウィーヴ。中央には。 81
2012-07-24 22:13:49「手前勝手に満足して死んで終わるつもりか、ニーズヘグ=サン。随分小さなイクサだな」中央のニンジャは無感情に言った。「失望させてくれるなよ。お前のイクサはまだ少しは残っていよう」「ハッ!」ニーズヘグが笑った。「死に損なったわい」包囲網が分かれていく。ニンジャスレイヤーは睨んだ。82
2012-07-24 22:19:37「ドーモ。ダークニンジャ=サン。……ニンジャスレイヤーです」「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。ダークニンジャです」両者はオジギした。ニンジャスレイヤーのヌンチャクに「忍」「殺」のカンジが。ダークニンジャのブレーサーに「刃」「鉄」のカンジが光った。 83
2012-07-24 22:23:40(第2部「キョート殺伐都市」より 「キョート・ヘル・オン・アース」序 「エンタングルメント」#7 終わり。#8に続く) 84
2012-07-24 22:24:36