渡邉大輔が「ミステリの検索化」について語る!

限界研のミステリ評論集『21世紀探偵小説』に論考を書かれた渡邉大輔さんを中心にミステリ作家・氷川透さんやミステリ評論家・蔓葉信博のつぶやきをまとめました。
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渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

来週の火曜日(9日)の夜にLive Wireビリビリ酒場さまでトークイベントに出演します。限界研の新刊『21世紀探偵小説』の刊行記念で、杉江松恋さん、蔓葉信博さん、海老原豊さんと。ミステリと批評の現在について語る手広く予定です。http://t.co/4y9PVc1h

2012-10-07 00:58:18
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

限界研の『21世紀探偵小説』は、新本格ミステリ誕生25年を機に本格ミステリの現在と今後を考えるという趣旨の評論書で、そこで「論理の崩壊」という刺激的な副題をつけ、刊行直後からミステリ論壇(Twitter)でさまざまな議論の応酬を呼んでいます。

2012-10-07 01:01:09
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

本格ミステリジャンルが退潮しているのか?そこには新たな作風や形式のフェーズが認められるのか?かつて『探偵小説のクリティカル・ターン』で脱格系などの新世代ミステリに注目した限界研は、さらにその問題系を推し進め、「壊格」という新たなキーワードを打ち出しました。

2012-10-07 01:03:55
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

個人的な論点に絞って言うと、僕はこの論集では、同様の問題意識を引き継ぎ、「ミステリの検索化」(検索型ミステリ)というコンセプトを提示しています。これは、小森健太朗さんも『探偵小説の様相論理学』で少し提起されていますが、僕の論考はさらにそれを発展させています。

2012-10-07 01:06:45
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

あと、これはぼく自身もかつて『見えない殺人カード』に収録されている森博嗣論で断片的に提示した問題系でもあります。簡単にいえば、情報環境のデータベース化・検索化によって可能になった新たな知の再編モデル/リアリティを投影したミステリ。http://t.co/bnwoPV5t

2012-10-07 01:10:40
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

とはいえ、ただ、単に「これからはググればいいから名探偵とかいらないじゃーん」ということではもちろんない。もう少し大きな文化的意味合いを含ませてもいます。だから、これはミステリの問題でもあると同時に、批評の問題でもあるわけです。簡単にいうと、文芸の形式へのシステム論の知見の導入。

2012-10-07 01:13:10
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

これは純文学の分野で『サブカルチャー戦争』に寄稿した阿部和重論でも試みているのですが。システム論というのはこの場合、「複雑性の縮減モデル」のことだと言い換えてもいい。つまり、社会やそれを映すジャンルや作品の形態があまりに複雑・多様化しているので、それを適切に濃縮する機能が発達する

2012-10-07 01:15:36
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

個々の問題をモジュール化し、細分化して扱うことが可能になる。それが「検索化」の意味です。だから、重要なのは、「これからは検索すればいいんで、推理とかいらないっしょ♪」ってことじゃない。超越的・俯瞰的な知や推理そのものも不断にサブシステム化(モジュールの一つ)になってしまう事態。

2012-10-07 01:19:18
蔓葉信博🌿 @tsuruba

【幕間】いま渡邉( @diesuke_w )さんがつぶやいている「複雑性の縮減モデル」はミステリ的に重要な観点だと思っているので、トークイベント当日は読者側に立ちつつ話したいと思います! 僕的には「後期クイーン的問題」に対する有益なアプローチのひとつと思っています!

2012-10-07 01:21:34
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

なので、検索化したミステリにおいて名探偵的な知が消失してしまうわけではない(論理が消失してしまうわけではない)。「名探偵が推理する」、あるいは「検索システムが推理する」ということそのものも皆、再帰的にシステムの「効果」にしかなりえない状態、それがミステリの「検索化」だと思います。

2012-10-07 01:21:41
氷川透 @toru_hikawa

@diesuke_w ああ、最近の『相棒』(神戸尊くん登場以降)を観てるととくにそう感じますね。杉下右京の推理がどんどんモジュール化している。

2012-10-07 01:22:25
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

ぼくの考えでは、島田荘司さんの脳科学への関心も、円堂都司昭さんの「謎の解像度の分化」という問題提起も、こういう文脈から見ると非常に面白いのではないかと。…で、その観点で面白かったのが、野崎まど『2』の進化論的な状況認識だったのですが…これはまた後ほどつぶやきます。

2012-10-07 01:28:36
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

もう一点。推理モデルのシステム論的再編というのは、情報=知の縮減可能性も推し進めるのだけど、それは一面では、知の「炎上化」も意味するだろうな…。これは後期クイーン的問題にも触れているのかもしれんが。いつまでも不毛なカスケードが延々続く、「炎上ミステリ」とかヤバイっすね(笑)。

2012-10-07 01:55:50
蔓葉信博🌿 @tsuruba

@toru_hikawa @diesuke_w 氷川さん!お忙しいでしょうが、もし都合がつけばぜひ遊びに来てください(土下座)!

2012-10-07 01:24:13
氷川透 @toru_hikawa

@tsuruba @diesuke_w では、正体を隠して遊びに行くことにします(笑)。

2012-10-07 01:26:28
氷川透 @toru_hikawa

あれ? 正体を隠すも何も、蔓葉さんも渡邉さんもぼくの顔知ってるかww

2012-10-07 01:29:13
渡邉大輔@『新映画論 ポストシネマ』2刷『謎解きはどこにある』11/21刊行 @diesuke_w

@toru_hikawa 氷川さん、コメありがとうございます!ぜひお会いできればうれしいです。

2012-10-07 01:29:47
蔓葉信博🌿 @tsuruba

あと広告業界でほそぼそと生きている人間っぽいことをつぶやくと、渡邉さんのおっしゃる「複雑性の縮減モデル」は、今話題(笑)のビックデータの扱いにもつながる話で、GmailやFacebookを通じてやりとりをする我々にとても身近な観点のはずなのです(小難しさ数値:8)。

2012-10-07 01:31:24
氷川透 @toru_hikawa

@diesuke_w 批評家たる者、8年も新作を発表していない小説家に、そんな甘い言葉を吐いてはいけません。それまでには新作をせめて脱稿したいと思っていますww。

2012-10-07 01:32:46
蔓葉信博🌿 @tsuruba

先日、音楽系アプリのnanaがGraph hack アワードを受賞しました。このアプリは音楽を通じて世界の人々を楽しくつなげるもので、ぶっちゃけていえば「複雑性の縮減モデル」の具体的な成果でもあります。 http://t.co/8DRVUN4U

2012-10-07 01:44:13
蔓葉信博🌿 @tsuruba

世が世なら真賀田四季や御手洗潔が科学捜査系のアプリを制作していてもおかしくないはず! またiPhoneを使って事件を捜査するドラマ「シャーロック」のシャーロックもそういう観点でみると、「さらに」ドラマが楽しくなるはず!

2012-10-07 01:47:44
蔓葉信博🌿 @tsuruba

あとアプリを使って捜査するといえば、天原聖海『ジャッジメント/Q』(講談社BOX)の設定が燃えるのです!タイミングがあえば「ミステリマガジン」のライトノベル評で取り上げたかった作品。同時期に『ビブリア』がでてしまったから仕方なし。 http://t.co/hvH5msY4

2012-10-07 01:57:38
蔓葉信博🌿 @tsuruba

@toru_hikawa よろしくお願いします!鋭い質問お待ちしております(悶絶!

2012-10-07 02:00:02