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神津恭介短編マラソン(3)

高木彬光の「神津恭介もの」短編作品を刊行順に読んでいこう、というお玉さんの試みの第3弾です。第3部では、『鏡の部屋』『嘘つき娘』『原子病患者』『加害妄想狂』『これが法律だ』『小指のない魔女』『死せる者よみがえれ』『死美人劇場』『薔薇の刺青』『邪教の神』『黄金の刃』『眠れる美女』の12作分を収録しています。
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お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

マホッ。神津恭介短編マラソン其の25『鏡の部屋』 有名女手品師の屋敷で殺人が起こる。殺人予告を聞いた東洋新聞社の真鍋記者は彼女のパーティーへと紛れこむ。鏡の部屋を使った人体消失マジック。見事消え失せた女手品師。だが、その後現れた彼女の姿は、死体であった。

2012-11-08 01:48:12
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『鏡の部屋』 あれっ、何かごく普通の短編探偵小説だよ。コリに凝りまくったプロットもなければ、奇抜な社会的題材を使ったアプローチもない。しかも破綻もしてない、ちょっと良い出来上がりの探偵小説だわ。 始め読んだとき、別の作者の小説でも読んだのかしら? という、ある意味異色作。

2012-11-08 01:51:45
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『鏡の部屋』 手品やっている最中に、アレするかなぁ〜。 あと、あまりどんでん返しがどんでん返しになっていないよね。

2012-11-08 01:54:24
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『鏡の部屋』 うん、薄味だ。 読みやすいぞ。悪くはないんだけど、高木彬光の個性はカケラも出てないなぁ……

2012-11-08 01:55:54
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

続いて神津恭介短編マラソン其の26『嘘つき娘』だ。ステキなタイトルだよね。 殺人事件の聞き込みを行う東洋新聞社の真鍋記者。とある女性から有益な情報を得て記事を作るが、それは嘘だった。彼女は近所でも評判の嘘つき娘だった。

2012-11-08 02:01:00
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『嘘つき娘』 一番目の殺人現場から消えた手袋。嘘つき娘がついた一部だけの本当のコト。 謎のポイントはそこであるが、手がかりは上手くばら撒けていない。神津恭介の超絶想像力で足らざるを補い事件の全貌を語るのだけど、あの展開だ。その推理が事実かどうかは確定できないのが……

2012-11-08 02:06:33
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『嘘つき娘』 二番目の殺人現場に置かれた手袋、これの扱いが惜しい。神津恭介の推理で語られるのだけれど、これの意図を事件進行中に真鍋記者あたりに言わせればいいのに……。 せっかくの犯人の仕掛けに関係者が気づいてないってΣ(゚д゚lll) やはり、これも枚数が少なかったのか

2012-11-08 02:12:13
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さてぇ、神津恭介短編マラソン其の27『原子病患者』を。 1954年。ビキニ環礁水爆実験を受けて、日本国民は魚に含まれる放射性物質が引き起こす原子病に怯えていた。 一人の女性が病院へ訪れる。検査の結果、彼女は原子病にかかっていた。原子病にかかる心当たりはないのに……

2012-11-08 02:23:29
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『原子病患者』 扶桑社の『初稿・刺青殺人事件』が刊行された際、『白雪姫』『妖婦の宿』『影なき女』『鼠の贄』とともに採られた一本であるという事実からわかるように、神津恭介短編の中ではベスト級の一本である。 異常ともいえるプロット、スピーディーな展開、明かされる事実。これはいいぞぉ

2012-11-08 02:30:41
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『原子病患者』 発表された1954年、まだ戦争の記憶が生々しい時期に、水爆と放射能という題材に目をむける野心。 まだ社会派推理などなかった時代に、時代の特異性に目を向けていた事実に、一人の高木彬光ファンとして尊敬の念を覚えてしまう。

2012-11-08 02:34:04
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『原子病患者』 そして、題材に対して容赦がない。 この小説は水爆や原子病に対しての警鐘小説では決してなく、あくまでもそれを素材として扱った探偵小説である。 読者に謎を突きつけ、一緒に考えてもらうそのゲームのルールは崩れていない。原子病はゲームのコマの一つでしかない。

2012-11-08 02:39:46
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『原子病患者』 隠された犯罪を暴くといった趣向だ。 ラストはものすごい皮肉で締められている。 この内容は有りなのか、無いのか? 読者のモラルによって取り方は変わってくるのだろう。 これは面白く読んではいけないが、面白く読めてしまうのが、本当に怖い。

