バトルクエスト・クレンチ・ユア・フィスト #5

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼女がそうしていたのはそれから15分ほどだろうか?そう長くはない。やがてカンカンと階段を駆け下りて来る音が聴こえた。そして、近づいて来る駆け足の音。部屋のアーチ状戸口に姿を現したのは、オイラン……否、ヴェールを脱ぐと、それは片腕のボンズであった。ボンズは安堵の表情を浮かべた。23

2013-01-24 00:49:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。アナスタシア=サン」ボンズはボンジャン式のアイサツを行った。「オジギが返せないわ。ごめんなさいね」アナスタシアは笑おうとした。耳後ろの不快な感覚がそれをさせなかった。「ドーモ。アコライト=サン」彼女は呻いた。「どうやってここへ」「色々と冒険をしまして」 24

2013-01-24 00:53:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「冒険」アナスタシアはオイランヴェールを眺めた。アコライトが近づこうとした。「一体これは……どうされたのですか」アコライトは問う。「話せば長くなるわね。でも、話をしないといけないわ」アナスタシアは言った。「そして、お察しの通り、この枷をどうにかしてほしいと思ってる……」 25

2013-01-24 00:59:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「すぐに」アコライトは少しの逡巡も無く答え、近づこうとした。その足が止まった。彼は井戸を見た。アナスタシアも異変に気づいた。くぐもった震動音が下から響いて来る。「何……これ?」「井戸」アコライトは答えようとした。その瞬間、井戸の中から恐るべき怪物が飛び出した!巨大な蛇が! 26

2013-01-24 01:03:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「SHHZZT!」「な……」アコライトは咄嗟にボンジャン・カラテ防御姿勢を取る!大蛇はボンズに鎌首を叩きつけた!「グワーッ!」何たる非現実的な大蛇の巨大さか!その直径は2メートル強!通常の蛇が鶏をひと呑みにする事を思えば、この蛇ならばスモトリを呑み込む事も容易であろう! 27

2013-01-24 01:10:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

長さはいかほどか?その身体の大部分は井戸の中にいまだあり、まるで測る事ができない。何たる悪夢の産物!アナスタシアがもがく!「GRRRRR!SHHHHZZZT!」真鍮色の大蛇は円形の部屋を這い、身を起こしたアコライトにさらなる体当たりを試みる!「SHHH!」「イヤーッ!」 28

2013-01-24 01:12:10
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アコライトは大蛇の頭を横跳びに躱し、真横から強烈なボンジャン・ワンインチ・パンチを叩き込んだ。「SHHH!」大蛇の頭は吹き飛び壁に叩きつけられる!「セイヤッサー!」アコライトは踏み込む!「ボンジャンハイ!」「SHHH!」肩と肘を壁めいて叩きつける!ボンジャン・ボディチェック!29

2013-01-24 01:15:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

大蛇は苦悶!だがその巨大さは尋常ではない!「SSHHHHH!」「グワーッ!」アコライトを撥ね飛ばし、ズルズルと円形の部屋を再び這い始める!「イヤーッ!」アコライトは井戸の縁を蹴ると、アナスタシアめがけ三角飛びを繰り出す。そして、「イヤーッ!」ボンジャン・トビゲリだ! 30

2013-01-24 01:19:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ンアーッ!」アナスタシアは悲鳴を上げた。その頭上、鎖の根元がアコライトの強烈なボンジャン・トビゲリによって一撃で粉砕破壊された!アナスタシアは床にへたり込むが、己を強いて立ち上がった。「SHHHHH!」部屋を旋回した大蛇が巨大な口を開き、アコライトへ再び襲いかかる! 31

2013-01-24 01:21:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「セイヤッサーボンジャン!」アコライトは軸足で床を強烈に踏みしめた。床の大理石が破砕!そこへ大蛇の巨大な口が迫る!「ボンジャンキエーッ!」床を蹴った反動力を載せ、アコライトは下から斜め上、拳を掬い上げるように繰り出す!ボンジャン・ヘブンスルーキャノン!喉奥の肉を直撃! 32

2013-01-24 01:26:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「GRRSHHHHZZT!」大蛇は鎌首を跳ね上げ、遠くの壁に頭を叩きつけた。KRAAASH!部屋が震える!大蛇は苦悶し、さらにもう一度、壁に頭を叩きつける。KRAAAASH!「アナスタシア=サン!」アコライトがアナスタシアの腕を掴んだ。二人は呪われた井戸部屋から駆け出した! 33

