神津恭介短編マラソン(4)
さて、神津恭介短編マラソン其の37『幽霊の血』なのです 7年前、主人が失踪した家がありました。最近、その家の壁に、血が滴り落ちる奇妙な現象がおきます。調査に向かった神津恭介ですが、今度は母親が毒殺されるのでした。
2012-11-12 02:00:47『幽霊の血』 これは、無駄に長いなぁ。短編マラソンの前半はプロットがまとめ切れてなくて枚数を渇望するケースが多かったのだが、ここらになると無駄に贅肉がつきまくってスタイリッシュになりきれてない作品が多いわけで……
2012-11-12 02:05:43『幽霊の血』 血が滴る壁ということで、お話の冒頭でも展開されているように、捕物帳の怪奇を現代で行うにはどういうアプローチになるのか? そんな意図が見えてはくるのだが……、血液型のない血→乾燥血液→医学関係者の仕業?→それは見せかけで、真犯人は別に! というトリックは……弱いよ
2012-11-12 02:09:58『幽霊の血』 オカルトが成立し得ない土台なんだよねぇ〜。 壁に血が滴っても、本気で幽霊の仕業だと考えている登場人物が見受けれないのが……、原因か?
2012-11-12 02:15:54『幽霊の血』 神津恭介が出馬したので、謎の壁の血について意味合いを引き出せる探偵役が立てることができた。その血の性質から神津恭介の推理を当初の偽犯人へと誘導をかけ、真犯人が動き易い環境をつくりあげる。 こう纏めると犯人の意図も見えてくるのだが、うん、このテキストからは好意的すぎる
2012-11-12 02:20:39『幽霊の血』 これは、今回の短編マラソンで唯一、三回読み直した短編です。 ちょっと退屈すぎるので、途中で眠たくなっちゃたのよ〜
2012-11-12 02:22:07続け、神津恭介短編マラソン其の38『蛇の環』だよ 女が殺された。次に旦那が殺された。犯人は誰なのか? って、これ、要約が難しいなぁ〜。
2012-11-12 02:30:06『蛇の環』 これは角川文庫には入ってない短編なんだよ。結構、シンプルな趣向を、いい感じに調理している、割とイケてる短編なのにね。(春陽堂なら読めるヨ) 神津短編で何度も使われている、しょうもない毒薬トリックだけど、この作品の使用の方法が、一番キレイだと思うね。
2012-11-12 02:35:11『蛇の環』 この短編は、本格探偵小説を書こうと考えている実作の方が、たぶん一度は考えるであろうアイディアが使われているわけなのです。 で、これも多分だけれど、このアイディアを思いついたら、絶対に普通の感覚の方なら長編用にと使うと思うわけなんですよ。 短編でこのネタやるかぁー♪
2012-11-12 02:40:21『蛇の環』 『刺青殺人事件』の早川教授が再登場しているのが、心憎いよね〜。 そんな楽しい導入部からのテンポのよいサスペンス。そして、畳み掛ける最後のオチ。 これは楽しい。
2012-11-12 02:44:33長編マラソンを終えたとき自己神津ベストを発表したわけですが、その後ジワジワと自分の中の評価が上がっているのが、『白魔の歌』なんですよ。 新本格以降の探偵小説しか経験してない方に、長編マラソンをさせたら、何人かはコレを一位にあげるのではないかしら? とまで思ってるわけです
2012-11-12 02:57:30で、原型の『白魔の歌』を読んで思ったのは「足らぬ、もの足らぬ」だったのですよ。 原型短編は割と犯人の真の意図が見え易いようにバランスがとられていて、長編時にはあった、解決のときに排除される膨大な無駄なデータが、あまり感じられなかったのですよ。
2012-11-12 03:01:21長編マラソンのときは、その排除される無駄なデータが勿体無いと感じたのですが、それが故に子供殺しの真の意図が際立ってくることに気付くと、途端にそれが良点に思えてくるのが不思議なものです。 短編バージョンの『白魔の歌』では、子供殺しがやけにアッサリとした扱いのように思えました。
2012-11-12 03:05:57短編マラソンの中で時折出会った、短い枚数が故に誇張された狂気の犯罪者たち。 彼らと同等の暗黒が長編『白魔の歌』の真犯人には感じ取れたわけなのですよ。比較して短編の犯人は、そこまで狂気に身を委ねていない雰囲気が……
2012-11-12 03:09:31ぐぐぐ。神津恭介短編マラソン其の40『性痴』 ド淫乱(ステキ!)で有名な女社長から神津恭介への相談があった。7年前に失踪した元夫から恐喝を受けているとのこと。 事件性を感じた神津恭介は調査に乗り出すが、直後、女社長は殺されてしまう。現場には謎の男の存在を匂わす、証拠品が……
2012-11-12 14:34:37『性痴』 ※ネタバレ中 この作品は『白魔の歌』の変形パターンなのです。『白魔の歌』で試みられた名探偵を誘い出すための犯罪を、さらに一段階捻ったカタチで処理を行ってますよ。
2012-11-12 14:38:21『性痴』 ※ネタバレ中 女社長が受けている恐喝は狂言であり、実は神津恭介と親密になりたい女社長が話題作りのためについたニセの事件なのである。 で、真実性を高めるために女社長が集めた謎の男を仄めかすニセの物的証拠、それを見た殺人者が女社長殺しを計画するのだ。
2012-11-12 14:42:47『性痴』 ※ネタバレ中 名探偵で事件に介入できる世界というバックボーンがあればこその、物語展開なのである。 ニセの事件のニセ犯人を利用して行う殺人計画。掘り下げが甘く、扱いがアッサリ風味なのが難点なのだが、まさに高木彬光の初期短編の如きのプロットの妙!
2012-11-12 14:47:44『性痴』 ※ネタバレ中 さらに狂っているのが、真犯人の意図を汲んだ、同じく女社長を憎いんでいるとある人物が、真犯人のためにニセの犯人Bになろうと証拠操作をかけるという構成。 こんなことを40ページ弱でやろうとしているんよ高木彬光Σ(゚д゚lll)
2012-11-12 14:50:50『性痴』 雰囲気はサスペンス風で、軽妙なタッチでグングン進んでいくのだが、そのバックボーンは骨太のゴツゴツした本格料理。 二度読み返し必須の一本だわ。 えぐい、すごい!
2012-11-12 14:53:15ぐすっ。神津恭介短編マラソン其の41『四次元の目撃者』だ。 長編『死を開く扉』の改稿前のバージョンだよね。この段階で9割は完成しているのですが、逆に言うと1割の足らざる部分があるわけであって……
2012-11-12 23:12:40