Twitterの進化形を神林ワールドに求めてみた

夢乃 @iamdreamers

Twitterって、古くは日記から始まり、個人ブログ、SNSなどの延長線上にあるもの、と私は思っている・・・んだけど、Twitterとそれ以外のものを違うものにしているのは、その即時性と思う。

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ここで言う「即時性」とは、書き込んでから公開されるまで、ではなく、「頭に浮かんでから書き込むまで」を指す。

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日記の場合、ある程度 頭の中で整理したことを書き記していると思う。日頃から日記帳を持ち歩いて、思いついたときに取り出して書き込むようなことはないんじゃないかなぁ（ネタ帳を持ち歩いて思いついたときに書く人はいると思うけど、日記とは違うし）

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ブログやSNSも、基本的には同じで、頭の中で編集したり、場合によっては一旦下書きしたりしてから、書き込む人が多いんじゃないかなぁ・・・（人によってはものすごい頻度で書き込む、即時性を持った人もいるけれど）

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ところがTwitterの場合、特にほんの一言の呟きだと、内容を吟味したりせず、それこそ頭に浮かんだらすぐに、というレベルで書くことができ、これまでの日記・ブログ・SNSと比べると格段に即時性が高まっている、と思う。

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（・・・多分、誰かが同じ分析をしている気がする・・・）

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それで、これを押し進めていくと、その一つの可能性として、「帝王の殻」（神林長平 著）のPABになっていくのじゃないかと思ったりしている。

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PAB─Personal Artificiality Brain─とは、作中で「人工副脳」と呼ばれるように、個人ごとに持っている、人工的に作られた、脳を補佐するデバイスとでも呼べばいいだろうか。

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PABに至るデバイスを、神林作品に見ていってみる・・・

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まず、「猶予の月」で淳がかつて使っていたコンピュータ「ミリアス」。これは「人と会話できるコンピュータ」という感じ。問いかけに対して過去の会話の内容から、答えを導き出したりする。対話の対象が淳一人のため、考え方は淳に似ている、と思う。

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初期の頃の話は出てこないが、おそらく最初は、問いかけに対してランダムな回答をするだけではなかったろうか。淳との対話を繰り返し、その言動を記憶することによって、作中は、淳も忘れている過去の会話からの答えを紡ぎ出すまでになっている。

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次に「言壷」に出てくる著述支援システム「ワーカム」。機能的にはワープロの延長線上にあるようなシステムだけど、実のところはそれだけではない。文章を記述するために使い続けることで、所有者の文章の癖を記憶する。

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使い続けることで所有者がいなくても文章を紡ぎ出し、紡いだ文章は所有者の文体・考え方を正にコピーしたものとなり、そのワーカムは所有者の分身とも言えるほどにまでになる。

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それから、「兎の夢」の「PAB」。形状は一昔前のパーソナルコンピュータと同じでありながら、先の二つに比べると「帝王の殻」のPABにかなり近付いている。生まれたときに与えられ、所有者との会話によって成長し、所有者の死と共に廃棄される。

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基本的に所有者からの会話だけが情報の入力になるので、考え方は所有者に似てくる、と言うより所有者の複製とも言えるものになる。思考とは異なる言葉だけを発していれば複製にはなりえないが、その状態は分裂症と呼ばれ、実際にも分裂症になっていることが多い、という。

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そして「帝王の殻」の「PAB」。金属の球体で所有者について周り、所有者の側にいないときでもアイサネットを経由して所有者の声を聞いている。生まれたときから一緒にいるPABはまさに副脳と呼ぶにふさわしい存在であり、脳に関する医療ではPABも一緒に診察する。

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で、本題はここからで（前置き長いな(^^;）、神林作品に出てくるこれらのデバイスは、「所有者の言葉を聞き、記憶する」という点が、Twitterと共通している。

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そして、Twitterの場合には「答えてくれる」のは他のユーザなわけだけど、PABの場合はPAB自身が答えてくれる・・・答えの範囲は所有者の知識の範囲内だけれど。