科学と身体性について

名古屋大学の谷村省吾教授(https://twitter.com/tani6s)、物理学者の江本伸悟さん(https://twitter.com/shingoemoto)、ghsoboさん(https://twitter.com/8bu790tu1356ri)らによる「科学と身体性」についてのツイートをまとめました。
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江本伸悟 @shingoemoto

数式がひとつの言語であるというのは物理学を始めてからずっと抱いている感覚ですが、それは人と対話するための言語というよりは、ノートと対話するための言語なのかな、とふと思いました。RT @tani6s: 数式というのは本質的に書き言葉あるいは「絵」であって、話し言葉ではないですしね。

2013-01-09 22:14:21
江本伸悟 @shingoemoto

この感覚もよく分かります。RT @8bu790tu1356ri: 電磁気学までは数式は理解するために当前だったが、量子力学以降は「言語」として見るような感覚がある気がします。なぜe^iθで表されるのかは、本質的というより、それがよりふさわしいとのことかな、という理解。

2013-01-09 22:15:48
江本伸悟 @shingoemoto

物理学は脳の知性だけではなくて眼の知性を羽ばたかせた学問だなと感じています。脳内での想像だけではなく、眼前にておこる事象や形そのものを思考の過程へと組み込むこと、そうすることで脳内に限られていた直列思考が環境へと解き放たれ、そこに並列的な計算と思考が芽生える。

2013-01-09 22:27:25
江本伸悟 @shingoemoto

物理学は物の学と書きますけど、物理学者が数式にて描くのは、この世界に偏在している「関係性」なんですよね。重力自体や力そのものは描けないかもしれないけど、その間にある関係性をこそ描きます。逆に関係性を描くことによって初めて、そこから重力や力といった概念の輪郭があらわれてくる。

2013-01-09 22:32:17
ghsobo(5.11a) @8bu790tu1356ri

@shingoemoto 返信ありがとうございます。量子力学以降「道具」とも感じています。でも「新版量子論の基礎」29p30pにある記述は自分の言葉として語るところまで行っていません。

2013-01-10 07:47:27
TANIMURA Shogo @tani6s

@shingoemoto @8bu790tu1356ri コメントありがとうございます。また、興味深いツイートを拝見しました。私の意見は自己ツイートで書きます。

2013-01-10 18:29:21
TANIMURA Shogo @tani6s

物理学と言語・数学の関係は根深いものがあり、皆さんそれぞれに感じていらっしゃることがあるようですね。

2013-01-10 18:29:56
TANIMURA Shogo @tani6s

shingo emotoさん@shingoemoto は熱力学の概念形成について詳しく論じています:「火をめぐる諸概念の形成」http://t.co/04Y052NQ

2013-01-10 18:31:11
TANIMURA Shogo @tani6s

数式は書き言葉であり「絵」だと思います。式や図や文章を書き下すことによって、自分が何を考えていたのか何を言いたかったのか明示されて、自分もよくわかるようになる、という働きはありますね。

2013-01-10 18:34:31
TANIMURA Shogo @tani6s

「言葉にする、数式で書いてみる」ことは自己対話の方法でもあるわけですね。私は図を描いてわかろうとすることが多いですが。

2013-01-10 18:34:46
TANIMURA Shogo @tani6s

(私は子供の頃、将来は漫画家になりたい、と思っていた。)

2013-01-10 18:36:25
TANIMURA Shogo @tani6s

大貫義郎氏(物理学者、専門は素粒子論)は、群の表現論に関して岩堀先生に質問しようとして手紙を書いているうちに問題が整理できて、手紙を出したものの、それが届く前に自分でも答えがわかった、というエピソードを聞かせてくれました。

2013-01-10 18:37:39
TANIMURA Shogo @tani6s

「書く」ことが自問自答の方法になっているわけです。

2013-01-10 18:37:57
TANIMURA Shogo @tani6s

力学や熱力学や電磁気学くらいまでなら「直観的に捉えられるものを符号化したのが数式だ」という感覚がありますが、量子力学になると「数式は自然現象を言い当てるための裏技的な道具」という感が強くなりますね。

2013-01-10 18:38:39
TANIMURA Shogo @tani6s

でも古典力学でもラグランジアンや作用積分や正準変換のように、直接感覚や現象対応物を伴わない道具を使うことはあります。これらも広義の言語と言っていいでしょう。

2013-01-10 18:38:51
TANIMURA Shogo @tani6s

佐藤文隆氏は「解析力学とは、ものごとをありのままに見ない修行である」としばしば言ってました。極端な言い方ではありますが、たしかにそのとおりだと思います。

2013-01-10 18:39:06
TANIMURA Shogo @tani6s

佐藤文隆氏のこのセリフは数理科学(サイエンス社)の記事で見たのだけど、どの号で見たか、出て来ない。

2013-01-10 18:39:22
TANIMURA Shogo @tani6s

1.「実験や観測で得た結果を数学的に表現することで,新しい発想の世界が拓かれる.

2013-01-10 18:40:30
TANIMURA Shogo @tani6s

2. そこから実りある成果を引き出すためには,数理的手法によって得た結論が直感になじまなくとも受け入れること,いわばものごとをありまのままに見ないことが必要となる.それを修行するのが,力学・解析力学を学ぶ目的である.」佐藤文隆

2013-01-10 18:40:43
TANIMURA Shogo @tani6s

3.「物理学は,実験や観測を駆使して得られた知識を数学的な法則として表現する.数学的に表現された法則は,数学独自の“物語”をもって深化していく.

2013-01-10 18:40:57
TANIMURA Shogo @tani6s

4. 本書では,物理の対象としてなじみ深い質点の力学を対象に,よく知られた運動量やエネルギーの保存側などの背後に潜むより深い法則性を探っていく.物理学の数理的側面への読者の関心を呼び起こすのが本書の目的である.」佐藤文隆

2013-01-10 18:41:09
TANIMURA Shogo @tani6s

佐藤文隆氏の著書「運動と力学」「対称性と保存則」: http://t.co/UcFpK7le

2013-01-10 18:41:21
TANIMURA Shogo @tani6s

解析力学のような、非直観的・非現象論的記述様式を発達させていたおかげで、量子力学につながったとも言えます。古典力学がニュートン力学のスタイルのままだったら、つまり、力学が幾何学的作図問題のままだったら、量子力学は生まれなかったでしょう。

2013-01-10 18:42:16
TANIMURA Shogo @tani6s

私自身の野望は、古典力学がニュートンの作図問題からオイラーの微分方程式・ラグランジュの変分原理・ハミルトン-ヤコビの正準形式へと転化していったように、量子力学も新しいものの捉え方・言語様式に脱皮させたい、というものです。

2013-01-10 18:42:45
TANIMURA Shogo @tani6s

そういう発展は21世紀の理論物理の課題だと思っています。私が量子情報理論や量子論の基礎や圏論に関心を寄せるのもそのためです。

2013-01-10 18:43:03
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