2012-11-08 02:44:16
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『原子病患者』 ある意味、モラルの壁なんぞを容赦なく飛び越えて作品を書く能力を持ち得たことが、高木彬光が特異である理由のひとつではなかろうか? 高木彬光の諸作品を読んだとき、独特の正義感の薄さに疑問を感じることがあった。 うーん、すごいよなぁ。

2012-11-08 02:52:53
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『原子病患者』 原子病でなくて、別の伝染病にすると、機械で計測する手法がとれないのであのシーンが書けないのよねぇ。 で、あのシーンがないと、最後が弱くなっちゃうし…… 謎の伝染病でお茶を濁していない、原子病で書くことにキチンと意義を持たせてるわけだよ……

2012-11-08 02:58:12
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『原子病患者』 あと神津恭介の放つ冗談が、あまりにも寒すぎて……、恐ろしいΣ(゚д゚lll)

2012-11-08 02:59:16
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、感想は今日はここまでだぁい( ´ ▽ ` )ノ 読みに関しては、其の33『薔薇の刺青』まで終了。明日休みなので、あと3本くらいは読んでおきたいね。

2012-11-08 03:03:45
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

みゃ〜。神津恭介短編マラソン其の28『加害妄想狂』 被害妄想に対しての加害妄想。男は何度も何度も「私は妻を殺しました。捕まえに来てください」と訴えている。それは妄想であり、妻は元気でピンピンしているわけだが、ある日本当に妻は死体の姿で発見されてしまう。男は自分が犯人だと叫ぶ。

2012-11-08 12:45:31
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『加害妄想狂』 加害妄想の人たちが次々に出てくるのが楽しい一編。 これは二つ目の殺人は無いほうが、探偵小説としては引き締まって良いとは思うのだが、殺人現場で「この人も私が殺しました」と喚き散らす加害妄想狂の光景が面白すぎるので……、まぁOKだ。

2012-11-08 12:49:40
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『加害妄想狂』 小さなトリックを重ねた労作である。特に最後に明かされる謎に関しては、その後、大傑作長編で再利用されている(しかも、もっと効果的なカタチで、だ)ので、その比較もなかなか楽しい。

2012-11-08 12:52:29
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

では。神津恭介短編マラソン其の29『これが法律だ』 生を諦めきっている死刑囚がいた。彼は死刑を待ち望んでいるが、自分が犯したとされる罪に関しては無関心であった。その態度を奇妙に思った神津恭介は、事件の洗い直しを行う。

2012-11-08 21:34:04
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『これが法律だ』 犯人は少し意外だが(この後の高木彬光の長編で同傾向の犯人像は何度か出てくるよ)、本格探偵小説の謎解きの要素は極めて少ない。 話の都合、松下研三でも真鍋記者でも、使い捨てワトソンが主軸になって、死刑囚の過去を洗う役割を担っている。

2012-11-08 21:37:45
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『これが法律だ』 どちらかというと霧島検事シリーズのようなサスペンス色が強い作品である。 ダーク高木彬光が全快! この話の構成である、美談とも言うべき行動が救いようのない話にひっくり返る様子は、げーっΣ(゚д゚lll)となってしまう。

2012-11-08 21:40:58
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『これが法律だ』 角川文庫の『邪教の神』収録で読んでいるのですが、同じ死刑囚を題材にした『私は殺される』の次に収録されているんですよ。 ナイスな仕事だよね( ´ ▽ ` )ノ ファンタジーである『私は殺される』の次に現実味の強いこれを読んだらショック倍増です。

2012-11-08 21:44:34
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

しーっ、神津恭介短編マラソン其の30『小指のない魔女』だぜ。 医者のもとに緑衣を纏った奇妙な女性が訪れた。小指の無いその女性は往診を依頼する。請け負った医者が向かった建物、そこには女性の死体が転がっていた。

2012-11-08 22:20:29
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『小指のない魔女』 其の30で、1954年発表なのですが、実は1949年に書かれたものなのですよ。『白雪姫』と『妖婦の宿』といった超名作の間に書かれた『緑衣の女』という短編作品の改稿バージョンなんですね。 今回、再読を楽しみにしていた一本だったのですが……、これはアカンやろ

2012-11-08 22:26:49