2013-01-24 01:29:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「セイヤッサーボンジャン!」アコライトは軸足で床を強烈に踏みしめた。床の大理石が破砕!そこへ大蛇の巨大な口が迫る!「ボンジャンキエーッ!」床を蹴った反動力を載せ、アコライトは下から斜め上、拳を掬い上げるように繰り出す!ボンジャン・ヘブンスルーキャノン!喉奥の肉を直撃!◆

2013-01-25 14:09:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「GRRSHHHHZZT!」大蛇は鎌首を跳ね上げ、遠くの壁に頭を叩きつけた。KRAAASH!部屋が震える!大蛇は苦悶し、さらにもう一度、壁に頭を叩きつける。KRAAAASH!「アナスタシア=サン!」アコライトがアナスタシアの腕を掴んだ。二人は呪われた井戸部屋から駆け出した! ◆

2013-01-25 14:09:33
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バトルクエスト・クレンチ・ユア・フィスト #5 (後半)

2013-01-25 14:09:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あの蛇は!何です!?」アコライトはオイランヴェールを再び目深に被り、走りながらアナスタシアを振り返る。「とてもこの世のものとは……」「わからないわ」アナスタシアの顔は蒼ざめていた。「ガンダルヴァは蛇を多く飼っている……神の化身だと言って。でも、当然あんなものは……」 34

2013-01-25 14:20:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAAASH!KRAAASH!背後で繰り返し破砕音、そして行く先の回廊からは緊迫感のあるオコト・サウンドが流れてくる。アナスタシアはこのBGMの意味を知る。「厳戒体制」オーバーウェルムが話していた件だろう。「恐らく私でしょう」アコライトは言った。「気をつけては来たのですが」35

2013-01-25 14:29:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フワリが目を覚ました、ないし変装が見破られていたとすれば最悪の事態だが、気絶させた衛兵が見つかった可能性が最も高い。二人は闇を抜け、宮殿の外周部壁沿い、見晴らしの良いエンガワ通路を駆ける。右に壁、左には柑橘類の林の向こうに放置された廃墟ビル群と海、隠しようのないサツバツ景観。36

2013-01-25 14:51:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アコライトは逡巡する。この逃避行はどう終わらせたものか。このままアナスタシアを連れて自室へ戻ればよいのだろうか?やがて、通路が前と右に別れる。アナスタシアが手を引く。右だ。二人は野外通路を進み、植物園に足を踏み入れる。逆立ちする熊の口が薔薇水を吐き出し、四角い水路が巡る。37

2013-01-25 15:07:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

植物園の奥には人工の岩壁が築かれ、薔薇水が滝めいて流れ落ちる横には狭い階段がある。植えられた木々はすべて果樹だ。パイナップル、マンゴー、パンノキ……「温泉を巡らせて、南国の木を育てているの。この庭、暖かいでしょ」アナスタシアが囁いた。「彼なりの楽園イメージなのね……隠れて!」38

2013-01-25 15:16:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二人は逆立ちする熊の陰に身を潜めた。滝の横の階段を、チョウチンをかざした二人の護衛戦士が降りて来る。「ここを巡回する時はいつも思うんだ。捥いで食べたいってな!みっちり詰まった果汁!」「よせ。ケジメで済めば御の字、下手すりゃワニの餌だ」「言ってみただけさ!でもバレないと思うね」39

2013-01-25 15:27:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まあバレないよな」「だろうよ!見ろよあの……パイナップルチャン!オーガニックだぜ?たまんねえ」「よせよ。他の区域からも守衛が回されてンだ。ばったり鉢合わせでもしてみろ……」「冗談だって言ってるだろ?むしろお前が本気があるのか?ヤバイ奴だ。しかしクセモノとはまた……」 40

2013-01-25 15:33:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アコライトとアナスタシアは顔を見合わせた。護衛戦士が彼らの目の前を通過する。「ニンジャなんだろ」「ニンジャだとよ。エキジビションの……」「殺されねえようにしねえと」「まあな……手心があるかもよ。ダン=サンも気絶で済んだんだろ。ボンズらしいや」「どっちにしろ、痛えのは嫌だぜ」 41

2013-01-25 15:50:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

灯りが遠ざかる。彼らはまだ身を隠していた。絶望的な沈黙の後、アコライトが囁いた。「貴方のかわりに、フワリ=サンという方が部屋を訪れました」「フワリ=サンが」アナスタシアは繰り返した。「ではきっと、貴方への接近も、その時点で既に勘付かれて……」彼女は唇を噛んだ。「ごめんなさい」42

2013-01-25 15:56:29