再掲・田中文科相による大学新設不認可に対する法的措置についての授業

鵜澤・玉井両先生など専門家による分かりやすい解説をいただきました。(さきほど、肝心な部分のツイートが欠落していたので、まとめなおしました)
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玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

ちなみに、一般的には裁量の幅がある行政処分であっても、特定の状況下では、その幅が縮小します。認可申請のあと最終段階に至った状況では、裁量の幅はゼロに近い。今回の処分には政治性はないので、そういう正当化根拠もありません。 RT @amneris84

2012-11-05 17:31:16
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

なお、今回の申請者には、①行政事件訴訟法により、違法な拒否処分の取消と処分の義務付けを求める「抗告訴訟」のほか、②国家賠償法により、違法な処分により蒙った損害に対する賠償を求める訴訟を提起することも可能です。是非とも後者も提起すべきでしょう。 RT @amneris84

2012-11-05 17:34:46
Shoko Egawa @amneris84

@tamai1961 ありがとうございます。ただ、国家賠償訴訟だけだと時間がかかって、大学に進学したい短大生などが気の毒なので、仮であっても、早く結論を出す必要があるのかな、と思って質問した次第です

2012-11-05 17:37:23
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

仰せの通りです。この状況で義務付け訴訟が成立しないなら、わざわざ訴訟類型を明文化した意味がありません。 RT @amneris84 ありがとうございます。ただ、国家賠償訴訟だけだと時間がかかって、大学に進学したい短大生などが気の毒なので、仮であっても、早く結論を出す必要がある…

2012-11-05 17:39:32
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

国家賠償法には、故意または重過失による違法な権限行使について公務員個人に求償権を行使できるとの規定があります。まったく使われていませんが、こういう場合には活用すべきだと思います。 RT @amneris84

2012-11-05 17:40:53
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

私の知る限り、大学設置認可は、そういう運用にはなってないですね。そして、今回のパフォーマンスによって「矛盾や利権」の解明などできないのも明らかです。 RT @kazuhiko_tanaka 同時に,申請手順を踏めば必ず認可されなければいけないというのも、筋として疑問です…

2012-11-05 17:42:54
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

便宜裁量でしょうね。しかし統治行為ではないし、司法審査にはかかる。また今回は、裁量の幅がゼロに収縮している。 RT @TaroRX 大学設置認可が文部科学大臣の形式的権限に帰属するのは疑いの無いところでありますが、それが羈束裁量なのか便宜裁量なのか…

2012-11-05 17:45:56
Shoko Egawa @amneris84

よく分かりました。明解な解説をありがとうございます。 RT @tamai1961 この状況で義務付け訴訟が成立しないなら、わざわざ訴訟類型を明文化した意味がありません。

2012-11-05 17:51:08
Shoko Egawa @amneris84

@tamai1961 つまり、田中大臣個人を相手に裁判を起こす、ということですね

2012-11-05 17:52:10
Shoko Egawa @amneris84

@tamai1961 その場合、大臣をやめた後も、田中さんは被告であり続けるんでしょうか。それとも、次の大臣が、その役割を引き継ぐんでしょうか

2012-11-05 17:53:46
Shoko Egawa @amneris84

@tamai1961 お忙しいところ、丁寧なご回答をありがとうございました。

2012-11-05 17:57:05
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

あ、そうです。個人です。在任中に違法なことをするとあとあとまでたたる、という仕組みです。 RT @amneris84 その場合、大臣をやめた後も、田中さんは被告であり続けるんでしょうか。それとも、次の大臣が、その役割を引き継ぐんでしょうか

2012-11-05 17:59:06
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

地方公共団体については住民訴訟という制度があって、長が「政治判断」で違法なことをした場合、自治体に与えた損害を賠償せねばなりません。似た仕組み(「国民訴訟」)が国にも必要なのですが、国民が直接公務員の責任を問うことはできません。しかし国賠法の規定を活用すれば、ましにはなります。

2012-11-05 20:30:38
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

優れた大学が新設すれば、劣った古い大学が淘汰されるだけのことです。 RT @sion0701 …今回の不認可に賛同するわけでもないですが、横暴だと叫ぶ方に聞きたい。少子化や大学の統廃合・整理縮小が叫ばれる中新たに大学が増えることに対してどうお考えなのか?

2012-11-05 20:37:41
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

もちろん、新設大学が既存大学より劣っていれば、そちらが先に淘汰されるでしょう。それで何の問題もありません。不認可の理由にはならない。また、大学が増えたためにその分だけ税金の投入額が増えるなら問題でしょう。しかしそれは増えてない。 RT @sion0701

2012-11-05 20:40:28
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

「本当」の意味での学生の救済というのは、法律の任ではありません。残念なことですが。この世の生活で法律の領分は大きくありません。 RT @angel_sumire …法律的観点からだけではなく、本当に学生のためにはどうすれば学生を救うことになるかをお考えくだされば幸いでございます。

2012-11-06 01:37:02
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

この世の問題が複雑で解決困難だからこそ、領分を限定して法律の世界を作り、その範囲で解決を図っているわけです。たとえば、交通事故の被害者に損害賠償を認めても、生命や健康が回復するわけではない。だから「本当」の解決などではない。だが何もしないよりはいい。法律のできるのはその程度です。

2012-11-06 01:44:58
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

田中大臣の違法な権限行使の是正は、法律という手段がかなり有効な領域ではあります。しかし、たとえ今後認可がなされても、新設大学受験生の心労や新たに他大学受験を準備するための労苦は、取り返しがつきません。公権力の行使は影響が広範囲に及ぶので、法的手段を特によく整えるべき領域です。

2012-11-06 01:51:23
うざ@ヮ<)ノ @uzw1978

大学設置基準1条2項「この省令で定める設置基準は、大学を設置するのに必要な最低の基準とする。」

2012-11-06 03:08:52
うざ@ヮ<)ノ @uzw1978

大学の設置認可は、伝統的な許可と特許の区別でいえば、特許に近いものだと思う。そのことと、大学設置基準の規定からすると、基準を満たしてれば必ず認可しなければならないというようなものとは考えられない。特別に認めるものなのだから、基準を満たしていても認可されないことはありうるのだろう。

2012-11-06 03:10:14
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

然り。それをすればもう少し持つと思います。 "@KeigoTakeda: こういう時に即時に文部科学大臣を更迭するのが本来は総理の器量というものだと思うが。"

2012-11-06 11:23:15
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

それは1項の訴訟要件で、勝訴要件は5項ですね。(^_^) RT @Nagano711 今回の場合、1号義務付け訴訟ではなく2号義務付け訴訟なので、勝訴用件は37条の3の「当該処分または裁決が取り消されるべきものであり または無効若しくは不存在であること」ではないですか?…

2012-11-06 11:54:42
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

行政手続法により命ぜられた態様で裁量を行使しなかった違法は大きいですね。大学設置基準は大臣の自己拘束規範であり(学校教育法3条)、審議会は諮問機関(学校教育法95条)ですし。両者に拠らずに処分するのは違法です。 RT @ichiyanakamura …行手法上の瑕疵?

2012-11-06 12:01:56
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

設置認可にあたるのが大学設置・学校法人審議会であることは、学校教育法施行令43条で決まってるわけですよ。もしそれをするなら、先に政令を改正して審議会を改組するなり何なりしてから、やるべきことです。こんなことが通るなら、日本は法治国ではない。 RT @Tuba56

2012-11-06 13:33:09
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

「官僚が物事を勝手に決めるのはけしからん」というのはその通りだけれども、政治家が法を無視して物事を勝手に決めるのは、もっとけしからんことです。

2012-11-06 13:34:14