一次史料論争再び
ここでの二次史料の例としては『吾妻鏡』がある。この二次史料の規定(あるいは狭い一次史料のとらえ方)において国史の史料分類は特異性を示しているように思える。たとえば『吾妻鏡』と同じく歴史書であるリウィウス『ローマ建国以来の歴史』を二次史料と呼ぶローマ史家はいない。
2012-10-02 18:12:15以上は要するに単なる言葉づかいの問題に過ぎない。しかしこの限定的一次史料の捉え方には、どうやら明治以後の日本の歴史学が歩んできた道が色濃く反映されていそうである。
2012-10-02 18:12:20というのも、公的な任務として史料(と当時は呼ばれていなかった?)を発掘し、編纂し、国史を書くという修史事業において重要視されたものが、まさに現在一次史料と呼ばれているからである。逆にこの修史事業の射程から漏れていた『吾妻鏡』や『太平記』には二次史料という位置づけが与えられている。
2012-10-02 18:12:30このように明治の修史事業よりはじまる日本史学の来し方の反映であるという点で、国史における一次史料・二次史料分類はまさに歴史学的な考察に価するのではないか。
2012-10-02 18:12:39與那覇潤さんによる「歴史学ローカルの一次史料というのは、『まだ他の人が使っていない生資料』という意味でいうことがある」という用語法は、このただでさえ限定的な国史領域での一次史料の捉え方を、さらに狭くしたもののように見える。
2012-10-02 18:12:57しかし通常の国史の用法とは異なるとはいえ、そこにはやはり、各地に分散した未発掘状態の史料を収集し公開することを史学の本体とみなす国史の伝統がひそんでいるように私には感じられる。
2012-10-02 18:13:07一次史料はその内容によってそう定義されるのであり、いかなる形式で利用されるのか、ということとは関係ないと書いてある。Wikipediaからリンク辿りました。>Primary Sources http://t.co/h1PmriZb
2012-10-02 18:27:16@toshiitoh 中国の正史は二次史料で、実録や文書類が一次史料とされるので、その基準だと吾妻鏡は編纂物だから二次史料、元になった記録類が一次史料ということになるのでしょうね
2012-10-02 18:31:59@sweets_street 中国も文書類の実物は捨ててしまって編纂物にしてしまうようですが、限りなく一次史料に近い編纂物はあるでしょうね。
2012-10-02 18:35:19何だか、一次史料の定義についてTLが盛り上がってる。が、諸研究者が述べてる見解に同意する。もっとも近代史では同じものでも使用者によって史料となったり、先行研究となったりするが。それより史料と資料との区分が厄介。歴史学では「一次資料」とは言わない。
2012-10-02 18:35:46@hashibutogarasu 普通は二次史料に区分しますね。もちろん同時代性が高いかどうかなどで、史料的価値の判断をすることになりますが。
2012-10-02 18:40:00@toshiitoh 同時代に直接編纂したものなら、一次史料の性格が強く残っているでしょうね。たとえば史記を書いた司馬遷は前漢の武帝の時代の人なので、武帝や景帝の時代の記述に関しては自分で直接収集した証言がだいぶ混じってます。公文書管理部署の長だったから、公文書も読めたでしょう
2012-10-02 18:42:22一次史料と二次史料の違いって、単純に出来事からの時間差で決まる相対的なものに過ぎないと思ってたが、そんな単純な話ではないのかな?
2012-10-02 18:52:04あと日記が一次史料扱いされるのが実は微妙に疑問だったり。何かあった当日に書かれたものではあるだろうけど、夜までのタイムラグがあるからね
2012-10-02 18:54:47@mdset 伝統的な古文書学の考えでは、日記の史料的価値は古文書よりも落ちます。ちなみに、日記の原本をみると数日分をまとめて書いているケースがしばしばあります。あくまで、便宜的な区分だと思ってください。
2012-10-02 18:58:06@mdset 時間差が全てを決めるわけでもありません。その史料の生み出された意図などのバイアスを、総合的に勘案する必要があります。それで日記は同時代性が高い上に、一般的な中立性も高いので一次史料にしているわけです。
2012-10-02 19:08:35@toshiitoh 同時代に作られた編纂物は編纂者のポジショントークが入りますが、後世の編纂物になると利害関係が薄い人が編纂するから比較的公平になりやすいですね。その代わり、玉石混交の膨大な史料を編纂しなければならないので、正確度がだいぶ落ちますが
2012-10-02 19:22:20