漫画原作者・喜多野土竜(mogura2001)氏「なぜ小説系出版社が漫画に進出すると失敗するのか」

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梅田 雅彰 公認会計士・税理士 @cpamasaaki

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2013-02-13 11:47:08
梅田 雅彰 公認会計士・税理士 @cpamasaaki

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2013-02-13 12:54:21
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

>前RT 売れた作品に賞金出すから出版社はリスク少なくて一見良さげだけれど、自信がある人は最初からKindleで売っちゃうんじゃないかなぁ。投稿するメリットは他言語翻訳と、賞自体の宣伝力だけど、今はアマでもファンがついてる時代だし。

2013-02-13 14:11:18
東城和実@「黒緋の薬師」1~2巻発売中 @kazumi_tojyo

@mogura2001 なんかこういうのを見ると、育てようとかそういうのは皆無でとりあえずおいしいところだけリスク無しでいただこうかしら?みたいな…。

2013-02-13 14:14:54
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

@kazumi_tojyo そう見えちゃいますよねぇ~。そういう狩猟民的な手法はダメだと、堀江さんも力説してるんですが…。自信ある人は大きな雑誌の賞に出すし、同人誌でファンついてる人は自分で電子化するでしょう。コレで投稿してくる人って、状況判断ができない人ではないかと…。

2013-02-13 14:35:43
梅田 雅彰 公認会計士・税理士 @cpamasaaki

@mogura2001 @kazumi_tojyo すみません。雑誌への掲載のハードルが高いと思い、そこまでの架け橋になればと思って企画したのですが、状況判断ができない人が投稿するというのは・・。これを機に電子書籍やってみようかなと思う人が増えたらそれはいいことだと思っています。

2013-02-14 10:52:28
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

@ume084 架け橋になるとか崇高なことを言うなら、リスクを取るべきでは? 売れたものに賞金出したり翻訳するのは、リスクを取る行為でしょうか…。良くも悪くも作品作りは、読者には見えない良い部分を見出し、そこが伸びるよう配慮し、育つ手助けをし、価値を高める必要があります。

2013-02-14 12:27:15
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)何度か書いてきたことだけれど…。元編集者で原作者の長崎尚氏が『ラジオ版学問のススメ』に登場した時、なぜ小説系出版社が漫画に進出すると失敗するのかについて、語っていた。小説の出版で実績もある出版社が、同じ物語を作る作業なのに、なぜ上手くいかないのか? 考えてみたら不思議だ。

2013-02-14 12:34:52
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)創刊に当たって、知名度のある作家を揃えてもいる。なのに、売れない。長崎氏は、漫画における作品作りの、編集者の役割の重要性が小説とは異なるからではないかと述べている。漫画という作業は、映画でいえば監督・脚本・主演・撮影・演出・衣装・大道具・小道具・照明を兼ねるようなもの。

2013-02-14 12:41:08
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)小説は作家の内面を深く紡ぐものなので、ある意味で作家の中で完結した作業という側面がある。総合芸術としての映画は各分野のプロフェッショナルが分業して作品作りをする。漫画というジャンルは、その中間(やや小説寄り)の存在ではないだろうか。一人では手に余るが完全分業も難しい。

2013-02-14 12:45:31
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)さいとう・たかを先生のように、完全分業制を敷いてる作家はむしろ例外的。アメコミは分業制だが、日本では半分業制とでもいうべきか。アシスタントに物理的な作業を、編集者に作品作りの作業を、比率は人それぞれだが分業して回している部分が多い。ただし、分業しない人も一定数いるが。

2013-02-14 12:49:58
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)編集が分業するパートも、アイデア的な部分だったり、演出的な部分だったり、データマン的な部分だったり、ネームを切る作業までやるタイプもいれば、駄話をすることでリラックスしてもらうことも一種の才能。もちろん得手不得手はあっても、多くの担当作家に対して、引き出しが必要。

2013-02-14 12:55:51
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)ジャンプの名物編集長だった西村繁男氏が、理想の編集として、話が作れてアイデアがありしかも絵も描けて、でも編集をやってるタイプと語っていたが、長崎氏が影響を受けた元上司が、実はこのタイプ。高校の時からトキワ荘に出入りしていて漫画家になるはずが、頭も良かったので進学し編集に。

