八重代かりすの社会契約論と小説『姉倉物語』宣伝

小説家八重代かりすさんの、社会契約論です。 小説『姉倉物語』も絡めつつ、社会システムについて色々…。 名指しで引用いただいたので、まとめました。 http://wiki.livedoor.jp/tirinubekitokisirite/d/%bb%d0%c1%d2%ca%aa%b8%ec
2
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 引用5:しかし、気風や制度の異なる個性的な小国家が無数にあれば、自分の好みにあった場所へ移住すればそれでいい。選挙や議会や 官僚機構の改革より、よほど簡単でしょう。 http://t.co/Kt1LyIxE

2012-12-13 21:24:14
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 引用6:また、この手法の優れているところは、失敗できることでもあります。日本全体で何かして、それが失敗だった時、反対していた人も含めて全員で損失を引き受けることになります。 http://t.co/Kt1LyIxE

2012-12-13 21:24:30
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 引用7:これが、地方ごとに色々やっているということであれば、革新的な政策の失敗は、その政策を望んだ者たちだけで引き受ければ済みます。 http://t.co/Kt1LyIxE

2012-12-13 21:24:51
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 引用8:投資家的に言うと、自分の考えが仮に正しいとして、株式をもって総会であれこれ経営に口出すよりも、経営者の考えが自分に近い会社の株を買って放っておく ほうが儲かる。 http://t.co/Kt1LyIxE

2012-12-13 21:25:03
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 引用9:つまり、市民としての自分の考えが仮に正しいとして、選挙とかデモとか討論とかするより、自分の考えに近い街に行った方が、簡単。選択可能であればね… http://t.co/Kt1LyIxE

2012-12-13 21:25:16
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 概要として完璧で付け加える事もないので、私は制度間競争の観点から具体例を挙げる。前にも述べたが、『銃・病原菌・鉄』の作者ダイヤモンドは、欧州が大航海時代に躍進したのに対し、はるかに高い国力を誇っていた中国が躍進できなかった理由を、制度間競争(≒都市間競争)の有無に見出している。

2012-12-13 21:26:48
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 つまり、中国は中央集権が成立していたために、行政による制度間競争がなかった。そのため、海禁策が全土で施行され、外洋航海が困難になった。対して、欧州では各地でバラバラな事をやっていた。海禁策をとった国もあれば、とらなかった国もあった。ここで制度間競争が生まれる。

2012-12-13 21:27:03
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 だから、欧州のコロンブスは大航海を許可し支援する国に行き、そこから新大陸へ行けばよかったの。海禁策国はそれを見て政策変更するか、あるいは淘汰された。ところが、中国では「一律に」海禁策が施行されている。いくら技術的には欧州を圧倒していても、これではコロンブス出現の余地がない。

2012-12-13 21:27:15
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 勿論、中央集権が悪いわけではない。社会主義・共産主義による計画経済と近似で、目標が明確で資源を集中すればいいという時には有効だろう。だから、明治維新以降の中央集権的欧米化はうまくいった。旧ソ連にも見習うべき点はあった。問題は、目標が明確でなくなった時だ。

2012-12-13 21:27:25
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 ここから我田引水に入る。私は #ベーシックインカム 論者で、健康保険を除く社会保障を一本化すべきと考えている。同じような意見の人間は一定存在しており、その中ではそれなりに明確な目標だが、そうでない人もいる。前述の「目標が明確でなくなった時」なのだ。

2012-12-13 21:27:44
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 そこで、#ベーシックインカム 一本化地区と非BI≒現行社会保障地区で制度間競争すればよい。BI一本化論者の私からすると、非BI地区は公的年金や生活保護の重み(財政が破綻するか、労働者が逃げ出すか)で潰れると思う。が、逆の予想をしている人もいる。ならば、試せばよい。

2012-12-13 21:27:56
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 あるいは「 #ベーシックインカム よりも ベーシックジョブがいい」「最低賃金やサービス残業の取り締まりを徹底してほしい」という人もいる。社会主義というか共産主義というか――と私は思うが、工場制手工業とは相性がいいので、旧ソ連並みの生活水準は可能に思える。特区化して試せばよい。

2012-12-13 21:28:34
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 あるいは「貧困や格差を問題にするのは拝金主義者」「今の日本の問題は制度ではなく、精神にある」「だけど私立大学への助成金は減らすな」という人もいる。……まー、北朝鮮並みの生活水準は可能かもしれない。特区化して試せばよい。というか、この手の人と歩調合せるのは無理だよ……。

2012-12-13 21:28:50
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 で、そういった各々の行政地域≒疑似都市国家同士で、制度間競争を行っていけばいい。ある制度が優れていれば、その制度を皆で真似し、ある制度が失敗をすれば、日本全体で一定補填すればいい(ここは異論があるだろうが)。少なくともかつての中国のように国全体で沈むことは避けられる。

2012-12-13 21:29:11
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 と、長々書いたが、私はラノベ書きなので、もっとラノベ寄りの話をしよう。現在公開停止中の『姉倉物語』に登場した秘密結社《荒夏》はこういった都市国家への回帰を「民主主義ではなく自分たちが主体的に既存制度から逃避する」事で成立させようとした。……だからASUNAROなわけで。

2012-12-13 21:29:28
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 その技術的経済的軍事的原動力となったのが、ラノベ的便利物体である《女媧泥ユニット》とそこから単離させたリリカル分子アセンブラ《結晶細胞》とそれを発展させたマジカル変身アイテム《異形細胞》とそれを用いた改造人間《(甲冑式)異形使役者》……だからショッカーなわけで。

2012-12-13 21:29:41
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 そして、《荒夏》は先に述べた競争原理を、経済政策のみならず、価値観そのものに適用しようとしていた。もっと言えば社会契約の再構築――本来、共同体とは価値観が相容れる者同士で成立すべきだ。個人が寄り添って国家になるのであって、国家が細胞分裂して個人になるのではないのだから。

2012-12-13 21:31:37
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 ところが現代では国家という共同体が歪に肥大化してしまった。国家の中には様々な価値観が押し込められ、画一の法で縛られている。これはいかがなものか? むしろ、相容れぬ価値観の持ち主は【尊重】し、積極的に共同体から【解放】させるべきでないのか? ……ここで主人公は眉を顰める。

2012-12-13 21:31:53
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 例えば、暴走族にも暴走族にも価値観がある――ということで【尊重】するのかと問うと、主人公を誘惑してきた悪の女幹部はあっさり答える。勿論【尊重】する。ただ、自分達とは相容れぬので【解放】し、別の共同体で暮らしてもらう。世の中には色々な価値観があって……。

2012-12-13 21:32:12
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 主人公は「それは棄民政策だ」と看破し、副主人公は「それは許容できない」と敵視する。そも社会契約の再構築というが、不利な条件でしか社会と契約できない人間はどうなる? 故に悪の秘密結社との戦いが本格化する…のが新作『無支祈伝』だけと…ちゃんと書けるか? …とりあえずスパロボするか。

2012-12-13 21:33:19