哲学・思想の学び方

哲学や思想にまるで興味が持てない人が多い。小難しい理屈を聞いても何を言っているのか分からないし、そもそも何の役に立つのかも分からない。だが、歴史に名を残す哲学者や思想家は、当時の常識、固定観念を破り、新しい時代をデザインした功績があるからこそ、歴史に名を刻んだのだ。そして、「常識の破り方」は、現代を生きる私たちにもヒントになる。そのことを知ってほしくて、まとめてみた。
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shinshinohara @ShinShinohara

なんで歴史を勉強するとき、哲学者や思想家の名前を覚えなければならないのか、分からなかった人は多いのではないだろうか。私もその一人。なんか小難しい理屈を述べたって、アレクサンダー大王やナポレオンのような英雄と比べれば、いったい何の役に立つって言うんだ、と。

2012-10-26 20:46:22
shinshinohara @ShinShinohara

なぜ哲学者や思想家が歴史上で重要なのか?それは、当時の常識を破る斬新なアイディアを述べたからだ。そして、当時は受け入れられなくても、やがて新時代の常識になっていった。固定観念を打ち破った人たちだから、歴史に名を残しているのだ。問題は、授業でそういったことを教わらないことだ。

2012-10-26 20:48:05
shinshinohara @ShinShinohara

分かりやすい事例だと、ボッカッチョの「デカメロン」。何ともユニークな名前の本なので聞いたことがある人は多いだろう。歴史の教科書には太字で書かれていたりするのだが、なぜこの本が歴史に残ったのか、知っている人は少ない。この本は、「命がけのエロ本」なのだ。

2012-10-26 20:49:46
shinshinohara @ShinShinohara

ちくま文庫の「デカメロン」は、手に取るのが恥ずかしい表紙だ。歴史に名を残す本なのになぜセミヌード?と疑問に思われるだろう。しかし内容を読めばすぐ分かる。内容がエロエロなのだ。私もこれほどエロい古典を読んだ覚えはない。そんなエロ本がなぜ歴史に名を刻んだのか?それは、命がけだからだ。

2012-10-26 20:52:54
shinshinohara @ShinShinohara

ボッカッチョが生きた時代は、キリスト教会が極めて強い権力を持っていた時代。僧侶の悪口を言えば地獄に堕ちると信じられていた。だが他方、僧侶たちは絶大な権力を背景に腐敗しきっていた。ボッカッチョは僧侶がいかに堕落しているかを、僧侶たちのエロスを描くことで暴いたのだ。

2012-10-26 20:55:21
shinshinohara @ShinShinohara

ボッカッチョの「勇気あるエロ本」は、「僧侶の悪口を言ってもいいんだ」と、当時の知識人たちを勇気づけた。やがてこの勇気の伝播が、ルネッサンスへと発展し、キリスト教の呪縛から人々を解放した。現代の合理主義を生むために、ボッカッチョの「命がけのエロ本」は大きな貢献を残したのだ。

2012-10-26 20:58:06
shinshinohara @ShinShinohara

歴史に名を残した哲学者や思想家は、ボッカッチョと同様に、当時の常識を破壊し、新しい時代のあるべき姿を指し示す重要な役割を果たした。人々の思考を根本から変えるという意味では、アレクサンダー大王やナポレオンよりも影響力は大きいと言えるかもしれない。だから歴史に名を残したのだ。

2012-10-26 20:59:42
shinshinohara @ShinShinohara

ソクラテスは、議論をすることで思考を深めるという方法を確立した。ソクラテス以前は「生まれつき頭のよい人」だけが知識を持つという、誰が知識人になるかは運でしかなかった。ところがソクラテスは「産婆術」と呼ぶ問答によって、誰もが思考を深める方法を確立した。歴史を変えてしまったのだ。

2012-10-26 21:03:10
shinshinohara @ShinShinohara

プラトンは「国家をデザインする」という大胆な発想を示した。プラトン以前は、国家は自然発生するものであり、人間の力でどうこうできるものとは考えられなかった。だが、プラトンは「理想の国家」を描いてみせ、「あ、国家ってデザインしていいんだ」と思わせた。国家論がここから生まれる。

2012-10-26 21:16:15
shinshinohara @ShinShinohara

アリストテレスは「観察」という手法を生み出した。自然界に存在するものを丹念に観察し、そこから新たな発見をし、知識を増やしていくという方法論を皆に示した。それまでの人々は、意識的に自然を観察し、そこから何かを学び取ると言うことはあまりなかった。彼が意識化したのだ。

2012-10-26 21:18:47
shinshinohara @ShinShinohara

デカルトは「迷信を破壊する方法」を人々に教えた。すべてを疑え!そして疑いようのない事実から出発して、思想を再構築せよ!「方法序説」で提案されたこの方法論は、キリスト教の呪縛から解き放つ決定的な役割を果たした。これにより、人類は「合理主義の時代」に初めて突入する。

2012-10-26 21:21:54
shinshinohara @ShinShinohara

ルソーは「国民一人一人の意志が集まり、それが集約して国家の意思になる」という、それまで誰も考えたことのない様な国家体制のアイディアを提案した。それまでの国家は、支配者がいるのが当たり前だった。ルソーは「民主主義」という国家があり得ることを示すことで、世界を変えてしまった。

2012-10-26 21:24:34
shinshinohara @ShinShinohara

哲学や思想をなぜ学ぶのか?私の考えでは、「固定観念の破り方」を学ぶためだ。固定観念は、その時代の人々全員が信じているから、何が固定観念なのかさえ、普通の人は見破れない。だが歴史に名を残した人は、何が固定観念なのかを見破り、新しい時代のあり方を提案してきた。それを学ぶためなのだ。

2012-10-26 21:28:36
shinshinohara @ShinShinohara

このように、哲学者や思想家は、当時の時代を支配する固定観念を破壊し、新しい時代のあり方を提案してきた。そして実際に世界を変えてきたのだ。だから歴史の教科書に記載されている。もし、そんな風に教えてもらっていたら、子供たちはもっと面白く歴史を学べるだろうに。

2012-10-26 21:25:52
shinshinohara @ShinShinohara

たとえば、「エネルギーは国家の根幹」といわれる。確かにエネルギーを確保できない国は産業が衰退し、国家の力が低下する。だが、この理解には固定観念が潜んでいないだろうか?エネルギーが乏しくても元気で、世界に存在感を示す国家像はあり得ないのか?考えてみるとよい。

2012-10-26 21:30:16
shinshinohara @ShinShinohara

私たちの身近なところに固定観念がある。それを見破る方法、見破った後、新しい解決法を提案する方法。そのコツを、哲学者や思想家の足跡を追うことで、学び取るのだ。哲学や思想を学ぶには、そうした視点があると興味が湧きやすいだろう。

2012-10-26 21:31:26
shinshinohara @ShinShinohara

だから哲学や思想を学ぶときは、必ず、時代背景を知ることだ。当時の人々がどんなことを常識にしていたかを知れば、その哲学や思想がどれだけ「常識はずれ」だったかが分かる。なぜそんな常識はずれを思いついたのかを考えること。そうすれば、「常識の破り方」がだんだん分かってくる。

2012-10-26 21:37:13
shinshinohara @ShinShinohara

「経済成長しなければならない」というのは本当なのか?経済成長しなくてもやっていける社会というのは本当に作れないのか?浪費社会でなくても経済が回るようなシステムってできないのか?「固定観念」を見破り、切り込んでいく。その作法を学ぶために、哲学や思想は参考になる。

2012-10-26 21:41:33