2013-02-14 13:00:19
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)トキワ荘の作家からは裏切り者の冗談ごかしてからかわれていたそうだが、それは稀有な例にしても、漫画の編集に求められる知識は、浅くてもいいから幅広さが求められる。もっとも、現実的には有能な編集は全体の1割か2割。有名雑誌なら何かマニュアルがあるような気がするが、ほぼない。

2013-02-14 13:06:32
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)もちろん、断片的なコツとか、語録のようなものはあっても、体系的な方法論はなく、編集は先輩のやり方を見て、ベテラン作家に教えられ、試行錯誤しながら自得するものという側面が強い。つまり、ある種の作家性がある編集が現場レベルでは優秀(ただし編集長に必要な資質はまた別)。

2013-02-14 13:12:59
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)バンチを創刊した元ジャンプの編集長の堀江氏は、編集は狩猟民族的であってはならない、農耕民族的であれと力説されてるとか。ジャンプのように膨大な投稿作がある雑誌では、誰が見ても才能がある投稿者をピックアップし、それを雑誌に載せ、アンケートが良ければ連載を与え、でやれてしまう。

2013-02-14 13:19:27
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)だが、それでは行き詰まる。先に述べたように、個人技と集団競技の中間にある漫画では、いくら天才的な新人でも、学ぶべき技術や高めるべき技術、広げるべき視野は多岐に渡る。しかも、その作家の個性に見あった方向性を拡大していかなければならない。時間も当然かかる。

2013-02-14 13:23:39
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)堀江氏の担当で言えば、原哲夫先生はバイクが大好きで、実際それでデビューできたし連載ももらえた。だが、一番描きたかったジャンルで勝負して10週打ち切り。狩猟民的手法なら、才能なかったねハイさようなら。だがそこから農耕民的に、肥料をやり水を引き害虫を取り雑草を抜く作業が始まる。

2013-02-14 13:28:07
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)原先生はバイク好きの二人がツーリング中に暴走族に絡まれ、殺された友人のために復讐するというバイオレンス読切を執筆する。そこからバイクを抜き取り、バイオレンス要素を純化させて、人体を内部から破壊するアイデア、おまえはもう死んでいるの象徴的セリフを加え、北斗の拳が誕生。

2013-02-14 13:32:01
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)週刊の方に移って、舞台設定をマッドマックス的にすることで、原先生の得意なバイクや車の描写力が生きた。さらに、その格闘アクションの技術が時代劇にも新境地を開く。黒王号ですでに萌芽はあったが、バイクも馬も疾走感の表現は同じ。得意な物に軸足を起きつつ、守備範囲を広げる作業。

2013-02-14 13:38:16
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)ダメ編集だと、今売れてる作品の模倣を強要するが、そうではない。また、作家には好き勝手書かせるというのも、また違うというのが、原先生が花の慶次に至った過程を見ていけばわかる。デビュー直後に「キミは時代劇に才能があるから描きなさい」と押し付けても、成功はしなかっただろう。

2013-02-14 13:41:02
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)農耕民的に育てるというのは、イメージ的にはこういう作家と編集の在り方と思えば間違いない。もちろん、そこには失敗作もあるし試行錯誤も多い。むしろ失敗の方が多い。でも、海の物とも山の物とも分からぬ作家を、編集の勘という曖昧で数値かもできない物で評価し、突破する熱量が必要。

2013-02-14 13:44:36
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)どんな業界でも、すぐマーケットリサーチ的なことを言い出す人間がいる。自分もそこは否定しない。ABテスト的な手法も有効。ただし、「電話を発明した時、消費者にリサーチしたのか?」というスティーブ・ジョブズの皮肉もまた、真実なのだ。パラダイムが転換する時、リサーチは無意味だ。

2013-02-14 13:48:05
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)フォードも、自動車が大衆に普及する前にリサーチしても、返ってくる答えは「もっと速い馬を」だ…と。作品作りを工業製品的に捉えると、今ある製品をコストダウンさせ市場に委ねるという、ある意味でクリエイティブではないことに注力することに。そこではどんな色が受けるかのリサーチは有効。

2013-02-14 13:51:47
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)これをやらかしたのがディズニーのマイケル・アイズナー。過去のヒット作の焼き直しや安易なパート2物を乱発しディズニーが大きく傾いたのは、周知の事実(ただし、アイズナーにも経営立て直しやワンポイントアドバイスでは功績もある)。作品に売れる根拠を求めたら、そんな企画しか通らない。

2013-02-14 13:55:42